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「なめやがって。やっちまえ!」
その号令と同時に三人の盗賊が襲いかかってきた。
「どこからでもかかってきなさい!」
ノワールはというと、ファイティングポーズは取っているものの、どう見ても策はない。つまり、俺がどうにかするしかない。
戦えるすべがあるとはいえ、複数人を同時に相手することはできない。なので、一人ずつ倒していくしかない。まずは正面の盗賊から。
「ほえ? な、何ですの?」
動かないノワールを腕を引っ張り正面へと向かわせた。
「な、なんだこいつ!」
無理矢理、腕を引っ張ってノワールを動かせたので、変な動きになっていたのだろう。だが、これで距離は詰められた。
慌てて剣を振り下ろす盗賊だが、すでに殺意の籠もった剣をいなしているので問題はない。
「ええ! う、腕が勝手に!」
難なく剣をはじき返し、そのまま返す刀の要領で盗賊の顎をめがける。
「い、今、勝手に……。ですが、これはチャンスですわ!」
なにやらノワールが感づき始めたが、今更もうどうだっていい。
そのまま、俺は盗賊の顎をジャストミートした。いや、クリティカルヒットだろうか。それほど、気持ちのいい当たり方をした。
それもあってか、盗賊は想像以上に飛んでいき、ついでに飛んでいった方向にいた盗賊一人も巻き添えにしていた。飛んだ方向はラッキーだ。しかし、この超パワー。おそらく、ノワールと行動が一致したら俺の力も上乗せされるのだろう。狙って出せればいいのだが、意志疎通がとれない分、難しいだろう。
「何でかは分かりませんけど、今の私、すごく強いみたいですわ……」
そして、少し勘違いしているノワールは最後の一人になった盗賊にロックオンした。
「な、なんだ、こら。やんのか」
流石にこんな状況になれば盗賊も異変を感じ取っているようだ。今までの威勢はどこへやら。ただの貴族のお嬢様であるノワールに後ずさりしている。
「先手必勝ですわ!」
戦闘力はほぼないとはいえ、形勢は逆転している。ノワールがただ歩み寄るだけでもビビり、易々と一撃を食らわせることができた。こう言う堂々としているところはノワールの強みと言えるだろう。
「よしっ! 退治完了!」
改めてみると、丸腰の女性が武器を持った盗賊相手に圧勝しているなんて、すごい光景だ。
「ですけれど、どうして急にこんな力が……。やっぱり、これが原因ですわよね」
今まではなるべく気づかれないようにと気を使っていたが、流石に今回はやりすぎたようだ。扇子になにか原因があると気づかれてしまうのも無理はない。
「今は考えないようにしましょう。それより、襲われていた方にもう安全だとお伝えしなくては」
小走りで馬車へと向かい、扉を開けた。
「外にいる賊は全て片づけましたから、もう安全ですわ……よっ!」
そこにいたのは、ゲームだったこの世界の主人公、リースだった。
その号令と同時に三人の盗賊が襲いかかってきた。
「どこからでもかかってきなさい!」
ノワールはというと、ファイティングポーズは取っているものの、どう見ても策はない。つまり、俺がどうにかするしかない。
戦えるすべがあるとはいえ、複数人を同時に相手することはできない。なので、一人ずつ倒していくしかない。まずは正面の盗賊から。
「ほえ? な、何ですの?」
動かないノワールを腕を引っ張り正面へと向かわせた。
「な、なんだこいつ!」
無理矢理、腕を引っ張ってノワールを動かせたので、変な動きになっていたのだろう。だが、これで距離は詰められた。
慌てて剣を振り下ろす盗賊だが、すでに殺意の籠もった剣をいなしているので問題はない。
「ええ! う、腕が勝手に!」
難なく剣をはじき返し、そのまま返す刀の要領で盗賊の顎をめがける。
「い、今、勝手に……。ですが、これはチャンスですわ!」
なにやらノワールが感づき始めたが、今更もうどうだっていい。
そのまま、俺は盗賊の顎をジャストミートした。いや、クリティカルヒットだろうか。それほど、気持ちのいい当たり方をした。
それもあってか、盗賊は想像以上に飛んでいき、ついでに飛んでいった方向にいた盗賊一人も巻き添えにしていた。飛んだ方向はラッキーだ。しかし、この超パワー。おそらく、ノワールと行動が一致したら俺の力も上乗せされるのだろう。狙って出せればいいのだが、意志疎通がとれない分、難しいだろう。
「何でかは分かりませんけど、今の私、すごく強いみたいですわ……」
そして、少し勘違いしているノワールは最後の一人になった盗賊にロックオンした。
「な、なんだ、こら。やんのか」
流石にこんな状況になれば盗賊も異変を感じ取っているようだ。今までの威勢はどこへやら。ただの貴族のお嬢様であるノワールに後ずさりしている。
「先手必勝ですわ!」
戦闘力はほぼないとはいえ、形勢は逆転している。ノワールがただ歩み寄るだけでもビビり、易々と一撃を食らわせることができた。こう言う堂々としているところはノワールの強みと言えるだろう。
「よしっ! 退治完了!」
改めてみると、丸腰の女性が武器を持った盗賊相手に圧勝しているなんて、すごい光景だ。
「ですけれど、どうして急にこんな力が……。やっぱり、これが原因ですわよね」
今まではなるべく気づかれないようにと気を使っていたが、流石に今回はやりすぎたようだ。扇子になにか原因があると気づかれてしまうのも無理はない。
「今は考えないようにしましょう。それより、襲われていた方にもう安全だとお伝えしなくては」
小走りで馬車へと向かい、扉を開けた。
「外にいる賊は全て片づけましたから、もう安全ですわ……よっ!」
そこにいたのは、ゲームだったこの世界の主人公、リースだった。
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