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4 若き次期王の悩み
悪役令嬢は見る専です 55
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「あの……もう閉店してるんですけど……何か用ですか?」
少し困ったような顔の少年。
手にはモップを持っていて、フリフリのメイド服と相まってかなり可愛い。私より可愛いのかもしてない。男子であれば普通の髪の長さも、この可愛さだとショートヘアーにしか見えない。胸はもちろんないのだが、可愛らしい見た目とボーイッシュな雰囲気が不自然さを完全に消している。正直、ここがボーイズバーでなければ女の子と間違えていた自信がある。
ボーイズバーとしては完璧な仕上がりなのだが、やはり、私とは相容れない。これほど可愛いともはや女の子としてしか見れない。つまり、それは女の代替え品であり、BLではない。
そのことを私は改めて自覚した。
「えっと……用がないのなら出て行ってもらいたいんですけど……」
BLへの思いを再確認していて、話をしようとする気が全くなかった。
いけないいけない。私には頼まれごとがあるので、それを果たさなければ。
「人を探しているの。ここに来たら会えるって言われてね」
「そうですか……それって僕ですか?」
首を傾げるだけでも可愛い。しかも、僕っ子。完全に男を落としにきてやがる。
「確か……クラスト……なんだっけ?」
私はちゃんと覚えていなかったが、セバスは覚えていてくれたようだ。
「クラスト・ビーフェルトです、お嬢様」
「そうそう、そんな感じの名前」
昨日の夜にヒューブさんたちと話していたときは助け船を出してくれなかったので心配していたが、セバスも協力的で良かった。
「クラストですか? それなら、奥にいますけど……」
「そうなんだ。よかった」
アルフくんがこんな子に浮気をしていて、旅立つ前に最後の言葉を残すなんて、それはヒューブさんがかわいそうだ。BLだろうと浮気はいけない。もちろん、複数プレイが嫌いなわけではないが、それとこれとは別問題だ。
「じゃあ、その人と会わせてもらえない? 私、そのクラストって人に用があるの」
「たぶん大丈夫ですけど……荒事とかじゃないですよね?」
「大丈夫大丈夫。そんな事じゃないから」
まあ、アルフくんが渡してくれた魔石の結果次第では荒事になるかもしれないが、そんな修羅場はここでは起こらないだろう。
「じゃあ、案内だけお願いできるかしら?」
「いいですけど……」
疑問はありながらも、この女装男は私たちをクラストという人物の元へと案内してくれた。
少し困ったような顔の少年。
手にはモップを持っていて、フリフリのメイド服と相まってかなり可愛い。私より可愛いのかもしてない。男子であれば普通の髪の長さも、この可愛さだとショートヘアーにしか見えない。胸はもちろんないのだが、可愛らしい見た目とボーイッシュな雰囲気が不自然さを完全に消している。正直、ここがボーイズバーでなければ女の子と間違えていた自信がある。
ボーイズバーとしては完璧な仕上がりなのだが、やはり、私とは相容れない。これほど可愛いともはや女の子としてしか見れない。つまり、それは女の代替え品であり、BLではない。
そのことを私は改めて自覚した。
「えっと……用がないのなら出て行ってもらいたいんですけど……」
BLへの思いを再確認していて、話をしようとする気が全くなかった。
いけないいけない。私には頼まれごとがあるので、それを果たさなければ。
「人を探しているの。ここに来たら会えるって言われてね」
「そうですか……それって僕ですか?」
首を傾げるだけでも可愛い。しかも、僕っ子。完全に男を落としにきてやがる。
「確か……クラスト……なんだっけ?」
私はちゃんと覚えていなかったが、セバスは覚えていてくれたようだ。
「クラスト・ビーフェルトです、お嬢様」
「そうそう、そんな感じの名前」
昨日の夜にヒューブさんたちと話していたときは助け船を出してくれなかったので心配していたが、セバスも協力的で良かった。
「クラストですか? それなら、奥にいますけど……」
「そうなんだ。よかった」
アルフくんがこんな子に浮気をしていて、旅立つ前に最後の言葉を残すなんて、それはヒューブさんがかわいそうだ。BLだろうと浮気はいけない。もちろん、複数プレイが嫌いなわけではないが、それとこれとは別問題だ。
「じゃあ、その人と会わせてもらえない? 私、そのクラストって人に用があるの」
「たぶん大丈夫ですけど……荒事とかじゃないですよね?」
「大丈夫大丈夫。そんな事じゃないから」
まあ、アルフくんが渡してくれた魔石の結果次第では荒事になるかもしれないが、そんな修羅場はここでは起こらないだろう。
「じゃあ、案内だけお願いできるかしら?」
「いいですけど……」
疑問はありながらも、この女装男は私たちをクラストという人物の元へと案内してくれた。
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