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真の災難
ゲームのキャラに恋するのは規約違反ですか? 40
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「どうしたの?」
「服なんだが……どうやって脱ぐんだ?」
コルテはまだ服を脱いでいなかった。
「一人で脱げないって、幼稚園児じゃないんだから……」
とは言ったが、手伝わない訳にはいかない。
でも、男性の服を脱がせるなんて、破廉恥で恥ずかしい。
「と、とりあえず、手伝ってはあげるから、目はつむってちょうだい!」
「分かった」
コルテは素直に言うことを聞いて目を閉じてくれた。
そう言えば、こうやってじっくりコルテの事を見たことはなかった。
モデルのように背が高いし、体も引き締まっていて筋肉より脂肪を見つける方が大変そうだ。顔立ちも整っていて、肌も艶やかだし、まるで作り物のようだ。まあ、私がシステム上にあるデータから作り出したキャラクターなので、作り物と言っても間違いではないのだが。
「ん? どうしたんだ? 玲? い、いるよな?」
「う、うん。いるよ。大丈夫」
あまりジロジロ観察しても猜疑心をかき立てるだけだ。それに、熱い視線というのは第六感的なもので必ず気づくものだから気を付けなければならない。
「それじゃあ、いくよ」
「あぁ、どこからでもこい」
そう言われても、度胸がない私には、上半身から攻める以外に道はない。
「まずは、両手を上げて」
身長が高いだけあって、コルテの両手は天井に届きそうだ。
「これで、どうするんだ?」
「い、今からやるから!」
コルテが上半身に着ているのは、長袖のTシャツのようなもの。脱がせるのは容易いのだが、背徳感が堪らない。シャツの裾をつかみ、少しだけめくってみると、そこには、テレビでしか見たことがないようなバキバキに割れた腹筋がある。この腹筋はどれだけ硬いのだろうか。こんなに強固な見た目だがくすぐったらどうなるのだろうか。そんな誘惑が頭をよぎるが、今、触るべき時ではないことぐらい分かっている。
必死に興奮を抑え、服を脱がせることに集中する。
「うぐむ……」
九割は脱がせることができ、後は、腕と頭だけ。下には理想の裸体が広がっていることを意識していながらも、上を向いて理性を守る。
裏返したシャツに隠れる頭さえ出れば、もう簡単なのだが、なかなか出てくれない。
「もう少し……」
必死に背伸びをして、シャツを上に引っ張ると、やっと目の前に顔が出た。
「うっ……」
脱がせるのに必死で、顔面がシャツに隠れていることに気がつかなかった。
背伸びをすると、やっと吐息が振れる距離になる。
コルテは気づいていないのか、微動だにしない。
今なら、何をやっても気づかれそうにない。
そう感じると、心の中の浅井さん「キース! キース! キース!」と叫びだした。
今なら間違いなくできる。私が二十年以上守り続けてきたファーストキスが。それも、私の理想の男性に。
私の唇がコルテの唇に近づいていく。
「いやいや無理無理」
そんなことはなく、私はファーストキスと共にコルテから遠ざかっていた。
「ど、どうかしたか?」
コルテが心配してくれるが、こんな破廉恥な事を考えていた私に
「大丈夫。後は手を降ろすだけだから」
コルテが手を降ろすと、シャツも腕を通って下へ落ちた。
これでようやく一難去った。
「じゃあ、次を頼む!」
もう、逃げ場はない。次というのは、ズボンのことだ。
「服なんだが……どうやって脱ぐんだ?」
コルテはまだ服を脱いでいなかった。
「一人で脱げないって、幼稚園児じゃないんだから……」
とは言ったが、手伝わない訳にはいかない。
でも、男性の服を脱がせるなんて、破廉恥で恥ずかしい。
「と、とりあえず、手伝ってはあげるから、目はつむってちょうだい!」
「分かった」
コルテは素直に言うことを聞いて目を閉じてくれた。
そう言えば、こうやってじっくりコルテの事を見たことはなかった。
モデルのように背が高いし、体も引き締まっていて筋肉より脂肪を見つける方が大変そうだ。顔立ちも整っていて、肌も艶やかだし、まるで作り物のようだ。まあ、私がシステム上にあるデータから作り出したキャラクターなので、作り物と言っても間違いではないのだが。
「ん? どうしたんだ? 玲? い、いるよな?」
「う、うん。いるよ。大丈夫」
あまりジロジロ観察しても猜疑心をかき立てるだけだ。それに、熱い視線というのは第六感的なもので必ず気づくものだから気を付けなければならない。
「それじゃあ、いくよ」
「あぁ、どこからでもこい」
そう言われても、度胸がない私には、上半身から攻める以外に道はない。
「まずは、両手を上げて」
身長が高いだけあって、コルテの両手は天井に届きそうだ。
「これで、どうするんだ?」
「い、今からやるから!」
コルテが上半身に着ているのは、長袖のTシャツのようなもの。脱がせるのは容易いのだが、背徳感が堪らない。シャツの裾をつかみ、少しだけめくってみると、そこには、テレビでしか見たことがないようなバキバキに割れた腹筋がある。この腹筋はどれだけ硬いのだろうか。こんなに強固な見た目だがくすぐったらどうなるのだろうか。そんな誘惑が頭をよぎるが、今、触るべき時ではないことぐらい分かっている。
必死に興奮を抑え、服を脱がせることに集中する。
「うぐむ……」
九割は脱がせることができ、後は、腕と頭だけ。下には理想の裸体が広がっていることを意識していながらも、上を向いて理性を守る。
裏返したシャツに隠れる頭さえ出れば、もう簡単なのだが、なかなか出てくれない。
「もう少し……」
必死に背伸びをして、シャツを上に引っ張ると、やっと目の前に顔が出た。
「うっ……」
脱がせるのに必死で、顔面がシャツに隠れていることに気がつかなかった。
背伸びをすると、やっと吐息が振れる距離になる。
コルテは気づいていないのか、微動だにしない。
今なら、何をやっても気づかれそうにない。
そう感じると、心の中の浅井さん「キース! キース! キース!」と叫びだした。
今なら間違いなくできる。私が二十年以上守り続けてきたファーストキスが。それも、私の理想の男性に。
私の唇がコルテの唇に近づいていく。
「いやいや無理無理」
そんなことはなく、私はファーストキスと共にコルテから遠ざかっていた。
「ど、どうかしたか?」
コルテが心配してくれるが、こんな破廉恥な事を考えていた私に
「大丈夫。後は手を降ろすだけだから」
コルテが手を降ろすと、シャツも腕を通って下へ落ちた。
これでようやく一難去った。
「じゃあ、次を頼む!」
もう、逃げ場はない。次というのは、ズボンのことだ。
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