英華女学院の七不思議

小森 輝

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英華女学院の七不思議 47

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 失踪という陰に隠れた禁断の愛という真実を知った私と雛ノ森さんの二人。教師という立場上、どうにも他人事には思えないのだが、その気持ちを言葉に出すことはなく、時は過ぎていった。
 月日が過ぎるのは早いもので、今日は水曜日。多少、語弊はあるが、雛ノ森さんと知り合ってからちょうど一週間が経っていた。
 あれから悩み事は尽きないが、それでも、平日の授業がなくなることはない。
 今日もどこかのクラスの教卓の前に立ち、数学を教える。今までと変わらず、なんてことは言わない。私の立ち位置は常に変わっている。それがいい方なのか悪い方なのかは分からない。でも、1学期とは違い、質問されるようになったのはいいことだ。もちろん、美容関係の質問が多いが。それでも、今日は数学の質問もちらほらあったし、授業終わりに長時間拘束されることもなかった。おかげで今日は昼休みに昼食をとれそうだ。午後にも授業を控えているので、お昼が抜きにならなくてよかった。
 今から急いでも学食が混んでいることは変わらないので、それほど急ぐ必要もなく職員室の自分の机で授業で使ったものを片づけ、一息ついていた。すると、職員室の入り口から一人の生徒が顔だけを覗かせていた。
 昼休みは生徒にとっては争いの時間。学食へと誰よりも早く並ぶ為に教室からの最短ルートを模索するほどだ。教師側も生徒の昼休み事情は分かっているので、4時間目の授業を引き延ばしたり、よっぽどの悪さをしない限りは職員室に呼び出されたりはしない。つまり、意味もなく職員室へと寄り道する生徒はいないということ。
 そのはずなのだが、学校のような人が多い場所では、残念ながら例外的な人物が存在する。
「あっ、先生! 何してるんですか。早くしないと、また混みますよ!」
 昨日、約束した通り、雛ノ森さんが迎えにきた。学食は混むというのに、物好きな生徒だ。
「すぐ行きますんで、もう少し待っていてください」
「急いでくださいよ! でないと、お昼休みがなくなってしまいます!」
 次の授業の準備もしておきたかったが、あまり待たせて職員室の前で騒がれるのだけは避けたかった。とは言っても、昼休みはそれほど短くもないので、戻ってきてからでも間にあるだろう。
「分かりました。すぐ行きます」
 急ごうが急ぐまいが、もうすでに学食は混んでいるだろうと思いながらも、小走りで雛ノ森さんの元へ向かった。
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