上 下
32 / 39
4章 チート×幼女

30、テストプレイって大事ですよね

しおりを挟む
 きゅぃぃぃぃん! ちゅどぉぉぉぉん! ぱりぃぃぃぃん
 
 広々とした空間に響き渡る、耳をつんざくような激しい轟音。 空中に出現した魔法陣から放たれた一撃によって、私達の目の前にいた緑色の巨体:<巨竜べヒモス>は他の雑魚敵よりも一段階ほど派手なエフェクトを周囲にまき散らしながら爆発四散した。

「……ご主人様、この層の敵弱すぎないかしら? 1個前の62層の方が手応えがあったわよ」

 右手に持っていた黒い拳銃――外見がガバメントっていう名前の銃にそっくりな奴――をくるくるくるっ と人差し指で器用に回し、フリル付き黒スカートの中に隠しているレッグホルスターにしまった緋色ツインテールの幼女(ロリ)ティアラは、少し不機嫌な表情を見せた。 

「うーん……全部の層で敵が強すぎると逆に攻略して貰えなくなるような気がするのよ。 『あのダンジョンの攻略無理ゲーww』 なんてツイートがバズった日にはもう終わりなのよね……」
「ご主人様はこのダンジョンをどうやって使おうと思ってるの?」
「観光地みたいな存在の……いろんな人が入れる場所?」
「観光地ねぇ……。 登録の申請方法は分かるの?」
「申請……? こういうのって勝手に作っちゃダメなの?」

 更新(アップデート)後のこの世界には、日本国憲法に代わる新しい憲法(ルール)が存在する……らしい。 見たことが無いのでどんな内容なのかは一切分からないが

 ラノベやゲームみたいなファンタジーな要素が導入されたため、建物を作るのもめちゃくちゃ容易になってしまったのは確か。 

 人工的に作られた個人の所有物である家とかの建物とは異なり、ゲームとかで作られるダンジョンっていわゆる自然で生成されたもの……要は公共の物だから、自分の物って言えないのだ。

 なので個人で作ったダンジョンを一般の冒険者さん達に開放するには、専門のギルドみたいなところに登録する必要がある……

 と、30分ほどあったティアラちゃんの説明(6割くらいは茶番)をざっくりとまとめた私は、ティアラに確認の視線を向ける

「そうね。 大体はそんな感じよ……一部私の主観が入ってたけど」
 
 うんうんと頷くティアラ。 私はこういう系の話は超大好物なので理解するのも早いのである。

「まあ、詳しいことはニーナ様と話すとして……先に進むわよ」
「うん」

 私達はその場を後にした。


 ダンジョンを進んでいくこと数時間、ティアラのサポートのおかげで85層のボス部屋の扉に たどり着いた私は、そこに刻まれた絵を見ながら少しばかりの違和感を覚えた。

 私がここの部屋に設定したボスは黒いドラゴンで、
普通ならこの扉に刻まれているのも黒いドラゴンの絵だと思うが、なぜか巨大な蛇の絵が刻まれていたのだ。

 バグ……なのかなこれは? とりあえず運営に報告しないと……あ、私がその運営だったwww

「ご主人様、一体どうしたの? 何か変なことあったの?」

 このバグ? をティアラに報告するべきか一瞬迷ってしまった。 が、色々面倒くさいので報告しないことにした。

 私は某ファストフード店の店員みたいなスマイルでティアラに応える。 

「大丈夫よ、問題ないわ」

 数日前にもこのネタを使ったような気がするが、細かいことは気にしないのが私のやり方

 そしてそれ系のネタにツッコまないのが私の仲間である

 というわけで私たちはボス攻略を始めることにした。

 ギィィィィと音を立てて開いた扉の先には……黒く巨大な蛇がいた。 体に固そうな鱗をまとっており、見た目だけだとボスと言われても違和感がない仕上がりで、耐久力が高そうだ。

「鑑定っ!」
 
 私の目の前に鑑定結果を示すウィンドウが出てくる
=====
固有名:捕食蛇(プレデタースネーク)ヴェルディ・アナコンダ
HP:???
固有能力:【竜召喚・D】自身のHPを25%消費しドラゴン系のキャラを召喚する
=====

「こいつが……ここのボス? やっぱり設定したやつと違うんですが……」

 私はボソッと呟いた。 が、ティアラは特に気にしていない様子だ

 というわけで初撃を一発ぶっ込んでみようと思い、某電気ネズミ使いみたいな口調で攻撃宣言をした

「行きなさいティアラっ! 衛星兵器級魔術砲撃(さてらいとまじっくきゃのん)っ!」

 目にも留まらぬ速さで左右の太股ふともものレッグホルスターからそれぞれ白銀と漆黒のガバメントを抜いたティアラは、両手の引き金トリガーに手を掛ける
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール
恋愛
会社帰り、駅までの道程を歩いていたはずの北野 雅(36)は、いつの間にか森の中に佇んでいた。困惑して家に帰りたいと願った雅の前に現れたのはなんと実家を模した家で!? 自身が願った事が現実になる能力を手に入れた雅が望んだのは冒険ではなく、“森に引きこもって生きる! ”だった。 果たして雅は独りで生きていけるのか!? 実は神様になっていたズボラ女と、それに巻き込まれる人々(神々)とのドタバタラブ? コメディ。 ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~

たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!! 猫刄 紅羽 年齢:18 性別:男 身長:146cm 容姿:幼女 声変わり:まだ 利き手:左 死因:神のミス 神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。 しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。 更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!? そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか... 的な感じです。

JK LOOPER

ネコのうた
ファンタジー
【最初にドーン!】 現代の地球にて、突如、[神のデスゲーム]が執行されてしまいます。 日本の、とある女子高生が、ひょんなことから、タイムループしたり、ジョブチェンジしつつ、終末に挑んでいく事になりました。 世界中を巻き込んでの、異形の者たちや人類との戦いの果てに、彼女らは未来を変えられるのか?! それとも全滅してしまうのか?? といった、あらすじです。 【続いてバーン!】 本編は、現実世界を舞台にしたファンタジーです。 登場人物と、一部の地域や企業に団体などは、フィクションであり、実在していません。 出来るだけグロい描写を避けていますが、少しはそのような表現があります。 一方で、内容が重くならないように、おふざけを盛り込んだりもしていますが、やや悪ノリになっているのは否めません。 最初の方は、主人公が情緒不安定気味になっておりますが、落ち着いていくので、暖かく見守ってあげてください。 【最後にニャ―ン!】 なにはともあれ、楽しんでいただければ幸いです。 それではこれより、繰り返される時空の旅に、お出かけください。

処理中です...