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3 親友とその弟
悪役令嬢は見る専です 24
しおりを挟む 翌日、僕はいつも通りに起きました。
シロちゃんもユキちゃんも普通に起きてきて、体調も問題なさそうです。
僕達は、いつも通りに屋敷の庭に移動して訓練を行います。
すると、イストワールさんが心配そうな顔をしながら僕たちの前に現れました。
「レオ君、体調は大丈夫? どこか、おかしいところはない?」
「全然大丈夫です。一晩寝たら、気持ちもすっきりしました」
「でも、無理はしては駄目よ。体に異変があったら、直ぐに休むのよ」
イストワールさんは、僕だけでなくシロちゃんやユキちゃんの体をペタペタと触りながらとても気を使ってくれました。
こういう人がいてくれると、僕もホッとするね。
無事に訓練メニューも消化できたし、朝食を食べて軍の施設に向かいます。
因みに、昨日ソースまみれになった冒険者服はやっぱり汚れが落ちませんでした。
廃棄処分にするしかないと言われたけど、ちょうど小さくなったから良いタイミングだったのかもしれません。
パカパカパカ。
「あれ? 何だか警備がとっても厳重だよ。何かあったのかな?」
馬車に乗って軍の施設に着くと、兵が沢山巡回していて何だか物凄い警戒態勢でした。
昨日ブランドルさんが着た時も、普通の警備体制だったような。
そんな中、僕たちが事務棟に入るとそのまま師団長執務室に案内されました。
きっと、昨日の三人組が暴れた件ですね。
「その話は、この後来る人が到着したらする予定だよ。もう間もなく着くだろうから、少し待っていてね」
あれれ?
マイスター師団長さんは、何だかナイショってポーズをしたよ。
ブランドルさんもビクターさんも、他の人達もナイショみたいだし、直ぐに分かるっていうから僕たちはソファーに座っていました。
そして三十分後、昨日に引き続いて予想外の人が現れました。
コンコン。
「失礼します、宰相がお見えになりました」
えっ、宰相?
宰相って、この国でもかなり偉い人じゃ。
僕は、どんな人が部屋の中に入ってくるのかと思っていていました。
「おお、レオ君、ここにいたのか。随分と大きくなったのう」
「あっ、チャーリーさんです! 宰相になるかもって言われてたけど、本当になったんですね」
「その事も覚えていたか。宰相になったのは、年が明けて直ぐだがな」
何と師団長執務室に入ってきたのは、久々にあったチャーリーさんです。
僕とシロちゃんは、とってもビックリしちゃいました。
でも、チャーリーさんと初めて会うユキちゃんは、きょとんとした表情をしていました。
「チャーリーさん、お友達のユキちゃんです」
「アオン!」
「この子が、黒髪の天使様が保護したというコボルトか。確かに珍しい毛色をしているな」
あっ、チャーリーさんも僕がユキちゃんを保護した時の事を知っていたんだ。
という事は、王都でも噂が広まっているんだ。
すると、チャーリーさんはとても心配そうな表情をしました。
「レオ君が兵に暴行を受けたという話を聞いた時は、本当に心配したよ。元々今日施設の視察をする予定だったから、予定を早めて来たんだよ」
チャーリーさんは、僕の頭を撫でながらこの場にいる理由を教えてくれました。
もしかしたら、ビクターさんとブランドルさんが先に来て、あとからチャーリーさんが合流する予定だったのかも。
何はともあれ、チャーリーさんもソファーに座ってみんなでマイスター師団長さんの話を聞くことになりました。
「レオくん達に暴行した三人組だが、ありゃ全く話にならない。未だに、自分たちは貴族子弟なのだから拘束するのはおかしいと言っている。反省の欠片もないぞ」
「それもこれも、あの試験官に賄賂を渡して軍に入った事がきっかけか。奴は、五十人以上から不正な賄賂を受けていたようだ」
ブランドルさんが追加情報を付け加えてくれたけど、僕もあの三人はまともな人じゃないと思っている。
僕じゃなくても、他の小さい子や一般市民に間違いなく危害を加えていたはずです。
「親も同様だ。最初は軍の協力者に危害を加えたと聞いて急いでやってきたけど、相手が平民の子どもと聞いてガラリと態度を変えた。賄賂についてもあっさりと認めて、このくらい別に良いだろうと完全に開き直っています。更に、軍務大臣よりも上の者を呼んでこいとふざけた事を言っています。贈収賄の令状が発行された為、現在は逮捕して拘束しております」
「ふむ、久々に聞いた馬鹿だな。なら、閣僚を統括する私が直々に話を聞いてやろう。どうせ、後ろめたい事もやっているだろうな」
チャーリーさんも厳しい顔になるくらい、あの三人組の親も凄い人なんだ。
マイスター師団長さんが僕に親を会わせなかったけど、その判断は正解だったのかもしれない。
僕だって、そういう人とは会いたくないなあ。
すると、この場にいる全員がおもむろに立ち上がりました。
「あれ? 皆さんどこに行くんですか?」
「これからグラウンドで、訓示を行う事になっているんだよ。レオ君は、ここでコレットと共に見ていてくれ」
マイスター師団長さんがそう言って、コレットさん以外の人を引き連れてグラウンドに向かって行きました。
これから、偉い人達のお仕事が始まるんだ。
僕達は席を立って、グラウンドが見える窓際に移動しました。
シロちゃんもユキちゃんも普通に起きてきて、体調も問題なさそうです。
僕達は、いつも通りに屋敷の庭に移動して訓練を行います。
すると、イストワールさんが心配そうな顔をしながら僕たちの前に現れました。
「レオ君、体調は大丈夫? どこか、おかしいところはない?」
「全然大丈夫です。一晩寝たら、気持ちもすっきりしました」
「でも、無理はしては駄目よ。体に異変があったら、直ぐに休むのよ」
イストワールさんは、僕だけでなくシロちゃんやユキちゃんの体をペタペタと触りながらとても気を使ってくれました。
こういう人がいてくれると、僕もホッとするね。
無事に訓練メニューも消化できたし、朝食を食べて軍の施設に向かいます。
因みに、昨日ソースまみれになった冒険者服はやっぱり汚れが落ちませんでした。
廃棄処分にするしかないと言われたけど、ちょうど小さくなったから良いタイミングだったのかもしれません。
パカパカパカ。
「あれ? 何だか警備がとっても厳重だよ。何かあったのかな?」
馬車に乗って軍の施設に着くと、兵が沢山巡回していて何だか物凄い警戒態勢でした。
昨日ブランドルさんが着た時も、普通の警備体制だったような。
そんな中、僕たちが事務棟に入るとそのまま師団長執務室に案内されました。
きっと、昨日の三人組が暴れた件ですね。
「その話は、この後来る人が到着したらする予定だよ。もう間もなく着くだろうから、少し待っていてね」
あれれ?
マイスター師団長さんは、何だかナイショってポーズをしたよ。
ブランドルさんもビクターさんも、他の人達もナイショみたいだし、直ぐに分かるっていうから僕たちはソファーに座っていました。
そして三十分後、昨日に引き続いて予想外の人が現れました。
コンコン。
「失礼します、宰相がお見えになりました」
えっ、宰相?
宰相って、この国でもかなり偉い人じゃ。
僕は、どんな人が部屋の中に入ってくるのかと思っていていました。
「おお、レオ君、ここにいたのか。随分と大きくなったのう」
「あっ、チャーリーさんです! 宰相になるかもって言われてたけど、本当になったんですね」
「その事も覚えていたか。宰相になったのは、年が明けて直ぐだがな」
何と師団長執務室に入ってきたのは、久々にあったチャーリーさんです。
僕とシロちゃんは、とってもビックリしちゃいました。
でも、チャーリーさんと初めて会うユキちゃんは、きょとんとした表情をしていました。
「チャーリーさん、お友達のユキちゃんです」
「アオン!」
「この子が、黒髪の天使様が保護したというコボルトか。確かに珍しい毛色をしているな」
あっ、チャーリーさんも僕がユキちゃんを保護した時の事を知っていたんだ。
という事は、王都でも噂が広まっているんだ。
すると、チャーリーさんはとても心配そうな表情をしました。
「レオ君が兵に暴行を受けたという話を聞いた時は、本当に心配したよ。元々今日施設の視察をする予定だったから、予定を早めて来たんだよ」
チャーリーさんは、僕の頭を撫でながらこの場にいる理由を教えてくれました。
もしかしたら、ビクターさんとブランドルさんが先に来て、あとからチャーリーさんが合流する予定だったのかも。
何はともあれ、チャーリーさんもソファーに座ってみんなでマイスター師団長さんの話を聞くことになりました。
「レオくん達に暴行した三人組だが、ありゃ全く話にならない。未だに、自分たちは貴族子弟なのだから拘束するのはおかしいと言っている。反省の欠片もないぞ」
「それもこれも、あの試験官に賄賂を渡して軍に入った事がきっかけか。奴は、五十人以上から不正な賄賂を受けていたようだ」
ブランドルさんが追加情報を付け加えてくれたけど、僕もあの三人はまともな人じゃないと思っている。
僕じゃなくても、他の小さい子や一般市民に間違いなく危害を加えていたはずです。
「親も同様だ。最初は軍の協力者に危害を加えたと聞いて急いでやってきたけど、相手が平民の子どもと聞いてガラリと態度を変えた。賄賂についてもあっさりと認めて、このくらい別に良いだろうと完全に開き直っています。更に、軍務大臣よりも上の者を呼んでこいとふざけた事を言っています。贈収賄の令状が発行された為、現在は逮捕して拘束しております」
「ふむ、久々に聞いた馬鹿だな。なら、閣僚を統括する私が直々に話を聞いてやろう。どうせ、後ろめたい事もやっているだろうな」
チャーリーさんも厳しい顔になるくらい、あの三人組の親も凄い人なんだ。
マイスター師団長さんが僕に親を会わせなかったけど、その判断は正解だったのかもしれない。
僕だって、そういう人とは会いたくないなあ。
すると、この場にいる全員がおもむろに立ち上がりました。
「あれ? 皆さんどこに行くんですか?」
「これからグラウンドで、訓示を行う事になっているんだよ。レオ君は、ここでコレットと共に見ていてくれ」
マイスター師団長さんがそう言って、コレットさん以外の人を引き連れてグラウンドに向かって行きました。
これから、偉い人達のお仕事が始まるんだ。
僕達は席を立って、グラウンドが見える窓際に移動しました。
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