予知部と弱気な新入生

小森 輝

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予知部と会長の大きな溝

予知部と弱気な新入生 78

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「入部届は一度生徒会で集計してるんだ。君は運が良かったな」
「そんなことはないですよ……」
 悪霊に呪われているみたいだし、自分の運がいいとはとても思えない。
「あの、それじゃあ、これ、よろしくお願いします」
「確かに受け取った。えっと……白山秋葉さん」
 渡した入部届に書いてある私の名前を確認して呼んでくれた。雷山会長は想像とは真逆で、とても生徒思いで優しそうだ。こんな生徒会長がパンフレットに載っている予知部の部員数をわざと少なく表記して嫌がらせをしているとは思えない。
「それじゃあ、私はこれで」
「あ、待ってください!」
 気になることがあったのに、そのまま去ろうとしていたので、思わず呼び止めてしまった。
「どうした? 話があったら聞くよ」
「あ、いえ、その……」
 反射的に呼び止めてしまったので、話など当然ありはしない。でも、今更、何もなかったなんて言えないし、恋人みたいに「呼んだだけ」なんて死んでも言えない。だから、なにか、なにか話題を探さなければならない。
「えっと……そう、話です。なにか用事があってここに来たんじゃないんですか? 私、留守を任されていて、話を聞くように言われているんです」
「別に用事ってほどじゃないんだ。気を利かせてくれてありがとうね」
「いえ、それじゃあ、先輩には雷山会長が来たとだけ伝えておきます」
「いやいや、それも伝えなくていいよ。なんだか俺がストーカーみたいじゃないか」
 流石に、用事を伝えに来ただけでストーカー扱いするような人間はいないだろう。そもそも、愛先輩と雷山会長は男同士だし……まさか……。
「そう言うことだから。よろしく……いや、待てよ」
 そのまま帰ってしまう流れだったのだが、何かを思いついたらしい。
「君は新入部員だよな? それも、今いるって事はではなく、予知部で活動する立派な部員だよな?」
「そうですけど……」
「やっぱりそうか! それならもしかすると、もしかするかも知れない!」
 雷山会長は踵を返し、興奮気味に私の前まで来て、椅子に座った。
「少し、俺の話を聞いてくれないか?」
「は、はい……」
 雷山会長の表情が、さっきまでの柔らかい表情とは異なり、とても緊迫感のある硬い表情に変わった。こういう部分はやはり生徒会長の素質なのだろうか。
「一昨年のことだ。その年の生徒副会長は素晴らしかった。私は生徒会の一員として、その素晴らしい副会長の志に全力で答えてきたんだ。毎日毎日、無理難題を言われては失敗し……。それでも、俺は答え続けたんだ」
 なぜかは分からないが、突然、思い出話が始まった。
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