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リナが誘った冒険者二人も同じ反応を示すのかと思ったのだが、どうやらちゃんと考えてくれるようだ。
「気配感知ステータスが高い人がいれば、急にモンスターとエンカウントする可能性もなくなるし、戦闘中に別のモンスターが後ろから襲ってくることもなくなるし、便利ではあるな……」
そう提案したのは弓使いの男だ。おそらく、普段からそう言った危険に直面しているのだろう。
「俺は目の前にモンスターがいたらそっちに集中するから周りのことはあんまり分からないんだよな」
タンク役がパーティー全体を見ることができないのは仕方のないことだ。逆に、そう言ったことには、後ろで攻撃をする弓使いの冒険者がよく分かるのだろう。どうやら、リナの必要性は高いようだ。後は、モンスターと対峙したときにどれだけの戦闘能力があるのかということだ。
「ステータスを見た感じ、オールラウンダーって感じだけど、何をメインに使ってるのかな?」
「オールラウンダー? メイン?」
どうやら皇女様には聞き慣れない言葉だったようだ。
「えっと、オールラウンダーはひとまず忘れてもらって、メインっていうのは、戦うときに何を中心に使って戦うのかってこと。武器ならその種類と、あとは魔法とか」
「魔法は戦うようなものは何も……。回復魔法なら少しだけ使えます。武器は……」
そこでリナは僕の方を見た。リナは連れ出したときに何かを持ってきたわけでもないので一文無しだ。つまり、武器なんて持ってはいない。
「僕が使わないのをあげるから」
僕は短剣をメインに使っているので、他の武器は必要ない。その中で、リナに合いそうな武器を渡してやろう。遠距離だと弓がいいのだが、使っている人がいるので、今回はやめておこう。となると、近接武器になるのだが、大剣や斧といった重い武器はリナの筋力ステータス的にやめておいた方がいいだろう。つまり、軽くて扱いやすそうな武器になる。
「レイピアなんてどうだろう」
僕が取り出したのは、刀身が細身の片手剣であるレイピアだ。軽くて扱いやすいし、片手で扱うので、魔法も使いやすいだろう。オールラウンダー向けの武器とも言えるのでリナにはお似合いなのかもしれない。
「ありがとうございます。なるほど、レイピアって言うんですね」
僕から受け取った武器をじっと見つめてくれるのは嬉しいことだが、今は僕と二人だけではない。
「えっと……武器はレイピアってことでいいのかな?」
「あっ。はい。すいません」
二人の冒険者には見えない僕と会話したことで、少し不振に思われているようだ。
「そう言えば、4人の依頼だよね? もう一人は……」
「えっと……それは……」
どう説明するのかと見守っていたが、僕に助けを求めることなくリナは口を開いた。
「い、いるんです。ここに。ちょっと恥ずかしがり屋なだけで……」
困ったあげく、そんなことを言って、完全に二人を困らせてしまっている。
「まあ、これぐらいなら、二人でもやれそうだし……」
完全に僕はいない人扱いで依頼が進行するようだ。
「気配感知ステータスが高い人がいれば、急にモンスターとエンカウントする可能性もなくなるし、戦闘中に別のモンスターが後ろから襲ってくることもなくなるし、便利ではあるな……」
そう提案したのは弓使いの男だ。おそらく、普段からそう言った危険に直面しているのだろう。
「俺は目の前にモンスターがいたらそっちに集中するから周りのことはあんまり分からないんだよな」
タンク役がパーティー全体を見ることができないのは仕方のないことだ。逆に、そう言ったことには、後ろで攻撃をする弓使いの冒険者がよく分かるのだろう。どうやら、リナの必要性は高いようだ。後は、モンスターと対峙したときにどれだけの戦闘能力があるのかということだ。
「ステータスを見た感じ、オールラウンダーって感じだけど、何をメインに使ってるのかな?」
「オールラウンダー? メイン?」
どうやら皇女様には聞き慣れない言葉だったようだ。
「えっと、オールラウンダーはひとまず忘れてもらって、メインっていうのは、戦うときに何を中心に使って戦うのかってこと。武器ならその種類と、あとは魔法とか」
「魔法は戦うようなものは何も……。回復魔法なら少しだけ使えます。武器は……」
そこでリナは僕の方を見た。リナは連れ出したときに何かを持ってきたわけでもないので一文無しだ。つまり、武器なんて持ってはいない。
「僕が使わないのをあげるから」
僕は短剣をメインに使っているので、他の武器は必要ない。その中で、リナに合いそうな武器を渡してやろう。遠距離だと弓がいいのだが、使っている人がいるので、今回はやめておこう。となると、近接武器になるのだが、大剣や斧といった重い武器はリナの筋力ステータス的にやめておいた方がいいだろう。つまり、軽くて扱いやすそうな武器になる。
「レイピアなんてどうだろう」
僕が取り出したのは、刀身が細身の片手剣であるレイピアだ。軽くて扱いやすいし、片手で扱うので、魔法も使いやすいだろう。オールラウンダー向けの武器とも言えるのでリナにはお似合いなのかもしれない。
「ありがとうございます。なるほど、レイピアって言うんですね」
僕から受け取った武器をじっと見つめてくれるのは嬉しいことだが、今は僕と二人だけではない。
「えっと……武器はレイピアってことでいいのかな?」
「あっ。はい。すいません」
二人の冒険者には見えない僕と会話したことで、少し不振に思われているようだ。
「そう言えば、4人の依頼だよね? もう一人は……」
「えっと……それは……」
どう説明するのかと見守っていたが、僕に助けを求めることなくリナは口を開いた。
「い、いるんです。ここに。ちょっと恥ずかしがり屋なだけで……」
困ったあげく、そんなことを言って、完全に二人を困らせてしまっている。
「まあ、これぐらいなら、二人でもやれそうだし……」
完全に僕はいない人扱いで依頼が進行するようだ。
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