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オタサーの姫vsオタサーの王子
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一旦、引き上げた私は、自分の部屋で明日の対策を考えていた。
「とりあえず、私の知り合いはいないから、あの元婚約者と交えてカラオケでも……って、そっかぁ……電気ないからカラオケなんてないかぁ……」
電気がないこの世界では、現代日本での遊びはほとんど出来そうにない。
「都合よく、魔法とかで電気がなくても音楽が流れたりしたらいいのに……」
それも、あの乗り心地が悪い馬車を経験してしまえば、希望もなくなる。魔法があれば乗り心地が悪い馬車じゃなくてワープとか瞬間移動みたいな感じで一瞬で移動できたりするだろうし。
「はぁ……この世界って何ができるんだろう……」
電気もない時代の生活なんて考えたこともなかった。電気がなければ冷蔵庫もないからタピオカなんかの冷たい飲み物もないだろう。
「今はいいけど、夏は大変そう……」
電気がなければエアコンもない。夏の暑さをしのぐのは、辛そうだ。化粧が崩れなければいいのだが……。
先の話よりも今は明日のことを考えなければ。
「私たちが本領を発揮する場は出会いの場。あいつのやり方を見るならそれなんだけど……。この世界での出会いってなんだろう……」
学校……はあるかどうか分からないけど、婚約なんてしていることからも私とは無関係。
となると、合コンだろう。だけど、そんなのどこでやるんだろうか。もちろん、カラオケはない。他だと、やはりベタにカフェとか居酒屋だろうか。この世界にもお食事所ぐらいはあるだろう。
「問題はどうやって誘うのか、かぁ……」
もちろん、スマホなんてない。電話もない。合コンを開くにしてもこれでは人を集めることが出来ない。
そんなとき、部屋の扉がノックされた。
「……誰?」
「パパだよ、ミカエラ。少し話があってね」
訪ねてきたのは私ことミカエラの父親だった。
「話ってなに?」
「あぁ、やっぱり落ち込んでいると思ってね。少しでも気晴らしになればって思って」
そう言って渡されたのは一枚の紙だった。
「新しい出会いが心を癒してくれるかもしれないから」
「新しい……出会い!」
それは今の私が最も欲しかった情報。
紙を見ると、そこには「社交界」と書かれていた。
「そうか! これか!」
わざわざ合コンで有象無象から選別する必要はない。私もお姫様。つまり貴族。ならば、そんな私の知り合いも貴族。社交界、もしくは舞踏会なんていうおとぎ話でしか聞いたことがないパーティーが私には相応しいんだ。
「でも、パパ……これは流石に配慮不足じゃない?」
「なにがだい?」
気づいていないようだ。この社交界の主催者に。
主催者は「クラヴィス」と書いてある。その名前は私の元婚約者の名前。流石に配慮に欠けると思うが、気づいていないのなら仕方がない。
「分かった、パパ。明日、これに行くよ」
それに、これはうってつけのチャンスだ。
「とりあえず、私の知り合いはいないから、あの元婚約者と交えてカラオケでも……って、そっかぁ……電気ないからカラオケなんてないかぁ……」
電気がないこの世界では、現代日本での遊びはほとんど出来そうにない。
「都合よく、魔法とかで電気がなくても音楽が流れたりしたらいいのに……」
それも、あの乗り心地が悪い馬車を経験してしまえば、希望もなくなる。魔法があれば乗り心地が悪い馬車じゃなくてワープとか瞬間移動みたいな感じで一瞬で移動できたりするだろうし。
「はぁ……この世界って何ができるんだろう……」
電気もない時代の生活なんて考えたこともなかった。電気がなければ冷蔵庫もないからタピオカなんかの冷たい飲み物もないだろう。
「今はいいけど、夏は大変そう……」
電気がなければエアコンもない。夏の暑さをしのぐのは、辛そうだ。化粧が崩れなければいいのだが……。
先の話よりも今は明日のことを考えなければ。
「私たちが本領を発揮する場は出会いの場。あいつのやり方を見るならそれなんだけど……。この世界での出会いってなんだろう……」
学校……はあるかどうか分からないけど、婚約なんてしていることからも私とは無関係。
となると、合コンだろう。だけど、そんなのどこでやるんだろうか。もちろん、カラオケはない。他だと、やはりベタにカフェとか居酒屋だろうか。この世界にもお食事所ぐらいはあるだろう。
「問題はどうやって誘うのか、かぁ……」
もちろん、スマホなんてない。電話もない。合コンを開くにしてもこれでは人を集めることが出来ない。
そんなとき、部屋の扉がノックされた。
「……誰?」
「パパだよ、ミカエラ。少し話があってね」
訪ねてきたのは私ことミカエラの父親だった。
「話ってなに?」
「あぁ、やっぱり落ち込んでいると思ってね。少しでも気晴らしになればって思って」
そう言って渡されたのは一枚の紙だった。
「新しい出会いが心を癒してくれるかもしれないから」
「新しい……出会い!」
それは今の私が最も欲しかった情報。
紙を見ると、そこには「社交界」と書かれていた。
「そうか! これか!」
わざわざ合コンで有象無象から選別する必要はない。私もお姫様。つまり貴族。ならば、そんな私の知り合いも貴族。社交界、もしくは舞踏会なんていうおとぎ話でしか聞いたことがないパーティーが私には相応しいんだ。
「でも、パパ……これは流石に配慮不足じゃない?」
「なにがだい?」
気づいていないようだ。この社交界の主催者に。
主催者は「クラヴィス」と書いてある。その名前は私の元婚約者の名前。流石に配慮に欠けると思うが、気づいていないのなら仕方がない。
「分かった、パパ。明日、これに行くよ」
それに、これはうってつけのチャンスだ。
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