崩壊した世界を共に

ジャム

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秘め事

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僕たちは酒場の扉を開けた

キャリー「いらっしゃ・・・あ!クルスさん!ハルトくん!」

クルス「よう!」

「こんばんわ!」

キャリーさんは僕たちを見つけると勢いよくやってきた

キャリー「来てたんだね!」

クルス「ちょっと用事でな!」

キャリー「そうなんだ!座って!」

そういい僕たちは席に案内された

キャリー「ご注文は?」

クルス「ホットドッグと・・・ビール!」

「僕はおすすめで!飲み物は・・・ブドウジュースでお願いします!」

キャリー「かしこまりました!」

キャリーさんは注文を聞きカウンターに向かった

クルス「元気そうだな」

「そうだね!・・・クルスさんってお酒飲むんだね」

クルス「あまり飲まないが、たまにはな!それにここでしか飲めないからな!」

確かに・・・
こういうところでしか飲めないよね
しばらくするとキャリーさんは飲み物を持ってきた

キャリー「おまたせしました!」

クルスさんの前には大きなジョッキに零れそうなほどのビールが
僕の前にも大きなジョッキに入ったブドウジュースが置かれた

クルス「大きいな~」

キャリー「フフフ。サービスよ!」

クルス「すまないな!じゃあ・・・乾杯!」

「乾杯!」

ゴクッ!ゴクッ!

僕もクルスさんも勢いよく飲む

クルス「ぷはぁ~~~!!うまいな~!!」

「うん!おいしい!」

キャリー「フフフ。料理もすぐに持ってくるからね!」

「待ってます!」

キャリー「うん!そういえば、最近どうなの?」

クルス「ん?どうって?」

キャリー「生活とかどうかなって」

「・・・」

クルス「いつもと変わらずだよ。毎日、生きるために忙しいよ」

笑顔で返すクルスさん

キャリー「そう!元気で生きてるならいいね!」

クルス「ああ!」

マスター「お~い。料理頼む」

キャリー「は~い!じゃあね!」

キャリーさんはカウンター向かった

「キャリーさん、元気そうだね!」

クルス「ああ。安心した」

僕たちは飲み物を飲む

クルス「・・・やっぱり違うんだよな・・・」

「ん?」

クルス「ビールだよ。味が違うんだよ」

「そうなの?」

クルス「ああ。なんか・・・こう・・・渋み?って言うのかな?それがなくてな・・・」

「ふ~ん・・・一口」

クルス「ダメ」

「なんで?」

クルス「未成年はダメだろう?」

「『今更法律なんて気にするか?』って言ってたじゃん!」

クルス「それはそれ!これはこれ!」

「納得いかないよ~」

クルス「駄々こねてもダメ。それに子供がお腹にいる可能性もあるんだから」

「・・・そう・・・だね」

そう・・・だよね
僕のお腹には・・・子供がいるかもしれないんだし・・・

「・・・」

僕はお腹を摩った
子供・・・
もしできていたら・・・産む・・・よね・・・
でも、産んだらあの人達の思うつぼだし・・・
でも、クルスさんとの子供なら・・・

「・・・」

僕はずっと悩んでいる
産むべきか産まないべきか・・・
産みたいって気持ちはある
でも、こんな世界で子育てなんて・・・
それにあの人たちの計画通りに事が運ぶのは・・・気に入らないし・・・

クルス「ぷはぁ~~~!うまい!」

クルスさんは僕の気も知らずにお酒を飲んでいる
しばらくするとキャリーさんが料理をもってきてくれた・・・


・・・クルス視点・・・
ハルト「ん!おいしい!」

キャリー「でしょう?ここのおすすめだもん!」

ハルトは無邪気にこの店のおすすめを頬張っている
俺はそれを見て少し安心している
この世界に出て、いろんなことがあった
もしかしたらハルトが壊れてしまうかもしれないとも思った
でも、俺が思っている以上にハルトは強い
先のことを考えて悩みもするが、必ず道を見つける
どんな過酷な状況も諦めない
俺にはない物を持っている

「・・・」

ハルト「クルスさん?」

「ん?」

ハルト「どうしたの?」

「なにがだ?」

ハルト「僕のこと・・・ずっと見てるから・・・」

「かわいいな~ってな!」

ハルト「こ、ここで言うのはやめてよ・・・」

顔を真っ赤にして慌てている
ホントにかわいいな・・・
こんなかわいいのに、いざとなったら俺なんかよりしっかりしている
大人顔負けだ

ハルト「お腹いっぱい・・・」

「・・・あ」

ハルトのことをみてて自分の食事を忘れていた
俺は急いで食べた

ハルト「そ、そんなに急がなくても・・・」

心配するハルトを横目に食べ終え

「よし!帰るか!」

ハルト「うん!」

俺たちは会計をして帰ろうとした

キャリー「明日までいるの?」

「ああ。その予定だ」

キャリー「じゃあ、明日よかったら家に来てよ!クルトに会ってほしい!」

「わかった!じゃあ、明日邪魔するよ」

そして俺たちは家に帰った
家に入りベッドに入る
俺はハルトの腹を撫でる

ハルト「・・・」

「・・・」

ハルトはなにも言わない
きっと言いずらいんだろう
ハルトが産むどうかで悩んでいることぐらいわかる
いつも傍にいて見てるんだ
悲しいとき、怖いとき、泣きたいとき・・・
見ていればわかる
きっと、産んだらあいつらの思い通りになる気がするんだろう
俺も・・・そんな気がする
もしかしたら、今もあいつらの思い通りに動いてるんじゃないかって思う
手のひらで踊らされてるんじゃないかって
でも・・・そう思い込んでいたら先には進めない
だから、俺は先に進む
ハルトと子供とともに

「お休み・・・ハルト」

ハルト「おやすみなさい・・・」

今にも泣きそうな声で言うハルト
俺はハルトの頭を撫でる
ハルトは肩を震わせる

「悩みがあるなら言えよ?」

ハルト「・・・うん・・・」

「言ってみると楽になるかもよ?」

ハルト「・・・うん・・・ありがとう」

ハルトはそれでも言わなかった
今はそっとしておこう
いつか話してくれるだろう

「お休み・・・」

そういい頭にキスをして眠りについた・・・
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