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3 親友とその弟
悪役令嬢は見る専です 34
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今日、そして明日は泊まらせてもらうので、部屋まで案内してもらった。
急遽、泊まらせてもらうことになったのだが、馬小屋や物置に宿泊するということはない。この城は私の城よりも大きいのだから、急な客人の一人や二人、いや、10人や20人いたとしても問題ないほどの部屋数があるだろう。しかも、その部屋一つ一つはビジネスホテルなんかと比べものにならないほど広い。そして、私に案内された部屋は、見ただけで私の城の自分の部屋よりも広いことが分かる。ビジネスホテルが勝てる部分はテレビやコンセントがあることぐらいだろう。
「それでは、お嬢様、お荷物は中に入れておきましたので。何かあればお呼びください」
「ありがとう、セバス」
これだけ広い部屋なのだが、ここは一人用。まあ、二人用だろうが、セバスと一緒の部屋になることはない。いくらセバスが私の貴族らしからぬ行動のフォローをしてくれていると言っても、異性と同じ部屋というのはいろいろと問題がある。それに、女王という地位の私とその執事のセバスを一緒の括りにするのは失礼にあたるだろう。私自身は別に身分がどうとかはどうでもいい。
そんなことより、私の懸念は別にある。
「あの二人、大丈夫かしら……」
あの二人というのは城に残してきた二人でも、アルシュとアルフくんの姉弟でもない。私が心配しているのは、先ほど別れたセバスと馬車と馬を移動させにいったベートの二人。彼らはこの部屋よりも小さい部屋に二人きりで寝泊まりする。そう、二人きりでだ! 男同士、密室、二日間、何も起きないはずがない!
しかし、今それが起こってしまうのはまずい。いつもなら大歓迎なのだが、ここは私の城ではない。つまり、城中をくまなく監視する魔法が仕込まれていない。でも、一人で出歩いてしまうのは女王として相応しくない振る舞い。かといって、セバスに話してしまえば計画は失敗に終わる。
「どうしたものか……」
部屋でいくら悩んでも解決策など見つからず、そのまま日が暮れてしまった。
急遽、泊まらせてもらうことになったのだが、馬小屋や物置に宿泊するということはない。この城は私の城よりも大きいのだから、急な客人の一人や二人、いや、10人や20人いたとしても問題ないほどの部屋数があるだろう。しかも、その部屋一つ一つはビジネスホテルなんかと比べものにならないほど広い。そして、私に案内された部屋は、見ただけで私の城の自分の部屋よりも広いことが分かる。ビジネスホテルが勝てる部分はテレビやコンセントがあることぐらいだろう。
「それでは、お嬢様、お荷物は中に入れておきましたので。何かあればお呼びください」
「ありがとう、セバス」
これだけ広い部屋なのだが、ここは一人用。まあ、二人用だろうが、セバスと一緒の部屋になることはない。いくらセバスが私の貴族らしからぬ行動のフォローをしてくれていると言っても、異性と同じ部屋というのはいろいろと問題がある。それに、女王という地位の私とその執事のセバスを一緒の括りにするのは失礼にあたるだろう。私自身は別に身分がどうとかはどうでもいい。
そんなことより、私の懸念は別にある。
「あの二人、大丈夫かしら……」
あの二人というのは城に残してきた二人でも、アルシュとアルフくんの姉弟でもない。私が心配しているのは、先ほど別れたセバスと馬車と馬を移動させにいったベートの二人。彼らはこの部屋よりも小さい部屋に二人きりで寝泊まりする。そう、二人きりでだ! 男同士、密室、二日間、何も起きないはずがない!
しかし、今それが起こってしまうのはまずい。いつもなら大歓迎なのだが、ここは私の城ではない。つまり、城中をくまなく監視する魔法が仕込まれていない。でも、一人で出歩いてしまうのは女王として相応しくない振る舞い。かといって、セバスに話してしまえば計画は失敗に終わる。
「どうしたものか……」
部屋でいくら悩んでも解決策など見つからず、そのまま日が暮れてしまった。
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