英華女学院の七不思議

小森 輝

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英華女学院の七不思議 6

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「相談というのは……その……探偵部の先輩のことでして……」
「探偵部? そんな部活は……」
 お嬢様学校とは言っても、生徒が好き勝手にできるような学校ではない。規律を重んじ、社交性を学ぶ。どちらかというと、男子校なのではないのかと思うほど規律に厳しい。そんな学校だからこそ、生徒が好き勝手に部活動を作ることはできない。探偵部なんて、あり得ないし、部活動一覧でも、そんな部活は認可されていない。部ではなく同好会ですら許可が下りないだろう。
「あっ、いえ、探偵部っていうのは、先輩が勝手に作ったものでして……」
「なるほど」
 部として学校からの認可は必要ないが、特定の生徒同士での集まりに名前を付けた結果、探偵部として呼称しただけか。
「それで、探偵部の先輩がどうされたんですか?」
「それが……一昨日から先輩が来なくて……」
 ちゃんとした部活ではないし、部活だとしても強制力はない。生徒同士の集まりに一日二日ぐらい顔を出さなくても不思議ではない。
「それで、私、今日の休み時間に先輩の学年のクラスを見て回ったんですけど、居なくて……」
「風邪で欠席というわけではないんですか?」
「三年生の先生に聞いたんですけど、この二日間は欠席はなかったと……」
「なら、雛ノ森さんが見に行ったときはトイレに行っていたのかもしれませんね」
 私の予想を言うと、雛ノ森さんは困ったように顔を俯けた。
「どうかしましたか?」
「その……怒らないで聞いて欲しいんですけど……」
 教師に聞かれてはまずい話なのだろう。だが、それを拒否すれば話が進まない。
「……分かりました。今から聞く話は私の胸に納めておきましょう」
「ありがとうございます。橋本先生に相談して正解でした」
 それは私がチョロイ先生だと聞こえてしまうのだが、今は問いたださないでおこう。
「私、授業中にお手洗いに行くといって教室を出て、三年生の教室を覗きに行ったんです。それでも居なくて……」
 まあ、雛ノ森さんは成績もいい方だし、このぐらいは多めに見てあげよう。
「でも、もしかしたら、私と同じタイミングでお手洗いに行ったのかもしれないから、また別の時間に行ったんですけど、それでも居なかったんです」
「つまり、二回も授業を抜け出したんですか……」
「あの……すいません。二回ではなく三回です」
「はぁ……」
 三回も授業を抜け出していたなんて、ゴミ袋を持っていなかったら頭を抱えていたところだ。
 でも、逆に言えば、それだけ心配だったということだ。授業を抜け出したの見つかれば、罰則が科されただろう。そのリスクを犯してまで探しに行ったのだから。
 ここまで話を聞いたのだから、彼女の誠意に私は答えなければならない。
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