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4 若き次期王の悩み
悪役令嬢は見る専です 56
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店内を進み、厨房らしき場所を抜けて、階段を上がると、そこはマンションのように複数のドアが並んでいた。
そう言えば、こういったボーイズバーやガールズバーでは日本で言うラブホテルと併設していることが多いと聞いていた。バーで飲みながら店員を物色し、好みの子がいたらお持ち帰りではなく、そのまま店の中の個室で……という感じらしい。
つまり、ここはそのラブホの中! この部屋のどこかにクラストという人物がいるのだろうか。お客……なら確実にここにいるなんて分からないし、ということは、やはりクラストという人はここの従業員。私が懸念していたとおり、アルフくんは浮気相手に最後の言葉を伝えようとしたのか。
いや、今はそんな浮気とか修羅場とか、そんな事を考えている場合じゃない。
ここのどこかにクラストという人がいるというのなら、客だろうと従業員だろうと、ベッドの上でやっているということ。私たちをその現場に突撃させようと言うのだろうか。
「この部屋です」
いよいよ来てしまった。
震える手でゆっくりとノックしてみた。
「はーい。どうぞー」
そんな返事が中から帰ってきた。
意を決し、ドアを開けてみると、そこは簡素な部屋だった。
ラブホと言えば、全面ピンクとか、ミラーボールが置いてあったりとか、そう言うのを想像していたのだが、普通の質素な部屋だった。いや、日本にいたときもラブホなんて入ったことがなかったので、本当はこんなものなのかもしれない。それに、ここは異世界だからこれが一般的なラブホなのかもしれない。
そんな妙なドキドキと共に部屋を見回すと、ベッドの上にきょとんとした顔で座る美女が座っていた。
いや、この人も男だろう。髪はショートヘアーで、顔立ちも整っていて、女の子と言われたら信じてしまうほどだが、ここにいるという事は、男。
ボーイズバーは可愛いだけの女の代替え品ばかりが集まっていると思っていたのだが、彼は少し違う。美形男子というべきだろうか。確かに中性的な顔で、体も筋肉質ではなくすらっとしているのだが、かっこいいという印象の方が強い。例えるなら、女子校でもてる中性的な文系の先輩といった感じか。と言うことは、メガネが合いそう。
「あの……誰ですか?」
また一人で分析をしていた。ボーイズバーは嫌っていたはずなのだが、意外と私は女装っ子もありなのではないのだろうかと思い始めてきた。
そう言えば、こういったボーイズバーやガールズバーでは日本で言うラブホテルと併設していることが多いと聞いていた。バーで飲みながら店員を物色し、好みの子がいたらお持ち帰りではなく、そのまま店の中の個室で……という感じらしい。
つまり、ここはそのラブホの中! この部屋のどこかにクラストという人物がいるのだろうか。お客……なら確実にここにいるなんて分からないし、ということは、やはりクラストという人はここの従業員。私が懸念していたとおり、アルフくんは浮気相手に最後の言葉を伝えようとしたのか。
いや、今はそんな浮気とか修羅場とか、そんな事を考えている場合じゃない。
ここのどこかにクラストという人がいるというのなら、客だろうと従業員だろうと、ベッドの上でやっているということ。私たちをその現場に突撃させようと言うのだろうか。
「この部屋です」
いよいよ来てしまった。
震える手でゆっくりとノックしてみた。
「はーい。どうぞー」
そんな返事が中から帰ってきた。
意を決し、ドアを開けてみると、そこは簡素な部屋だった。
ラブホと言えば、全面ピンクとか、ミラーボールが置いてあったりとか、そう言うのを想像していたのだが、普通の質素な部屋だった。いや、日本にいたときもラブホなんて入ったことがなかったので、本当はこんなものなのかもしれない。それに、ここは異世界だからこれが一般的なラブホなのかもしれない。
そんな妙なドキドキと共に部屋を見回すと、ベッドの上にきょとんとした顔で座る美女が座っていた。
いや、この人も男だろう。髪はショートヘアーで、顔立ちも整っていて、女の子と言われたら信じてしまうほどだが、ここにいるという事は、男。
ボーイズバーは可愛いだけの女の代替え品ばかりが集まっていると思っていたのだが、彼は少し違う。美形男子というべきだろうか。確かに中性的な顔で、体も筋肉質ではなくすらっとしているのだが、かっこいいという印象の方が強い。例えるなら、女子校でもてる中性的な文系の先輩といった感じか。と言うことは、メガネが合いそう。
「あの……誰ですか?」
また一人で分析をしていた。ボーイズバーは嫌っていたはずなのだが、意外と私は女装っ子もありなのではないのだろうかと思い始めてきた。
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