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夢と現実

選択肢

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状態が急変したのは次の日だった。
だって、
「日向君、おはよ~」
「え、えっと、君は?」
と、こんな感じに会話をしたあと、道場に行ったのだが、
「日向君、ここはね」
「えっと、確か、剣道とかの武道をやるとこ……だよな?」
「え?」
そう。日向君の記憶の一部が戻っていたのだ。
「えっと、桜さん?
なんで驚いてるんだ?」
「え、だって、まだ教えてないし。」
「あぁ。なんとなくだけど、知ってたんだ。」
「そっか…良かった……。」
日向君が覚えていると知ってボクは涙が出てきた。
「な、なんで泣いてるんだ…?」
「嬉しいんだよ。」
「そ、そうなのか…?
俺にはよく分からないが、悲しませてなくて良かったよ。」
「じゃあ、竹刀を持って…?」
「わ、分かった。」
そして、試合を始める。
ふむ。いつもより動きにキレがあるな。
でも、良かった。
いや、良くはないか。
また一つ、点が増えたのだ。
これが悪い方向に行かなければいいのだが…。
例えば悪い記憶の点と繋がってしまうとか。
まぁ、そうならない様にボクがサポートしていかなきゃね。
次の日、また次の日と、日向君は順調に記憶を取り戻していった。
けど、ただ一つ、妹の記憶だけは取り戻せないでいた。
「いつもごめんな桜。」
「いや、全然大丈夫だよ~」
「何故か桄の事だけは思い出せなくてな。」
「いや、今までが順調すぎたんだよ。」
「そ、そうか。」
「まぁ、焦る必要はないからさ、ゆっくりと思い出してこ?」
「あぁ、そうだな。」
……………。
その夜、俺は久々に夢を見た。
いや、いつか見た夢と現実の狭間という場所だ。
「やぁ、久しぶり…だな」
「そうだね~。
君の記憶が戻って、私も随分と住みやすくなったよ。」
「そりゃ良かった。」
「それより、君はまだひとつだけ記憶を取り戻せてないんだよね?」
「あぁ。そうなんだよ。
桄の事だけは何故か思い出せなくてな。」
「じゃあ、君に選択肢を与えよう。」
「またか?」
「あぁ。
この選択肢は君のこれからの人生を左右する。」
「かなり重要な選択肢だな。」
「うん。
そうだね。」
「で?その選択肢ってのは?」
「一つ目、君にとって心地よい人生が約束される夢の中で生きる。
二つ目、謎の疑問を持ったまま現実で生きるか。
三つ目、君にとって衝撃的な事実…それを受け入れるか。
四つ目、その衝撃的な事実を受け入れずに、過ごし続けるか。」
「選択肢が多くなったな。」
「それだけ細かく、更に重要な選択って事さ。」
「その衝撃的な事実は今は教えてくれないのか?」
「教えるわけないじゃない。
それは君自身が見つける必要がある。
それに、君はもう気づいてるんじゃないか?」
恐らくその衝撃的な事実ってのは桄の事だろう。
「あぁ。
予測はしてるさ。」
「けど、私には答え合わせは出来ない。
最初にも言ったでしょ?
私には助言しかしてあげられないよ。」
「確かにそんな事を、言ってたな。」
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