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3章 農業がしたい

21、舞い降りた堕天使

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…ボク?


 その一人称だと某絶剣さんみたいな元気っ子な印象で、頭部のアホ毛が特徴的な見た目をしてるのかなぁ……なんて私は謎な期待を寄せながら、目の前に浮かんでいる堕天使の輪? に詠唱を行った


「ルルイエさん(私の左眼)! ルギエルさん(私の右眼)! 闇の力、お借りします!」


 ニュージェネ世代(ギ○ガからゼ○トまで)を見たことある人なら多分聞いた事があると思われる変身口上。 私関連の名称やら詠唱やらが段々とネタ的な方向に振られつつあることは、若干ではあるが既に気付き始めていた。 ちなみに私は特撮物が大好きで、変身だったり必殺技だったりに幼い頃から憧れていた。 

 昔はただテレビの前で見るだけだったのが、実際に似たような変身口上を述べることになるとは……何か感慨深いものがある。


「お主……口元がめっちゃにやついておるぞ。 というかその口上、見ている我らまで恥ずかしくなるから……我ら以外の人の前ではしないで欲しいのじゃが」


 変身前の衣装読み込み時間? の間に、ロリ魔王は屈託のない笑顔と共に言葉のサウザンドナイフを突きつけてきた。 うん、その見るもの全員を一瞬で堕としそうな顔でとんでもないことを言う癖、私の○癖にどストレートで刺さるからもっとやってぇ……


 何かがはじけ飛ぶ様な音とともに、めっちゃ油断していた私の身に異変が起こる。


「えっ……なんか体全体がすーすーするんですけど」


 数秒前までローブの下に着ていた上下セットの下着と、転生前に通っていた学校既定のセーラー服とスカートが……一瞬にして消失していたのだ……っ!!

 もし、唯一消えなかったローブ <災禍の魔装・エリオル>が装備解除不可でなければ……私はそこまで自信がないフルオープンの身体を幼女2名にさらすことになったであろう。

 それにしても……いったい何がどうなったらローブ以外の衣服が全て消失するのだろうか。 


「ごっめーん! ボクの強大な力に人間のキミの衣装が耐えられなかったみたいだねっ!」


 長机を挟んだ向こう側で、ウインクしながら謝罪? をしようとしている紺髪ウェーブロングの紺ワンピース姿の女子中学生がその原因みたいだった……?


「あんた、一体誰なの?」


 吸血幼女のティアラちゃんが、その声に若干の怒りを纏まとわせながら謎のボクっ娘に尋ねた。 うっわぁ……なんかこめかみがピクピクと震えてるよ……

「ボクかい? ボクは堕天使るしあ。 マスターの……」

 名を「るしあ」という堕天使ちゃんは、そこで言葉を詰まらせ……若干顔を火照らせながら私の方を見つめて来た……っ。 

 そして口をぱくぱくと動かす。 「た、す、け、て」と

 私はここで考えた。 とりあえず彼女の名前がネ○サスのテレビ版のラスボス「ダーグ○ギ」じゃなくて大人の事情で出てこなかった真のラスボス「ダークル○フェル」を元ネタにしていたことにはもうツッコまないとして……あ、だからさっき「そんな装備で大丈夫か?」なんて言ってたのか。


「何なのよっ! あんたはあたしのご主人様の何なのっ!」

「ボクは……そうだね、マスターの ”あいじん” とでも言っておこうか」

「「「あ……ああああいじんっっっっ!?」」」」


 わたし達の中で何かが吹っ飛んだ

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