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第二章 輝ける乙女
混沌8
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「皇帝陛下からの、お召し?」
どういうことだ、と。シェラは使いの者に尋ねた。皇帝からの使者を名乗る男性は、ともかく早急にアシャンティの離宮を訪れてほしいという。何を尋ねてもその一点張りで、頑として理由を話そうとはしない。
「理由を聞かされないのであれば、応じるわけにはいかない」
そこはカルノリア第一将軍の娘、筋の通らぬ要求には毅然とした態度で接してくる。使者も、さすがにこれまでかとあきらめたのか、
「実は」
手短に詳細を語った。
シェラの祖国、カルノリアに関することであると。
「カルノリアの?」
カルノリアに関わる重要な問題、それについて話があるのだと使者は言う。シェラは眉をひそめ、椅子から立ち上がった。カツカツと長靴の音を響かせながら、取次の間を歩きまわる。その仕草は、妙齢の姫君というよりも、凛々しい青年士官そのものだった。妃の一人となった今も、相変わらず彼女は男装をやめてはいない。カルノリアの軍服こそまとってはいないが、神聖帝国騎士の正装を微妙に変化させた服装に身を包んでいる。頭の高い位置で結われた長い黒髪が、彼女の動きに合わせて馬の尾のように軽く揺れた。
「詳細は、直接陛下よりお伺いくださいませ」
そういわれても、と。シェラは苦笑する。祖国の大事と言われれば、彼女とて黙っているわけにはいかない。だが、だからといって神聖皇帝のもとに行くのもどうか――神聖帝国とカルノリアは、犬猿の仲である。自分が皇帝に嫁いだのも、その懸け橋になればよいという自己犠牲の精神からではない。折あらば、自分を信頼している巫女姫を奪い、祖国に連れ帰る。その目的がまだ消えてはいないのだ。
今回の皇帝からの呼び出しは、自身と巫女姫とを引き離すための画策ではないか。ふと、そんなことを考えてしまう。
「それほどまでに、我が陛下を信用できないとおっしゃるのでしたら」
使者は懐深く隠していた、小さな包みを恭しく取り出した。シェラが足を止め、そちらに視線を送れば、彼は手袋をしたままの手で、袋の中身を丁重に摘む。使者の革手袋の上に乗せられた小さな光。それは、金の指輪だった。
「こちらをご覧いただければ、お分かりいただけると思います」
「……?」
シェラは不審に思いつつも、使者に近づいた。いつでも剣を抜けるよう、油断なく身構える。彼女は跪く使者の前に佇み、――それから、侍女を呼んだ。侍女はこちらに近づき、使者の手より指輪を受け取る。
「姫様」
彼女はシェラの前に膝を屈し、指輪を差し出した。
「これは」
手に取るまでもない。指輪に掘られた、双頭の鴉。これは、カルノリア大公家の紋章であった。今の時代、このような紋章を使うものはいない。いないが、シェラには覚えがあった。この指輪の持ち主、それは。
「ソフィア、ねえさま?」
セグの公子に嫁いだ第三皇女。彼女に他ならない。
しかも。この指輪が今、ここにあるということは、彼女の身に何かがあったということなのだ。それを、神聖皇帝アグネイヤ四世は知っている?
「――行こう」
ただ一言、シェラは答えを告げた。使者は深くうなずき、侍女は使者へと指輪を返却する。
「巫女たちに、姫の周りをしかと警護するように伝えておくように」
侍女に命じたシェラの、行動は早かった。彼女は自室へと引き返すと素早く礼装を脱ぎ捨て、略装に着替える。これから、アシャンティまで馬を飛ばす。飛ばせば、半日でかの地へと着くことができるだろう。
青い瞳の奥に強い光を宿らせて、鞭を手に彼女は表へと足を踏み出した。
◆
巫女姫、と呼ばれる存在の位置は、二百年前のそれとは大分様子を異にしていた。
以前は祭祀の全てを司り、皇帝をもしのぐ権力を手にしていたのだが、現在はまるで違う。姫と名のつくだけで、他の巫女と変わらない。なんら権力を与えられているわけではなく、ただ、神殿において祈りに明け暮れる生活を送るだけである。
「つまらない」
ふと漏らした言葉は、本音であった。
神殿の裏手に設けられた、巫女姫のための屋敷。そこに日がな一日こもっていては、気がおかしくなってしまう。外に出る時も、必ず数人の巫女及び侍女が付き添うため、イリアは常に人目にさらされているのだ。
サリカが離宮へと居を移してからこちら、ずっとこのままである。
はじめのころこそは、式典などにも顔を出していたが。最近は、朝夕の祈りの折にすら、姿を見せずともよいと言われた。
つまり。
巫女姫は、存在するだけでよいのだ。
イリアという巫女を、神聖帝国が握っている。それを周囲に知らしめた今は、イリアはいらぬ存在なのかもしれない。
それは、ある意味アグネイヤ四世も同じかもしれない。
(そうよね)
アヤルカスは、十六年の間皇帝が不在だった。病に臥せっている、と周囲には触れていたが。事実は違う。十六年前に先帝ガルダイア三世は崩御していた。それを隠し、皇后と宰相が国を支えていたのである。その間も、国としての力も威厳も失うことはなかった。それは、良き指導者、優秀なる家臣団のおかげである。この十六年の間に、彼らの中には皇帝不要論すら生まれてきたに違いない。
巫女姫を手に入れ、皇帝を即位させ、神聖帝国復活を唱えた現在。巫女姫も皇帝も、飾り物に過ぎなくなっている。
ここ数日は、シェラですら遠ざけられた。皇帝の妃を侍従武官の如く扱うのがいけなかったのか、と思ったが。理由は違う。シェラはカルノリアの姫。いつ、あの鴉が大切な巫女姫をさらって北に帰還してしまうか。それを重臣たちが危惧したのだろう。イリアもシェラの言葉にほだされて、いつか神聖帝国に背を向けることもあるかもしれない。彼女自身、そういった不安を持っている。
サリカは、好きだ。
シェラも好きだ。
二人とも、大切な友人である。
同じ年ごろの友達を持たなかったイリアにとって、彼女らは貴重な存在だった。今一人の妃である、ミアルシァのルクレツィア姫。彼女には、どうしてもなじめないが、――イリアの中では、サリカとシェラの存在は同等であった。
揺れている。
それは、自分でもわかる。恋の迷いとはまるで違うその心のざわめきに、イリアは戸惑った。戸惑うからこそ、サリカとも話したい。シェラも傍にいてほしい。そう思うのに。大人たちは、イリアの気持ちを踏みにじるように、それぞれを孤立させていく。
(ああ)
息をつき、イリアは顔を上げた。秋の気配を漂わせた空には、柔らかな雲がふたつみっつ、風になぶられながら浮かんでいる。傾き始めた陽が、イリアの頬をあわい琥珀に染め、彼女の心をより一層騒がせた。夏の終わり―― 一年で一番、イリアが嫌いな季節である。この世の終わりを思わせる、蝉たちの断末魔に似た声。あの声を聞いていると、心臓がもみしだかれる気持ちになる。
ことに、今は。混沌の予感を覚えた今は。
不安でたまらない。誰かに傍にいてほしい。気弱にも、そう思ってしまう。
「サリカ」
遠くアシャンティにとめおかれた『夫』は、いま、何をしているのだろう。自分のことを少しでも考えていてくれるのだろうか。それとも、幽閉同然の我が身を嘆き、失意の日々を送っているのだろうか。
以前、花嫁選びの宴の夜に見た予兆、あの始まりを告げるのがアグネイヤ四世の幽閉だったとすれば。時代はこれから、闇へと突き進むことになるだろう。混沌の時代がやってくる。大陸に屍の山が築かれる。怒号が、断末魔の声が、響き渡る。二百年前、神聖帝国が滅びたときと同等の、否、それ以上の大きな戦が起ころうとしている。
その輪の中心に位置する、骸骨を掲げる聖女――彼女は、はたして誰に課せられた役割なのだろうか。
自分は、傍観者にすぎない。
二百年前、最後の巫女姫となったフィオレーンも、おそらく。傍観者として、暗殺された『夫』を他人の目で見、命をかけて自分を救ってくれた正妃クラウディア一世に対しても、無感動に接したのだろう。巫女姫は語り部だ。当事者であってはならない。また、当事者にもなれない。
今度神聖帝国をめぐる戦が起こったときも、標的は自分になるだろう。
何としても巫女姫の身柄を得たいカルノリアと、巫女姫を抹殺したいミアルシァ。そして、いま。神聖帝国皇帝アグネイヤ四世のもとに侍る妃は、カルノリアとミアルシァ、双方の姫君だった。これを、運命の皮肉とでもいうのだろうか。ルクレツィアは、あの麗しい仮面の下で、虎視眈々とイリアの命を狙っているのだろう。アヤルカス公爵ジェルファも、彼の生母アイリアナも。隙あらば、神聖帝国を倒し、巫女姫を屠り、ミアルシァの版図を広げるに違いない。
その、ミアルシァの行動が早いか、それともカルノリアの魔手が先んずるのか。流されることしか出来ぬ『巫女姫』としては、気をもむだけで精いっぱいなのだ。
そう、巫女姫としては。
「……」
イリア、という一人の娘としては、どうだろう。過去の柵を捨て、一個の人間として、アンディルエも神聖帝国もなく生きるのだとしたら。
変えられるかもしれない。
運命という名の、重い鎖から解き放たれる――それが、可能になるかもしれないのだ。
どういうことだ、と。シェラは使いの者に尋ねた。皇帝からの使者を名乗る男性は、ともかく早急にアシャンティの離宮を訪れてほしいという。何を尋ねてもその一点張りで、頑として理由を話そうとはしない。
「理由を聞かされないのであれば、応じるわけにはいかない」
そこはカルノリア第一将軍の娘、筋の通らぬ要求には毅然とした態度で接してくる。使者も、さすがにこれまでかとあきらめたのか、
「実は」
手短に詳細を語った。
シェラの祖国、カルノリアに関することであると。
「カルノリアの?」
カルノリアに関わる重要な問題、それについて話があるのだと使者は言う。シェラは眉をひそめ、椅子から立ち上がった。カツカツと長靴の音を響かせながら、取次の間を歩きまわる。その仕草は、妙齢の姫君というよりも、凛々しい青年士官そのものだった。妃の一人となった今も、相変わらず彼女は男装をやめてはいない。カルノリアの軍服こそまとってはいないが、神聖帝国騎士の正装を微妙に変化させた服装に身を包んでいる。頭の高い位置で結われた長い黒髪が、彼女の動きに合わせて馬の尾のように軽く揺れた。
「詳細は、直接陛下よりお伺いくださいませ」
そういわれても、と。シェラは苦笑する。祖国の大事と言われれば、彼女とて黙っているわけにはいかない。だが、だからといって神聖皇帝のもとに行くのもどうか――神聖帝国とカルノリアは、犬猿の仲である。自分が皇帝に嫁いだのも、その懸け橋になればよいという自己犠牲の精神からではない。折あらば、自分を信頼している巫女姫を奪い、祖国に連れ帰る。その目的がまだ消えてはいないのだ。
今回の皇帝からの呼び出しは、自身と巫女姫とを引き離すための画策ではないか。ふと、そんなことを考えてしまう。
「それほどまでに、我が陛下を信用できないとおっしゃるのでしたら」
使者は懐深く隠していた、小さな包みを恭しく取り出した。シェラが足を止め、そちらに視線を送れば、彼は手袋をしたままの手で、袋の中身を丁重に摘む。使者の革手袋の上に乗せられた小さな光。それは、金の指輪だった。
「こちらをご覧いただければ、お分かりいただけると思います」
「……?」
シェラは不審に思いつつも、使者に近づいた。いつでも剣を抜けるよう、油断なく身構える。彼女は跪く使者の前に佇み、――それから、侍女を呼んだ。侍女はこちらに近づき、使者の手より指輪を受け取る。
「姫様」
彼女はシェラの前に膝を屈し、指輪を差し出した。
「これは」
手に取るまでもない。指輪に掘られた、双頭の鴉。これは、カルノリア大公家の紋章であった。今の時代、このような紋章を使うものはいない。いないが、シェラには覚えがあった。この指輪の持ち主、それは。
「ソフィア、ねえさま?」
セグの公子に嫁いだ第三皇女。彼女に他ならない。
しかも。この指輪が今、ここにあるということは、彼女の身に何かがあったということなのだ。それを、神聖皇帝アグネイヤ四世は知っている?
「――行こう」
ただ一言、シェラは答えを告げた。使者は深くうなずき、侍女は使者へと指輪を返却する。
「巫女たちに、姫の周りをしかと警護するように伝えておくように」
侍女に命じたシェラの、行動は早かった。彼女は自室へと引き返すと素早く礼装を脱ぎ捨て、略装に着替える。これから、アシャンティまで馬を飛ばす。飛ばせば、半日でかの地へと着くことができるだろう。
青い瞳の奥に強い光を宿らせて、鞭を手に彼女は表へと足を踏み出した。
◆
巫女姫、と呼ばれる存在の位置は、二百年前のそれとは大分様子を異にしていた。
以前は祭祀の全てを司り、皇帝をもしのぐ権力を手にしていたのだが、現在はまるで違う。姫と名のつくだけで、他の巫女と変わらない。なんら権力を与えられているわけではなく、ただ、神殿において祈りに明け暮れる生活を送るだけである。
「つまらない」
ふと漏らした言葉は、本音であった。
神殿の裏手に設けられた、巫女姫のための屋敷。そこに日がな一日こもっていては、気がおかしくなってしまう。外に出る時も、必ず数人の巫女及び侍女が付き添うため、イリアは常に人目にさらされているのだ。
サリカが離宮へと居を移してからこちら、ずっとこのままである。
はじめのころこそは、式典などにも顔を出していたが。最近は、朝夕の祈りの折にすら、姿を見せずともよいと言われた。
つまり。
巫女姫は、存在するだけでよいのだ。
イリアという巫女を、神聖帝国が握っている。それを周囲に知らしめた今は、イリアはいらぬ存在なのかもしれない。
それは、ある意味アグネイヤ四世も同じかもしれない。
(そうよね)
アヤルカスは、十六年の間皇帝が不在だった。病に臥せっている、と周囲には触れていたが。事実は違う。十六年前に先帝ガルダイア三世は崩御していた。それを隠し、皇后と宰相が国を支えていたのである。その間も、国としての力も威厳も失うことはなかった。それは、良き指導者、優秀なる家臣団のおかげである。この十六年の間に、彼らの中には皇帝不要論すら生まれてきたに違いない。
巫女姫を手に入れ、皇帝を即位させ、神聖帝国復活を唱えた現在。巫女姫も皇帝も、飾り物に過ぎなくなっている。
ここ数日は、シェラですら遠ざけられた。皇帝の妃を侍従武官の如く扱うのがいけなかったのか、と思ったが。理由は違う。シェラはカルノリアの姫。いつ、あの鴉が大切な巫女姫をさらって北に帰還してしまうか。それを重臣たちが危惧したのだろう。イリアもシェラの言葉にほだされて、いつか神聖帝国に背を向けることもあるかもしれない。彼女自身、そういった不安を持っている。
サリカは、好きだ。
シェラも好きだ。
二人とも、大切な友人である。
同じ年ごろの友達を持たなかったイリアにとって、彼女らは貴重な存在だった。今一人の妃である、ミアルシァのルクレツィア姫。彼女には、どうしてもなじめないが、――イリアの中では、サリカとシェラの存在は同等であった。
揺れている。
それは、自分でもわかる。恋の迷いとはまるで違うその心のざわめきに、イリアは戸惑った。戸惑うからこそ、サリカとも話したい。シェラも傍にいてほしい。そう思うのに。大人たちは、イリアの気持ちを踏みにじるように、それぞれを孤立させていく。
(ああ)
息をつき、イリアは顔を上げた。秋の気配を漂わせた空には、柔らかな雲がふたつみっつ、風になぶられながら浮かんでいる。傾き始めた陽が、イリアの頬をあわい琥珀に染め、彼女の心をより一層騒がせた。夏の終わり―― 一年で一番、イリアが嫌いな季節である。この世の終わりを思わせる、蝉たちの断末魔に似た声。あの声を聞いていると、心臓がもみしだかれる気持ちになる。
ことに、今は。混沌の予感を覚えた今は。
不安でたまらない。誰かに傍にいてほしい。気弱にも、そう思ってしまう。
「サリカ」
遠くアシャンティにとめおかれた『夫』は、いま、何をしているのだろう。自分のことを少しでも考えていてくれるのだろうか。それとも、幽閉同然の我が身を嘆き、失意の日々を送っているのだろうか。
以前、花嫁選びの宴の夜に見た予兆、あの始まりを告げるのがアグネイヤ四世の幽閉だったとすれば。時代はこれから、闇へと突き進むことになるだろう。混沌の時代がやってくる。大陸に屍の山が築かれる。怒号が、断末魔の声が、響き渡る。二百年前、神聖帝国が滅びたときと同等の、否、それ以上の大きな戦が起ころうとしている。
その輪の中心に位置する、骸骨を掲げる聖女――彼女は、はたして誰に課せられた役割なのだろうか。
自分は、傍観者にすぎない。
二百年前、最後の巫女姫となったフィオレーンも、おそらく。傍観者として、暗殺された『夫』を他人の目で見、命をかけて自分を救ってくれた正妃クラウディア一世に対しても、無感動に接したのだろう。巫女姫は語り部だ。当事者であってはならない。また、当事者にもなれない。
今度神聖帝国をめぐる戦が起こったときも、標的は自分になるだろう。
何としても巫女姫の身柄を得たいカルノリアと、巫女姫を抹殺したいミアルシァ。そして、いま。神聖帝国皇帝アグネイヤ四世のもとに侍る妃は、カルノリアとミアルシァ、双方の姫君だった。これを、運命の皮肉とでもいうのだろうか。ルクレツィアは、あの麗しい仮面の下で、虎視眈々とイリアの命を狙っているのだろう。アヤルカス公爵ジェルファも、彼の生母アイリアナも。隙あらば、神聖帝国を倒し、巫女姫を屠り、ミアルシァの版図を広げるに違いない。
その、ミアルシァの行動が早いか、それともカルノリアの魔手が先んずるのか。流されることしか出来ぬ『巫女姫』としては、気をもむだけで精いっぱいなのだ。
そう、巫女姫としては。
「……」
イリア、という一人の娘としては、どうだろう。過去の柵を捨て、一個の人間として、アンディルエも神聖帝国もなく生きるのだとしたら。
変えられるかもしれない。
運命という名の、重い鎖から解き放たれる――それが、可能になるかもしれないのだ。
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