悪役令嬢は見る専です

小森 輝

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1 供給がなければ作ればいいじゃない!

悪役令嬢は見る専です 7

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「それでは気を取り直して……。さあ、やってまいりました! 第一回、××しないと出られない部屋inウェラベルグ!」
「あ、そこから始めるんですね」
 セバスの突っ込みなんて気にせずに、私は話を進める。
「それじゃあ、三人には私が出す指示に従ってもらいます。それではまずはレベル1!」
「レベル1って、いったい何レベルまであるんですか……」
「そうね……801って言いたいところだけど」
「何ですか、その半端な数字は」
「801回なんてやってる暇ねえぞ! こっちはまだ仕事が残ってんだ!」
 ザックさんが大声で訴えてくるとおりだ。801個のお題なんて何時間かかるか分からないし、それに、801個のお題を考えるこちらの方が大変そうだ。
「仕方ないわね。特別に5個にしておいてあげる」
「ずいぶんと減りましたね」
 うるさいセバスの相手はもうせずに、監禁している三人に集中する。
「それじゃあ、レベル1の命令を発表します」
 監禁されている三人は、どんな無理難題がくるのかと怯えている。
「抱き合ってください」
 私の要求に三人ともキョトンとしている。
「そんなことでいいのか?」
「ええ。まずは低いレベルから徐々に慣らしていきましょう」
 いきなりハードなことを要求して同姓を嫌いにはなってほしくない。まずは簡単なことから徐々に腐らせていき、気づいた頃には愛が芽生えているという作戦だ。
「あぁ、抱き合うのはザックさんとルーデンくんね。ベートさんにもちゃんと見せ場は準備してるから心配しないで」
 最後の言葉でベートさんはあからさまに嫌な顔をしているが、これもいつか照れ隠しになるだろう。
「それじゃあ、よろしくお願いします!」
「あ、あぁ……」
 案外、スムーズに話が進むが、これには理由がある。一つは、この世界が同性愛というものに嫌悪感があまりないこと。そして、もう一つは、この城の住人が全員飢えていることだ。もちろん、私はBLに飢えているが、使用人の四人も性欲に飢えているはずだ。なんせ、この城の使用人は全員住み込み制。長い間、誰一人として性欲を解消していない。そんな中で同姓との愛を自覚させれば……。答えは言うまでもないはずだ。
 何の変哲もない男性同士の抱き合いだけでも変化は訪れるはず。
 さあ、さあ!
「っていうか、俺たちがこんなことする必要あるのか? 男同士のそう言うのが見たいんなら、ボーイズバーに行けばいいだろ。あそこなら、男が男の体を買っているわけだし」
 ザックさんの主張。それは私の地雷を踏み抜く言葉だった。
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