61 / 71
万年の嵐
ゲームのキャラに恋するのは規約違反ですか? 61
しおりを挟む
ゲーム漬けの日々というのも悪くはない。
でも、それではだめなんだ。
仕事をしてお金を稼がないといけないとか、家に引き籠もっていると運動不足で健康に悪いとか、パソコンの画面ばかり見ていると視力が落ちてしまうとか、そんなことは、正直、どうでもいい。
外に出ないと、話を切り出すタイミングが見つからないのだ。ゲームに集中していると、基本的に会話はないし、会話しても、ゲームの内容ばかり。だから、外に連れ出したいのだ。
連れ出す理由ならたくさんある。日曜日の午後なのだから、場所にも困らない。
ただ、天候だけはどうにもできないわけで……。
「なんで、こういうときに大荒れなのかな……」
外の景色は、風が吹き荒れ、雨が横殴りに降っている。
天気予報では、今日は一日中晴れの予報だった。午前中は、雲一つない晴天だったのに、まさか午後からこんなに荒れるなんて思わなかった。
「浅井さん、大丈夫かな……」
私の家から出ていって、すぐに天気が変わったというわけではないのだが、心配は消えてくれない。メールで連絡を取ろうとしているが、なかなか返信がこない。急な嵐ということで、みんなが連絡を取ろうとして回線がパンクしているだけだろう。まさか、帰り道で事故に巻き込まれたなんて、そんなことは想像もしたくない。
心配でおかしくなりそうになっていると、握りしめていた携帯電話が震えた。
慌てて見ると、そこには、浅井さんの文字。メールの内容は「電車一本遅れたら止まってたよ」というものだった。
「よかった……」
安心した。私を心配してきてくれたのに、そのせいで事故に巻き込まれたりしたら、自分を許せない。
「その様子だと、琴音は無事だったみたいだな」
「うん……」
ゲームをしながらも、コルテは密かに心配していたのだろう。それが、少し気になった。
コルテは浅井さんと出会ったときから琴音と呼び捨てにしている。もしかして、コルテは浅井さんのことが好きなのだろうか。もしそうなら、心配しているのも納得できる。
コルテが本当に浅井さんのことが好きなら、私はどうしたらいいのだろうか。応援するのだろうか。でも、いずれ捨てられると分かっているのに、このまま同居生活を送るなんて、私には耐えられない。
だから、聞かずにいられない。私は傷つきたくはないから。
「あのさ……コルテは浅井さんのこと、どう思ってるの?」
その問いに、コルテの手が一瞬だけ止まった。動揺しているのだろうか。だとしたら、コルテが好意を抱いている相手は私ではない。それは、とても悲しいことだけど、大火傷する前に知っておきたい。コルテの気持ちがどこにあるのか。
でも、それではだめなんだ。
仕事をしてお金を稼がないといけないとか、家に引き籠もっていると運動不足で健康に悪いとか、パソコンの画面ばかり見ていると視力が落ちてしまうとか、そんなことは、正直、どうでもいい。
外に出ないと、話を切り出すタイミングが見つからないのだ。ゲームに集中していると、基本的に会話はないし、会話しても、ゲームの内容ばかり。だから、外に連れ出したいのだ。
連れ出す理由ならたくさんある。日曜日の午後なのだから、場所にも困らない。
ただ、天候だけはどうにもできないわけで……。
「なんで、こういうときに大荒れなのかな……」
外の景色は、風が吹き荒れ、雨が横殴りに降っている。
天気予報では、今日は一日中晴れの予報だった。午前中は、雲一つない晴天だったのに、まさか午後からこんなに荒れるなんて思わなかった。
「浅井さん、大丈夫かな……」
私の家から出ていって、すぐに天気が変わったというわけではないのだが、心配は消えてくれない。メールで連絡を取ろうとしているが、なかなか返信がこない。急な嵐ということで、みんなが連絡を取ろうとして回線がパンクしているだけだろう。まさか、帰り道で事故に巻き込まれたなんて、そんなことは想像もしたくない。
心配でおかしくなりそうになっていると、握りしめていた携帯電話が震えた。
慌てて見ると、そこには、浅井さんの文字。メールの内容は「電車一本遅れたら止まってたよ」というものだった。
「よかった……」
安心した。私を心配してきてくれたのに、そのせいで事故に巻き込まれたりしたら、自分を許せない。
「その様子だと、琴音は無事だったみたいだな」
「うん……」
ゲームをしながらも、コルテは密かに心配していたのだろう。それが、少し気になった。
コルテは浅井さんと出会ったときから琴音と呼び捨てにしている。もしかして、コルテは浅井さんのことが好きなのだろうか。もしそうなら、心配しているのも納得できる。
コルテが本当に浅井さんのことが好きなら、私はどうしたらいいのだろうか。応援するのだろうか。でも、いずれ捨てられると分かっているのに、このまま同居生活を送るなんて、私には耐えられない。
だから、聞かずにいられない。私は傷つきたくはないから。
「あのさ……コルテは浅井さんのこと、どう思ってるの?」
その問いに、コルテの手が一瞬だけ止まった。動揺しているのだろうか。だとしたら、コルテが好意を抱いている相手は私ではない。それは、とても悲しいことだけど、大火傷する前に知っておきたい。コルテの気持ちがどこにあるのか。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。
あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。
そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。
翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。
しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。
**********
●早瀬 果歩(はやせ かほ)
25歳、OL
元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。
●逢見 翔(おうみ しょう)
28歳、パイロット
世界を飛び回るエリートパイロット。
ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。
翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……?
●航(わたる)
1歳半
果歩と翔の息子。飛行機が好き。
※表記年齢は初登場です
**********
webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です!
完結しました!
ただいま冷徹上司を調・教・中!
伊吹美香
恋愛
同期から男を寝取られ棄てられた崖っぷちOL
久瀬千尋(くぜちひろ)28歳
×
容姿端麗で仕事もでき一目置かれる恋愛下手課長
平嶋凱莉(ひらしまかいり)35歳
二人はひょんなことから(仮)恋人になることに。
今まで知らなかった素顔を知るたびに、二人の関係は近くなる。
意地と恥から始まった(仮)恋人は(本)恋人になれるのか?
隠れ御曹司の愛に絡めとられて
海棠桔梗
恋愛
目が覚めたら、名前が何だったかさっぱり覚えていない男とベッドを共にしていた――
彼氏に浮気されて更になぜか自分の方が振られて「もう男なんていらない!」って思ってた矢先、強引に参加させられた合コンで出会った、やたら綺麗な顔の男。
古い雑居ビルの一室に住んでるくせに、持ってる腕時計は超高級品。
仕事は飲食店勤務――って、もしかしてホスト!?
チャラい男はお断り!
けれども彼の作る料理はどれも絶品で……
超大手商社 秘書課勤務
野村 亜矢(のむら あや)
29歳
特技:迷子
×
飲食店勤務(ホスト?)
名も知らぬ男
24歳
特技:家事?
「方向音痴・家事音痴の女」は「チャラいけれど家事は完璧な男」の愛に絡め取られて
もう逃げられない――
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる