英華女学院の七不思議

小森 輝

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英華女学院の七不思議 28

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 休み時間の間、私は1年3組の生徒に捕まっていた。
 最近の女子高生というのは、恐ろしいく貪欲だ。私についての情報を洗いざらい聞いてくる。つい最近、本物の刑事さんに事情聴取をされたのだが、それがかわいく思えてくる。警察の事情聴取も女子高生がやれば、洗いざらい全て吐かされてしまうのではないかと本気で思ってしまう。
 そう言うわけで、私は1年3組の生徒たちからあらゆることを聞かれ、私生活などのできる限りを答えた。スキンケアや日焼け止めはしていないとか、日焼けはするけどすぐに白く戻るとか、シャンプーなどは子供の頃から母親が使っていた銘柄を今でも使っているとか、食事は毎日三食で朝はパンと目玉焼きベーコン、昼は学食の定食、夜はレトルトのお米と野菜炒めなどのおかずを1品だとか。私にはプライバシーというものが存在しないのかと文句を言いたくなるほど、根掘り葉掘り聞かれた。もちろん、質問責めに会っているときも時間は進むし、休み時間は有限なわけであって……。
 見事、私は4時間目の授業に遅刻していた。4時間目は2組ということで、隣のクラスだからと休み時間いっぱいまで3組の生徒たちに捕まっていたのだが、2組には2組の必要なものがある。例えば、クラス名簿とか。できる限りの早歩きで職員室に取りに行き、2組についた頃にはすでにチャイムが鳴っていたというわけだ。
 想定外のアクシデントがあったが、私も教師の一員。息があがっていても授業は予定通りの場所まで進行した。
 4時間目も無事終わり、昼休み。
 私はいつも通り学食へ向かっていた。
 すると、今日も学食の前で雛ノ森さんが待っていた。
「あ、先生。遅いですよ」
「遅いって……待ち合わせの約束をした覚えはないんですけど……」
「細かいことを気にしちゃダメですよ、先生。それよりも、早くお昼ご飯を食べに行きしょう。あんまり遅くなると昼休みがなくなっちゃいます」
「……分かりました」
 文句があるわけではない。ただ、私には午後の授業がないので、お昼休みに急いで食事をする必要はない。むしろ、生徒が午後の授業を受けているときに学食へ来た方が人がいなくていいのだが、一人寂しく食べるよりはいいので、無駄な言葉は飲み込んでしまった。
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