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2章、スローライフと幼女

13、べ……別にそういう訳じゃないんだからねっ!!

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 起きてきたばかりのロリ魔王は、黒のお子様用ワンピース……ではなく『ロリ魔王』と筆のようなフォント で書かれている白い生地のTシャツを身に着けていた。


 服のサイズが大きめなのかロリ魔王が小さいのか……は分からないが、全体的なぶかぶか感がいつもよりロリっぽさを強調している。


 それに対して金髪のツインテールは、まっすぐなままの状態を保っていた


「ふわあぁ~ おはようなのじゃぁ~」


 あくびと共に気の抜けた声を出したロリ魔王。 寝起き……というよりはまだ半分ほど寝ている彼女のあざと可愛い表情に見とれてしまい、私はペンを動かしていた手を止めた。


「おはよ……その色々とツッコみ所がある服、何?」

「これか? こやつはカマゾンで買ったやつなのじゃ。 一着一万ガルほどじゃったぞ」


 ロリ魔王のいう『カマゾン』とは、大手のネット通販サイト……だった気がする。 私は異世界転生する前にちょこっとだけ利用したことがあるが、一着で一万円の服なんか買ったことがないぞ


「……見た目だけで買ったの?」

「見た目一割、性能九割で買ったのじゃ♪」


……すっかり忘れていた。 今のこの世界の衣服が全て【HP回復量上昇】や【魔法威力上昇】、【幸運度上昇】等、何かしらの効果を備えているということを。

 

 ということは、今ロリ魔王が着ているTシャツは一万円分の性能をしているに違いない


「一応聞くけど、その服はどんな性能なの?」

「ちょっと待つのじゃ」


 ロリ魔王がTシャツの裾に手を掛け、それを上に持ち上げようと……したところで私は彼女が何かしたいのかを察し、反射的に口が動いた。


「ちょ……な、何で脱ごうとしてるの!? 別にロリ魔王のあられもない姿を見たいわけじゃないよっ!」

「ななな……お主は何を考えておるのじゃっ! べべ別にそんなつもりはないのじゃっ!」


 寝起きなのにめっちゃ顔を赤らめ、テンパりながら服の裾を降ろしたロリ魔王は背後に魔法陣を複数個展開させた。


……えっちょっと待ってまたぶっ放すつもりなの? 今すぐロリ魔王を物理的に止めないと、家の中がカオスなことになりそうなんですけどぉ


「と……とりあえずその魔方陣を閉まってぇぇぇぇぇぇ!」


 思いっ切り叫んでみた。 今の私にできることはこれくらいだ。


「まったく……我はこの服のスペックをお主に見せたかっただけなのじゃが……」


 私の思いが届いたのか、ロり魔王はそう言いながら背後の魔方陣を収納した。 ふう、物理的な家庭崩壊は免れた……。


「……とりあえず、口頭で説明してくれる?」

「分かったのじゃ……」


 私はソファーに腰を下ろした


「この服は素材が優秀な奴での、着ているだけで自動的に体温を調節してくれるのじゃ」

「持ち運べるエアコン?」

「エアコン? それは一体何なのじゃ?」


 ロリ魔王は首をかしげた。 あれ? この子エアコン知らないの?


「エアコンって言うのはね……」


 私は身振り手振りを加えつつ、持っていた知識を最大限活用してロリ魔王にエアコンについて説明した



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