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5 聖地、独立国家
アルスター 44
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僕たち、人類王、妖精女王、ドワーフ王の地上にある3種族の元王ともう一人、小さな村出身のちっぽけな人間の僕の4人で、ここまできたときに使った荷馬車に乗っていた。
「おう、アルスター、お前も食うだろ? 甘くて結構いけるぞ」
そう言って、ドワーフ王が何かの果物を渡してきた。
「ありがとうございます……」
ずいぶん気分も良くなっていて、ちょうどお腹が減っていたところだ。
でも……。
「これ、どうやって食べるの?」
「そりゃあ、男らしく丸かじりよ!」
「そう……」
持った感じ、堅そうなのだが、僕の歯で太刀打ちできるだろうか。
「ちょ、ちょっとそれ、中の種の周りを食べるのよ! 果肉を食べるものじゃないんだから!」
「そ、そうなの?」
危なかった。メリルが止めてくれなかったらかじっていたところだ。
「それにしても、果物か野菜しかないな……。肉はないのか?」
「エルフは菜食主義だから肉は食べないのよ」
「へぇー。そうなんだ」
種族が違えば食事もいろいろ違うのだろう。
「アルスターも菜食主義になったらどう?」
「やめておけ。人間が必要な栄養素には肉でしか接種できないものもある。それに、肉を食わんと体が育たんぞ。まあ、儂は肉は胃がもたれてな。野菜や果実の方が助かるわ」
人類王は素手であれだけ戦えるのだが、見た目通りの年寄りで、体の至る所にガタがきているのだろう。
でも、もし、肉体以外の力が働いているとしたら……。
そのことについて、メリルが切り出してくれた。
「人類王、聞きたいのだけれど、陰陽術っていうのは知ってる?」
「陰陽術? 知らんな……。それがどうかしたのか?」
「敵の人間が使ってきたのよ。お願い。他国に秘密の力を隠しておきたい気持ちは分かるけど、今私たちが立ち向かおうとしている敵はその力を持っているの。だから、隠し事なく教えてちょうだい」
「そう言われてもな……知らないものは知らないとしか言えんのじゃが」
本当に知らないのなら仕方がない。
「ちなみに、その陰陽術では何ができたんだ?」
「とりあえず、空間転移ね。他にも攻撃魔法を持っていると思うけど、使ってはこなかったわ」
しかも、その空間転移はエルフの結界をもすり抜ける高度なもの。何か知っているかもしれないと思ったが、どうやら見込み違いだったようだ。
「それより、もうすぐだ。地下への行き方、間違えるなよ。ここでドラゴンに襲撃なんてされたくないからな」
「そう言うのやめなさいよ。言霊っていうこともあるんだから」
不安になりながらも、この馬車は地下へと入っていった。
「おう、アルスター、お前も食うだろ? 甘くて結構いけるぞ」
そう言って、ドワーフ王が何かの果物を渡してきた。
「ありがとうございます……」
ずいぶん気分も良くなっていて、ちょうどお腹が減っていたところだ。
でも……。
「これ、どうやって食べるの?」
「そりゃあ、男らしく丸かじりよ!」
「そう……」
持った感じ、堅そうなのだが、僕の歯で太刀打ちできるだろうか。
「ちょ、ちょっとそれ、中の種の周りを食べるのよ! 果肉を食べるものじゃないんだから!」
「そ、そうなの?」
危なかった。メリルが止めてくれなかったらかじっていたところだ。
「それにしても、果物か野菜しかないな……。肉はないのか?」
「エルフは菜食主義だから肉は食べないのよ」
「へぇー。そうなんだ」
種族が違えば食事もいろいろ違うのだろう。
「アルスターも菜食主義になったらどう?」
「やめておけ。人間が必要な栄養素には肉でしか接種できないものもある。それに、肉を食わんと体が育たんぞ。まあ、儂は肉は胃がもたれてな。野菜や果実の方が助かるわ」
人類王は素手であれだけ戦えるのだが、見た目通りの年寄りで、体の至る所にガタがきているのだろう。
でも、もし、肉体以外の力が働いているとしたら……。
そのことについて、メリルが切り出してくれた。
「人類王、聞きたいのだけれど、陰陽術っていうのは知ってる?」
「陰陽術? 知らんな……。それがどうかしたのか?」
「敵の人間が使ってきたのよ。お願い。他国に秘密の力を隠しておきたい気持ちは分かるけど、今私たちが立ち向かおうとしている敵はその力を持っているの。だから、隠し事なく教えてちょうだい」
「そう言われてもな……知らないものは知らないとしか言えんのじゃが」
本当に知らないのなら仕方がない。
「ちなみに、その陰陽術では何ができたんだ?」
「とりあえず、空間転移ね。他にも攻撃魔法を持っていると思うけど、使ってはこなかったわ」
しかも、その空間転移はエルフの結界をもすり抜ける高度なもの。何か知っているかもしれないと思ったが、どうやら見込み違いだったようだ。
「それより、もうすぐだ。地下への行き方、間違えるなよ。ここでドラゴンに襲撃なんてされたくないからな」
「そう言うのやめなさいよ。言霊っていうこともあるんだから」
不安になりながらも、この馬車は地下へと入っていった。
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