33 / 44
心の隙間を埋める
しおりを挟む
夜を待つ間・・・
トト「・・・」
「・・・」
俺とトトは何を話すわけでもないのに傍に居た
トト「に、兄さん?」
「な、なんだ?」
ぎこちない会話しかできない
さっきはお互いに罵倒しあっていたのに・・・
トト「その・・・あの・・・さっきは・・・」
「あ、ああ・・・」
トト「・・・」
「・・・」
お互い何を言ったらいいかわからない
何年も疎遠・・・と言うのか・・・
会わなかったからな・・・
ハルト「わぁ~!すごい!」
騎兵団「こんなのどうってことありませんよ!ほっ!ほっ!」
騎兵団の一人がナイフを数本使ってジャグリングをしている
ハルトはそれを楽しそうに見ている
トト「兄さんは・・・ハルト殿下と・・・付き合ってるの?」
「ああ・・・」
トト「ふ、ふ~ん・・・。ちゃんと幸せにできるの?」
「できるか・・・わからない」
トト「おいおい・・・。ハルト殿下を幸せにしないと俺たちの幸せも危ういんだが・・・」
「そう・・・だよな」
トト「まぁ・・・兄さんは不器用だけど、優しいから。大丈夫だと思う」
「そ、そうか?」
トト「う、うん・・・」
また沈黙が訪れた
トト「・・・さっきは・・・ごめん」
「え?」
トト「兄さんの事やハルト殿下の事・・・悪く言ったし」
「気にするな。お前も苦しんでたわけだし」
トト「でも、父さんや母さんの事で恨んでたのは本当だよ」
「・・・すまない」
トト「・・・実は母さんに言われてたことがあるんだよね」
「ん?なんだ?」
トト「『お兄ちゃんを恨まないで』って」
「え・・・?」
トト「兄さんはきっと苦しんでいるからって。恨まないでって。でも、無理だった。報告で兄さんの事は聞いてたんだよ。地下牢に幽閉されていたこともハルト殿下の付き人になったことも・・・夜、夜な夜なお楽しみをしていることも。それが羨ましかった。俺はこんな苦しんでいるのにって。俺だって兄さんと・・・一緒に過ごしたかった・・・」
「トト・・・」
トト「大罪人になっても・・・周りからどんな扱いを受けても・・・兄さんは家族だから。完全に恨むことはできなかった。そんな自分が嫌だったんだ」
「すまない・・・」
トト「でも、ハルト殿下に説き伏せられて思った。あ~・・・俺、間違ってなかったって!」
トトは昔・・・遥か昔に見たことがある明るい笑顔で俺を見てきた
トト「俺!兄さんを殺さなくてよかった!ハルト殿下が生きててよかった!これからは俺も一緒にハルト殿下を守る!」
「・・・ああ!頼んだぞ!」
お互いに手を握る
この手から信頼を感じる
昔に戻れるとは思っていない
でも、これから償っていけばいいんだ
そう思ってる
ハルト「ロト!トト!」
トト・俺「ん?」
ハルト「二人ってそっくりだよね?」
「そうか?」
トト「そんなことないよ~」
ハルト「そっくりだよ!笑顔なんて瓜二つ!かっこいい!」
「ハ、ハルト!?」
トト「フフッ!殿下?その言葉はこの馬鹿兄にだけ言ってあげてね?やきもち焼くから!」
「トト!?な、なに言ってるんだ!?」
ハルト「アハハ!面白い!」
ハルトはそういい俺の隣に腰を下ろした
ハルト「・・・夜になったら作戦開始だね」
「今のうちに休んでおけ」
トト「そうだよ。きっと大変な夜になるからね」
ハルト「大丈夫!夜になったら嫌でも寝るから!」
そういい仮死薬を見せてきた
「不吉なことを言う・・・」
トト「でも、効果時間とかは?」
ハルト「・・・どうなんだろう?」
「え・・・知らないのかよ」
ハルト「2時間くらいってことだけど、確証はないんだよね・・・」
トト「・・・まぁ・・・短くはないし・・・行ける!きっと!」
「まぁ、目を覚ますまで俺が守って見せる!だから安心しろ!」
ハルト「・・・うん!頼りにしてるね!」
トト「まぁ、それはそれとして。少し休んでおいた方がいい」
ハルト「・・・じゃあそうするね!」
そういい俺の膝に頭を乗せて眠りにつく
「・・・お前、なんかさっきと違うな」
トト「ん?そう?」
「ああ。なんか優しいというか軽いというか」
トト「・・・俺は騎兵団長として厳しく・・・何より復讐のために生きてた。でも、ハルト殿下に出会ったからかな。なんか、恨みとかなくなった!」
「・・・そうか!」
騎兵団「団長!」
トト「ん?」
騎兵団「港町に居るイシュリット兵はどうしますか?」
トト「ハルト殿下と兄さんがいることはまだ知らない?」
騎兵団「はい。まだ知られてません」
トト「なら、そのままで。知られると厄介だからね」
騎兵団「了解です!」
「お前、ホントに団長なんだな」
トト「まぁね~無駄に泥水すすってこなかったからね!」
「・・・すまない」
トト「・・・もし、本当にすまないと思ってるなら、イシュリット国王を止めてよ」
「・・・」
トト「あの人の目的はわからない。でも、きっと理由がある。いや、理由がないとおかしい」
「止めるのは俺じゃない。ハルトだ」
トト「ハルト殿下・・・」
ハルトは寝息を立てている
トト「どうか・・・王を止めてください。お願いします」
そう囁くとトトはどこかへ行ってしまった
トトはトトなりにイシュリット国王へ忠誠を誓っていたのだろう
「・・・ハルト。早く解決しような」
俺も目を瞑り眠りについた・・・
トト「・・・」
「・・・」
俺とトトは何を話すわけでもないのに傍に居た
トト「に、兄さん?」
「な、なんだ?」
ぎこちない会話しかできない
さっきはお互いに罵倒しあっていたのに・・・
トト「その・・・あの・・・さっきは・・・」
「あ、ああ・・・」
トト「・・・」
「・・・」
お互い何を言ったらいいかわからない
何年も疎遠・・・と言うのか・・・
会わなかったからな・・・
ハルト「わぁ~!すごい!」
騎兵団「こんなのどうってことありませんよ!ほっ!ほっ!」
騎兵団の一人がナイフを数本使ってジャグリングをしている
ハルトはそれを楽しそうに見ている
トト「兄さんは・・・ハルト殿下と・・・付き合ってるの?」
「ああ・・・」
トト「ふ、ふ~ん・・・。ちゃんと幸せにできるの?」
「できるか・・・わからない」
トト「おいおい・・・。ハルト殿下を幸せにしないと俺たちの幸せも危ういんだが・・・」
「そう・・・だよな」
トト「まぁ・・・兄さんは不器用だけど、優しいから。大丈夫だと思う」
「そ、そうか?」
トト「う、うん・・・」
また沈黙が訪れた
トト「・・・さっきは・・・ごめん」
「え?」
トト「兄さんの事やハルト殿下の事・・・悪く言ったし」
「気にするな。お前も苦しんでたわけだし」
トト「でも、父さんや母さんの事で恨んでたのは本当だよ」
「・・・すまない」
トト「・・・実は母さんに言われてたことがあるんだよね」
「ん?なんだ?」
トト「『お兄ちゃんを恨まないで』って」
「え・・・?」
トト「兄さんはきっと苦しんでいるからって。恨まないでって。でも、無理だった。報告で兄さんの事は聞いてたんだよ。地下牢に幽閉されていたこともハルト殿下の付き人になったことも・・・夜、夜な夜なお楽しみをしていることも。それが羨ましかった。俺はこんな苦しんでいるのにって。俺だって兄さんと・・・一緒に過ごしたかった・・・」
「トト・・・」
トト「大罪人になっても・・・周りからどんな扱いを受けても・・・兄さんは家族だから。完全に恨むことはできなかった。そんな自分が嫌だったんだ」
「すまない・・・」
トト「でも、ハルト殿下に説き伏せられて思った。あ~・・・俺、間違ってなかったって!」
トトは昔・・・遥か昔に見たことがある明るい笑顔で俺を見てきた
トト「俺!兄さんを殺さなくてよかった!ハルト殿下が生きててよかった!これからは俺も一緒にハルト殿下を守る!」
「・・・ああ!頼んだぞ!」
お互いに手を握る
この手から信頼を感じる
昔に戻れるとは思っていない
でも、これから償っていけばいいんだ
そう思ってる
ハルト「ロト!トト!」
トト・俺「ん?」
ハルト「二人ってそっくりだよね?」
「そうか?」
トト「そんなことないよ~」
ハルト「そっくりだよ!笑顔なんて瓜二つ!かっこいい!」
「ハ、ハルト!?」
トト「フフッ!殿下?その言葉はこの馬鹿兄にだけ言ってあげてね?やきもち焼くから!」
「トト!?な、なに言ってるんだ!?」
ハルト「アハハ!面白い!」
ハルトはそういい俺の隣に腰を下ろした
ハルト「・・・夜になったら作戦開始だね」
「今のうちに休んでおけ」
トト「そうだよ。きっと大変な夜になるからね」
ハルト「大丈夫!夜になったら嫌でも寝るから!」
そういい仮死薬を見せてきた
「不吉なことを言う・・・」
トト「でも、効果時間とかは?」
ハルト「・・・どうなんだろう?」
「え・・・知らないのかよ」
ハルト「2時間くらいってことだけど、確証はないんだよね・・・」
トト「・・・まぁ・・・短くはないし・・・行ける!きっと!」
「まぁ、目を覚ますまで俺が守って見せる!だから安心しろ!」
ハルト「・・・うん!頼りにしてるね!」
トト「まぁ、それはそれとして。少し休んでおいた方がいい」
ハルト「・・・じゃあそうするね!」
そういい俺の膝に頭を乗せて眠りにつく
「・・・お前、なんかさっきと違うな」
トト「ん?そう?」
「ああ。なんか優しいというか軽いというか」
トト「・・・俺は騎兵団長として厳しく・・・何より復讐のために生きてた。でも、ハルト殿下に出会ったからかな。なんか、恨みとかなくなった!」
「・・・そうか!」
騎兵団「団長!」
トト「ん?」
騎兵団「港町に居るイシュリット兵はどうしますか?」
トト「ハルト殿下と兄さんがいることはまだ知らない?」
騎兵団「はい。まだ知られてません」
トト「なら、そのままで。知られると厄介だからね」
騎兵団「了解です!」
「お前、ホントに団長なんだな」
トト「まぁね~無駄に泥水すすってこなかったからね!」
「・・・すまない」
トト「・・・もし、本当にすまないと思ってるなら、イシュリット国王を止めてよ」
「・・・」
トト「あの人の目的はわからない。でも、きっと理由がある。いや、理由がないとおかしい」
「止めるのは俺じゃない。ハルトだ」
トト「ハルト殿下・・・」
ハルトは寝息を立てている
トト「どうか・・・王を止めてください。お願いします」
そう囁くとトトはどこかへ行ってしまった
トトはトトなりにイシュリット国王へ忠誠を誓っていたのだろう
「・・・ハルト。早く解決しような」
俺も目を瞑り眠りについた・・・
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
お人好しは無愛想ポメガを拾う
蔵持ひろ
BL
弟である夏樹の営むトリミングサロンを手伝う斎藤雪隆は、体格が人より大きい以外は平凡なサラリーマンだった。
ある日、黒毛のポメラニアンを拾って自宅に迎え入れた雪隆。そのポメラニアンはなんとポメガバース(疲労が限界に達すると人型からポメラニアンになってしまう)だったのだ。
拾われた彼は少しふてくされて、人間に戻った後もたびたび雪隆のもとを訪れる。不遜で遠慮の無いようにみえる態度に振り回される雪隆。
だけど、その生活も心地よく感じ始めて……
(無愛想なポメガ×体格大きめリーマンのお話です)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
アズ同盟
未瑠
BL
事故のため入学が遅れた榊漣が見たのは、透き通る美貌の水瀬和珠だった。
一目惚れした漣はさっそくアタックを開始するが、アズに惚れているのは漣だけではなかった。
アズの側にいるためにはアズ同盟に入らないといけないと連れて行かれたカラオケBOXには、アズが居て
……いや、お前は誰だ?
やはりアズに一目惚れした同級生の藤原朔に、幼馴染の水野奨まで留学から帰ってきて、アズの周りはスパダリの大渋滞。一方アズは自分への好意へは無頓着で、それにはある理由が……。
アズ同盟を結んだ彼らの恋の行方は?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
つまりは相思相愛
nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。
限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。
とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。
最初からR表現です、ご注意ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる