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変わり始める
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とても静かな城内
その中を俺は歩く
自分の寝起きをする馬小屋に向かって
「・・・」
殿下にはああいったが、俺は今の生活に満足はしていない
確かに地下牢での生活よりはマシだ
でも、それは死ぬ予定だったからだ
今は生きている
殿下のために・・・殿下のお命を守るために・・・
だから・・・なのだろうか
欲が出てしまう
もっといい生活を。
もっといい食事を。
もっとお傍に居たいと。
どんどん欲が出てくる
でも、俺は大罪人
こんなこと、望んではいけない
俺は殿下のために生き、殿下のために死ぬ
それだけだ
それ以外、望んではいけない
???「よう!ロト殿~」
「・・・」
馬小屋に戻ると入口に隊長がいた
相当泥酔しているのか、ふらふらになっている
隊長「どこに~行っておったのかな~」
「・・・」
隊長「なんとか言えよな!!」
そういい酒をぶっかけてきた
「・・・なんとか」
隊長「チッ!舐めるなよ!!」
そういい殴りかかってきたが、相手は酔っ払い
殴る力も勢いもない
こんな殴り、避けられない方がおかしい
隊長「避けるんじゃねぇよ!」
そういい何度も殴りかかってくる
でも、俺は避ける
隊長「命令だ~!動くなっ!ヒック!殴らせろ!」
「・・・お断りだ」
隊長「隊長である俺の・・・ヒック!命令が聞けないのか?」
「俺はお前に従うつもりはない。俺は殿下の命令だけ聞く。そう言われている」
処刑の日
殿下『僕だけに従え!!』
俺はそう言われた
だからそれに従う
殿下以外の命令は聞かない
隊長「へっ!操り人形かよ!ヒック!楽でいいな~」
「楽・・・だと・・・?」
隊長「ああ!言うことを尻尾振って聞いていればいいんだからな!ヒック!俺なんか考えることが多すぎるくらいだぜ」
「足りない頭でも考えられるんだな。驚きだ」
隊長「テメェ・・・そんな口聞いていいと思ってるのか?またボコるぞ?」
「前にも言ったが好きなだけやればいい。俺は構わない」
隊長「・・・チッ!気に入らねぇな。お前みたいな奴はホント、気に入らねぇ」
そういうと隊長はふらつきながら向きを変え歩き出したが・・・
ドサッ!
隊長「グゴ~」
そのまま倒れ寝てしまった
「・・・」
俺は隊長を放置して馬小屋に入った・・・が
「・・・仕方ねぇな・・・」
いびきがあまりにもうるさくて俺が寝れない
仕方ないから兵舎まで運ぶことにした
コンコン
兵舎に入り隊長の部屋の扉を叩く
中から兵士が出てきた
兵士「っ!ロト・ブルルク!なぜここに!」
「・・・こいつを連れてきたんだよ」
そういい隊長を引き渡した
兵士「た、隊長!?お前・・・隊長に何をした!!」
「何もしてねぇよ。酔っぱらって寝てるだけだ」
兵士は隊長を確認する
隊長「フゴッ!グゴ~」
兵士「・・・そ、そうみたいだな」
「ああ。じゃ、後は任せた」
そういい俺は兵舎を離れた
兵士「おい。待ちな」
兵舎を出たところでさっきの兵士に呼び止められた
「なんだ?」
兵士「・・・これ」
兵士は俺にある物を渡してきた
「・・・?」
兵士「干し肉だ。よかったら食え」
「・・・いいのか?俺に構うとロクなことにならないぞ?」
兵士「勘違いするなよ?俺はお前のためにこれをやるんじゃない。殿下のためにやるんだ」
「・・・はぁ?」
兵士「今はお前が殿下の直属の護衛なんだ。そんな奴が腹が減って力が出ない!なんてことになってみろ?誰が殿下をお守りするんだ?だからこれをやるんだよ」
「・・・」
兵士「・・・ちょうどそれの処分を考えてたんだ。捨てるぐらいならお前にやった方がいいだろう」
「・・・すまない」
兵士「か、勘違いするな!俺は・・・まぁいい!ほら!さっさと馬小屋に行け!大罪人!」
そういうと兵士は部屋の扉を閉めた
「・・・ありがとう」
小さく囁き俺は馬小屋に戻った
馬小屋に戻り干し肉を食べながら読書を再開した
「・・・ほう。なるほど」
読んでいる本は歴史書
つまりこの国の歴史の本だ
俺は次期国王の護衛だ
少しはこの国のことを知っておく必要がある
だからこの本を読んでいる
殿下が「ジィヤ」と呼んでいる家臣にお借りしたものだ
「・・・ほう。殿下は類まれな魔力の保持者なのか」
殿下の事もしっかり書かれてある
どうやら殿下は陛下よりも魔力が強いらしい
その魔力は国をも亡ぼす可能性がある・・・と
「・・・そんな力をもっているのか。だからかな・・・威厳がある」
処刑の日の立ち振る舞いは王族そのものだった
ただ、大罪人である俺を生かしたのは・・・どうかと思うけどな
「・・・よし。寝るか」
明日も早い
殿下を起こしてお傍に居なくてはならない
「・・・殿下」
俺は殿下からもらったクッキーを見ていた
店で売られている・・・にしては不格好だ
「まさか・・・手作り・・・な訳ないよな。殿下が手作りなんて・・・」
そう思いつつ食べてみた
「っ!甘すぎだろう・・・」
クッキーは思った以上に甘かった
でも・・・
「うまいな・・・」
とても甘くて暖かくて・・・
まるで殿下みたいだ
「・・・っ!?なんで俺・・・」
頬を一筋の涙が流れた
「うぅ・・・殿下・・・殿、下・・・」
俺は涙を止められなかった
クッキーを食べれば食べるほど、涙があふれてくる
「俺・・・俺は・・・殿下の傍に・・・居たい・・・」
俺は気が付いた
殿下に好意を寄せていることを
殿下の事が好きなことを
「ダメだ・・・こんな感情・・・俺は大罪人なんだ・・・こんな俺が殿下を好きになっては・・・いけない・・・」
地下に居た頃はなにも思わなかった
ただ処刑される日を待ち続けるだけだった
でも、殿下が俺を変えた
殿下の優しさが俺を変えたんだ
罪深き大罪人から欲深き大罪人に・・・
「くそ・・・止まれよ・・・頼むよ・・・」
俺は何度も涙を拭いた
でも、止まることはなかった
気が付いたら空が明るくなっていた・・・
その中を俺は歩く
自分の寝起きをする馬小屋に向かって
「・・・」
殿下にはああいったが、俺は今の生活に満足はしていない
確かに地下牢での生活よりはマシだ
でも、それは死ぬ予定だったからだ
今は生きている
殿下のために・・・殿下のお命を守るために・・・
だから・・・なのだろうか
欲が出てしまう
もっといい生活を。
もっといい食事を。
もっとお傍に居たいと。
どんどん欲が出てくる
でも、俺は大罪人
こんなこと、望んではいけない
俺は殿下のために生き、殿下のために死ぬ
それだけだ
それ以外、望んではいけない
???「よう!ロト殿~」
「・・・」
馬小屋に戻ると入口に隊長がいた
相当泥酔しているのか、ふらふらになっている
隊長「どこに~行っておったのかな~」
「・・・」
隊長「なんとか言えよな!!」
そういい酒をぶっかけてきた
「・・・なんとか」
隊長「チッ!舐めるなよ!!」
そういい殴りかかってきたが、相手は酔っ払い
殴る力も勢いもない
こんな殴り、避けられない方がおかしい
隊長「避けるんじゃねぇよ!」
そういい何度も殴りかかってくる
でも、俺は避ける
隊長「命令だ~!動くなっ!ヒック!殴らせろ!」
「・・・お断りだ」
隊長「隊長である俺の・・・ヒック!命令が聞けないのか?」
「俺はお前に従うつもりはない。俺は殿下の命令だけ聞く。そう言われている」
処刑の日
殿下『僕だけに従え!!』
俺はそう言われた
だからそれに従う
殿下以外の命令は聞かない
隊長「へっ!操り人形かよ!ヒック!楽でいいな~」
「楽・・・だと・・・?」
隊長「ああ!言うことを尻尾振って聞いていればいいんだからな!ヒック!俺なんか考えることが多すぎるくらいだぜ」
「足りない頭でも考えられるんだな。驚きだ」
隊長「テメェ・・・そんな口聞いていいと思ってるのか?またボコるぞ?」
「前にも言ったが好きなだけやればいい。俺は構わない」
隊長「・・・チッ!気に入らねぇな。お前みたいな奴はホント、気に入らねぇ」
そういうと隊長はふらつきながら向きを変え歩き出したが・・・
ドサッ!
隊長「グゴ~」
そのまま倒れ寝てしまった
「・・・」
俺は隊長を放置して馬小屋に入った・・・が
「・・・仕方ねぇな・・・」
いびきがあまりにもうるさくて俺が寝れない
仕方ないから兵舎まで運ぶことにした
コンコン
兵舎に入り隊長の部屋の扉を叩く
中から兵士が出てきた
兵士「っ!ロト・ブルルク!なぜここに!」
「・・・こいつを連れてきたんだよ」
そういい隊長を引き渡した
兵士「た、隊長!?お前・・・隊長に何をした!!」
「何もしてねぇよ。酔っぱらって寝てるだけだ」
兵士は隊長を確認する
隊長「フゴッ!グゴ~」
兵士「・・・そ、そうみたいだな」
「ああ。じゃ、後は任せた」
そういい俺は兵舎を離れた
兵士「おい。待ちな」
兵舎を出たところでさっきの兵士に呼び止められた
「なんだ?」
兵士「・・・これ」
兵士は俺にある物を渡してきた
「・・・?」
兵士「干し肉だ。よかったら食え」
「・・・いいのか?俺に構うとロクなことにならないぞ?」
兵士「勘違いするなよ?俺はお前のためにこれをやるんじゃない。殿下のためにやるんだ」
「・・・はぁ?」
兵士「今はお前が殿下の直属の護衛なんだ。そんな奴が腹が減って力が出ない!なんてことになってみろ?誰が殿下をお守りするんだ?だからこれをやるんだよ」
「・・・」
兵士「・・・ちょうどそれの処分を考えてたんだ。捨てるぐらいならお前にやった方がいいだろう」
「・・・すまない」
兵士「か、勘違いするな!俺は・・・まぁいい!ほら!さっさと馬小屋に行け!大罪人!」
そういうと兵士は部屋の扉を閉めた
「・・・ありがとう」
小さく囁き俺は馬小屋に戻った
馬小屋に戻り干し肉を食べながら読書を再開した
「・・・ほう。なるほど」
読んでいる本は歴史書
つまりこの国の歴史の本だ
俺は次期国王の護衛だ
少しはこの国のことを知っておく必要がある
だからこの本を読んでいる
殿下が「ジィヤ」と呼んでいる家臣にお借りしたものだ
「・・・ほう。殿下は類まれな魔力の保持者なのか」
殿下の事もしっかり書かれてある
どうやら殿下は陛下よりも魔力が強いらしい
その魔力は国をも亡ぼす可能性がある・・・と
「・・・そんな力をもっているのか。だからかな・・・威厳がある」
処刑の日の立ち振る舞いは王族そのものだった
ただ、大罪人である俺を生かしたのは・・・どうかと思うけどな
「・・・よし。寝るか」
明日も早い
殿下を起こしてお傍に居なくてはならない
「・・・殿下」
俺は殿下からもらったクッキーを見ていた
店で売られている・・・にしては不格好だ
「まさか・・・手作り・・・な訳ないよな。殿下が手作りなんて・・・」
そう思いつつ食べてみた
「っ!甘すぎだろう・・・」
クッキーは思った以上に甘かった
でも・・・
「うまいな・・・」
とても甘くて暖かくて・・・
まるで殿下みたいだ
「・・・っ!?なんで俺・・・」
頬を一筋の涙が流れた
「うぅ・・・殿下・・・殿、下・・・」
俺は涙を止められなかった
クッキーを食べれば食べるほど、涙があふれてくる
「俺・・・俺は・・・殿下の傍に・・・居たい・・・」
俺は気が付いた
殿下に好意を寄せていることを
殿下の事が好きなことを
「ダメだ・・・こんな感情・・・俺は大罪人なんだ・・・こんな俺が殿下を好きになっては・・・いけない・・・」
地下に居た頃はなにも思わなかった
ただ処刑される日を待ち続けるだけだった
でも、殿下が俺を変えた
殿下の優しさが俺を変えたんだ
罪深き大罪人から欲深き大罪人に・・・
「くそ・・・止まれよ・・・頼むよ・・・」
俺は何度も涙を拭いた
でも、止まることはなかった
気が付いたら空が明るくなっていた・・・
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