英華女学院の七不思議

小森 輝

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英華女学院の七不思議 33

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 結局、課題のチェックは終わることなく、今日の授業が全て終わってしまった。
 時間を巻き戻すことはできないので、おとなしく日課のトイレ掃除をし、そして放課後を使って課題チェックの続きをやろうと思ったのだが、放課後にはすでに先約がいたことをうっかり忘れていた。
「先生、なんで職員室にいるんですか」
 拗ねたような表情をして私のところに来たのは、もちろん雛ノ森さん。彼女の顔を見て、つい数時間前の昼休みのことを思い出した。
 私は昼食時に話そうとしていた先輩や白骨死体のことを食事中の話題ではないと放課後に先延ばししていたのだ。それをすっかり忘れて課題のチェックに没頭していた。
「すいません。お仕事をしていまして……」
「お仕事をしてくださるのは別にいいんです。仕方のないことですから。ですが、それならそうと一言でもいいので言ってください。学食で一人待つのは、結構、恥ずかしいんですから」
 あの広い学食に一人ぽつんと座っている姿を想像すると、かなりシュールだ。周りに人除けの結界を張っているんじゃないかと思うし、単純にぼっちなのかと心配してしまう。
 辛いとまでは言わないが、恥ずかしい思いをさせてしまったのは申し訳ない。
「分かりました。それでは、一緒に学食へ行きましょう。ここでは話しづらいでしょうし」
「いいんですか? その、お仕事とか」
「ちょうど、場所を変えて気分転換しようと思っていたんです」
 職員室は周りの目がある分、集中出来るのだが、時間が長くなるにつれて気が滅入ってしまう。
「先生がいいというのでしたら、私に文句はありません」
「なら決まりですね」
 私は、まだチェックが終わっていない課題を持って、学食へと向かった。
 誰もいない静かなスペース。口寂しさをなくしてくれる飲み物やちょっとしたお茶請け。
 集中できるには十分な環境だ。これに雛ノ森さんの先輩の相談を聞いても心の余裕は十分に余るだろう。
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