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この世界にはヒーローがいない
ゲームのキャラに恋するのは規約違反ですか? 13
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この世界には、ヒーローなんていない。
齢8歳にして、そんな夢がないことに気づいてしまった。
何の遊びをしていたか、覚えていない。鬼ごっこだったか、かくれんぼだったか、とにかく、子供でもできる道具を使わない遊びをしていた時だ。
私は、鬼に見つからないように、学校の運動場にある用具室の中に隠れていた。
ここまで説明したら、この後どうなったかは分かるだろう。
とてもありがちな展開だ。
私の存在に気づかず、用具室の鍵が閉められたのだ。
普通なら、パニックを起こして泣き叫んだだろう。ただ、私はそうはならなかった。
アニメやマンガで知っていたんだ。
こんなピンチの時には、必ずヒーローが助けてくれる。
その時の私は、同じクラスにいる人気者の男の子が助けに来てくれるとでも思っていたのだろう。
でも、それはアニメやマンガでの話であって、現実にはそんなヒーローはいない。
用具室の扉が開くことはなく、昼休み終了のチャイムが鳴ってしまった。
運動場で遊んでいた子供たちの声が徐々に遠ざかり、誰の声も聞こえなっても、私は信じていた。
ヒーローの存在を。
でも、結局、午後の授業が始まっても、私を助けてくれる人はいなかった。
このままずっと待っていても、誰も来てくれはしない。
そう感じて、やっと気づいた。
ヒーローなんて、都合のいい幻想だって。
そもそも、すべての物語に、ヒーローはいないんだ。人魚姫だって、助けてくれるヒーローがいなくて、最後は泡となって消えるし、カグヤ姫は、ヒーローがいないことに落胆して、月へ帰ってしまう。
私を助けに来てくれるのなら、人魚姫やカグヤ姫だって、ハッピーエンドを迎えたはずなんだ。
結局、私は、助けを待つことをやめて、自力で脱出することにした。
跳び箱を積み上げて、子供では届かない場所にある小さな窓から脱出した。
誤算だったのは、授業時間に間に合わなかったことで先生にこっぴどく怒られたことと、窓から飛び降りたときに着地を失敗して指の骨が折れたこと。
何もかもが、私の味方をしてくれなかった。
それから、私は何でも一人でできるように努力してきた。料理もできるし、掃除もできる。勉強もできるし、スポーツもそれなりにできる。いざというときの護身術だって学んし、パソコンを自分で組み立てることもした。そして、収入もある。
私、桐江玲は、市役所勤務の公務員になっていた。
齢8歳にして、そんな夢がないことに気づいてしまった。
何の遊びをしていたか、覚えていない。鬼ごっこだったか、かくれんぼだったか、とにかく、子供でもできる道具を使わない遊びをしていた時だ。
私は、鬼に見つからないように、学校の運動場にある用具室の中に隠れていた。
ここまで説明したら、この後どうなったかは分かるだろう。
とてもありがちな展開だ。
私の存在に気づかず、用具室の鍵が閉められたのだ。
普通なら、パニックを起こして泣き叫んだだろう。ただ、私はそうはならなかった。
アニメやマンガで知っていたんだ。
こんなピンチの時には、必ずヒーローが助けてくれる。
その時の私は、同じクラスにいる人気者の男の子が助けに来てくれるとでも思っていたのだろう。
でも、それはアニメやマンガでの話であって、現実にはそんなヒーローはいない。
用具室の扉が開くことはなく、昼休み終了のチャイムが鳴ってしまった。
運動場で遊んでいた子供たちの声が徐々に遠ざかり、誰の声も聞こえなっても、私は信じていた。
ヒーローの存在を。
でも、結局、午後の授業が始まっても、私を助けてくれる人はいなかった。
このままずっと待っていても、誰も来てくれはしない。
そう感じて、やっと気づいた。
ヒーローなんて、都合のいい幻想だって。
そもそも、すべての物語に、ヒーローはいないんだ。人魚姫だって、助けてくれるヒーローがいなくて、最後は泡となって消えるし、カグヤ姫は、ヒーローがいないことに落胆して、月へ帰ってしまう。
私を助けに来てくれるのなら、人魚姫やカグヤ姫だって、ハッピーエンドを迎えたはずなんだ。
結局、私は、助けを待つことをやめて、自力で脱出することにした。
跳び箱を積み上げて、子供では届かない場所にある小さな窓から脱出した。
誤算だったのは、授業時間に間に合わなかったことで先生にこっぴどく怒られたことと、窓から飛び降りたときに着地を失敗して指の骨が折れたこと。
何もかもが、私の味方をしてくれなかった。
それから、私は何でも一人でできるように努力してきた。料理もできるし、掃除もできる。勉強もできるし、スポーツもそれなりにできる。いざというときの護身術だって学んし、パソコンを自分で組み立てることもした。そして、収入もある。
私、桐江玲は、市役所勤務の公務員になっていた。
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