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英華女学院の七不思議 7
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「三回とも同じタイミングでトイレというのは考えにくいですね……」
「そう、ですよね……。もしかして、何かの事件に巻き込まれて行方不明になったんじゃないかって……」
「それはないと思いますよ。安心してください」
生徒が行方不明になったなんて、間違いなく職員会議の議題にあがる。行方不明でなくても事件に巻き込まれて入院したという話だけでも注意喚起という形で聞いたはずだ。それがないと言うことは、今のところ、そういった事件はないと言うことだ。
だとすると、なぜ、雛ノ森さんの先輩は居なくなってしまったのだろうか。
やはり、私には居なくなったと言うより雛ノ森さんが見つけられなかった可能性の方が大きい気がする。
そんなことを考えながら歩いていると、ゴミ捨て場についてしまった。
「とりあえず、ゴミ袋を置きましょうか」
「分かりました」
ゴミ捨て場と言っても、酷い臭いがしたりはしない。生徒のゴミにも生ゴミが存在しないからだろう。おかげでカラスなんかがつつきにくる心配もない。それでも、ゴミ捨て場は喜んで来るような場所ではない。手伝ってくれた雛ノ森さんには再び感謝の気持ちを言葉にしなければならない。
「ゴミを運んでくれてありがとうございます。助かりました。それで、さっきの話のことなんですが、生徒が居なくなったというのは心配ですので、私も調べてみようと思います」
「ありがとうございます、橋本先生」
「いいえ、教師として、当然ですよ。それに、ゴミ捨てを手伝ってもらいましたからね」
本当に行方不明だったのなら、大問題なのだが、そこまで大きな問題とは感じない。だから、これは私個人で調べ、大問題だと感じれば他の先生方にも報告すればいいだろう。とりあえず、勘違いや見間違いの可能性を検討するために、大事な情報を聞いておこう。
「まだ大事なことを聞いていなかったんだけど、その居なくなった先輩の名前を教えてもらってもいいかな?」
「あの……それが……私、先輩の名前を知らなくて……」
「え……知らないんですか?」
「はい……名前もクラスも知らなくて……でも、学校の鞄のラインが緑色だったから三年生だってことだけは分かっているんです」
学校指定の鞄には学年ごとに決まった色が付いていて、三年生の鞄には緑色のラインが入っている。だが、もしかすると卒業した生徒から貰ったなんてことも考えられる。三年生だけでなく、二年生や一年生も調べる必要がありそうなのだが、名簿から確認しようにも名前が分からなければ探すことが出来ない。
なにやら、難しいことになってきたようだ。
「そう、ですよね……。もしかして、何かの事件に巻き込まれて行方不明になったんじゃないかって……」
「それはないと思いますよ。安心してください」
生徒が行方不明になったなんて、間違いなく職員会議の議題にあがる。行方不明でなくても事件に巻き込まれて入院したという話だけでも注意喚起という形で聞いたはずだ。それがないと言うことは、今のところ、そういった事件はないと言うことだ。
だとすると、なぜ、雛ノ森さんの先輩は居なくなってしまったのだろうか。
やはり、私には居なくなったと言うより雛ノ森さんが見つけられなかった可能性の方が大きい気がする。
そんなことを考えながら歩いていると、ゴミ捨て場についてしまった。
「とりあえず、ゴミ袋を置きましょうか」
「分かりました」
ゴミ捨て場と言っても、酷い臭いがしたりはしない。生徒のゴミにも生ゴミが存在しないからだろう。おかげでカラスなんかがつつきにくる心配もない。それでも、ゴミ捨て場は喜んで来るような場所ではない。手伝ってくれた雛ノ森さんには再び感謝の気持ちを言葉にしなければならない。
「ゴミを運んでくれてありがとうございます。助かりました。それで、さっきの話のことなんですが、生徒が居なくなったというのは心配ですので、私も調べてみようと思います」
「ありがとうございます、橋本先生」
「いいえ、教師として、当然ですよ。それに、ゴミ捨てを手伝ってもらいましたからね」
本当に行方不明だったのなら、大問題なのだが、そこまで大きな問題とは感じない。だから、これは私個人で調べ、大問題だと感じれば他の先生方にも報告すればいいだろう。とりあえず、勘違いや見間違いの可能性を検討するために、大事な情報を聞いておこう。
「まだ大事なことを聞いていなかったんだけど、その居なくなった先輩の名前を教えてもらってもいいかな?」
「あの……それが……私、先輩の名前を知らなくて……」
「え……知らないんですか?」
「はい……名前もクラスも知らなくて……でも、学校の鞄のラインが緑色だったから三年生だってことだけは分かっているんです」
学校指定の鞄には学年ごとに決まった色が付いていて、三年生の鞄には緑色のラインが入っている。だが、もしかすると卒業した生徒から貰ったなんてことも考えられる。三年生だけでなく、二年生や一年生も調べる必要がありそうなのだが、名簿から確認しようにも名前が分からなければ探すことが出来ない。
なにやら、難しいことになってきたようだ。
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