悪役令嬢は見る専です

小森 輝

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2 boys loveを求めて……

悪役令嬢は見る専です 19

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 今のところ、ルーデンくんに変わった動きはない。立ち寄った場所も花や苗が店頭に並ぶ園芸店のような場所だけで、今はもう城の方へと足を向けている。それに、園芸店で買ったあの大きな袋。あれではもう他にお店を回って買い物をすることも出来ないだろう。私の予想は外れてしまったようだ。いつもいつも、私は少し空回りが過ぎるのかもしれない。興奮しすぎて暴走したのを反省した後だというのに、また私は暴走してしまったようだ。その証拠に、ルーデンくんは特に何も怪しい行動はしなかった。そして、もう一つ……。
「少し寒くなってきた……」
 部屋着で来てしまったのに加え、慣れない運動で汗をかき、それによって体が冷え、今はとても寒い。これも私が考えなしに行動してしまった結果。
「お嬢様、お体が冷えます。これを」
 ちょうど冷えていた体に後ろから暖かな布をかけてくれた。
「……ありがとう」
 私の体は無意識に動いて、かけられた布の袖に腕を通していた。
「あれ……」
 肌触りがよく上質な生地。それに、控えめながら品のある装飾。よく見れば、これは私の上着……。
「って、セバス!?」
 後ろを見ると、そこにいたのは私の執事、セバスだ。つまり、私に上着をかけてくれたのは執事のセバスということになる。
 そんな誰が私に上着をくれたのかなんて、今はどうでもいい。
「どうしてセバスがここにいるのよ!」
 いつもならセバスは城の掃除や洗濯をしているはず。町にいるというのなら、ルーデンくんのように買い物が用事なのだろうが、しかし、セバスは買い物を他の人に頼んでいる。例えば、茶葉ならザックさんに、掃除道具ならルーデンくんにと。ただでさえ広い城を一人で掃除しているのだ。時間は誰よりも足りないだろう。それなのに、何でこんなところに……。まさか、ルーデンくんの逢い引き相手はセバスだったのか! それで、私を見つけたセバスが忠告の為に私の下に……。やはり、隠密魔法を習得するべきだろうか。
 私はそんな下劣なことを考えていたが、事実はとても恥ずかしいものだった。
「お嬢様が薄着で出ていくのを見かけましたので……。最近は冷えてきましたので風邪をひいてはいけないと思い、上着をお持ちしたんです」
 私が考えていることを汲んでくれるどころか、私の至らない部分を補ってまでくれている。まさに、完璧な執事。しかし、セバスは追跡できる魔法を使えなかったはず。まさか、私の思考を読んでここまで上着を届けてくれたのだろうか。そうだとしたら、もはや恐ろしさを抱くほどだ。
「それより、お嬢様は何を?」
「あっ、そうだった」
 私はルーデンくんを尾行している最中だった。
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