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5 聖地、独立国家

アルスター 55

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 結局、人類王の稽古は夜まで続き、僕の体は筋肉疲労と打撲で悲鳴を上げていた。
「つ、疲れた……」
 あまりの疲労にソファに倒れ込んだ。
「お疲れさま。案外、大変だったみたいね」
「まさか、僕たちの王様があんなに強いなんて思わなかったよ」
「まあ、私も魔法の力では国内でトップクラスだし、国の頂点なんだし、それなりに、ね」
「王とか女王っていうものの印象がずいぶんと変わったよ」
 もっと楽をしながら贅沢をしているものだと思っていた。メリルだって、能力があるから妖精女王になったわけだし、ドワーフ王も飛行船を作ることが出きるほどの技術力を持っている。国を治める人たちはすごい人ばかりだ。
「とりあえず、飛行船ができるまでは稽古をつけてやるから覚悟しておくんじゃな」
「は、はい!」
 もはや僕にとって、人類王は鬼教官となってしまった。
 自身が強くなるため、そして、メリルを守るための力なので、稽古をつけてくれることは有り難いのだが、流石にスパルタすぎる。この稽古がいつまで続くのだろうかと思っていると、ちょうど良いところにドワーフ王が戻ってきた。
「おう、ちょうど今から酒を飲みに行こうと思ってるんだが、一緒に行くか?」
「もしかして、飛行船、できたんですか?」
「いやいや、まだまだ。あと3日はかかると思うぞ」
「そうなんですね……」
 あと3日は人類王の稽古を受けなければならないようだ。それまでに、人類王とまでは言わないが、ある程度強くならなければ。そう考えると、今後の稽古も苛烈を極めること間違いなしだ。
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