崩壊した世界を共に

ジャム

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仲直り

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次の日
「ハルト・・・起きてるだろう?」

俺は扉の前に居た

「なぁ・・・昨日夕飯も食べてないだろう?朝食だって・・・」

ハルト「・・・」

「・・・ここに置いておくからな。食べるんだぞ」

そういい朝食を扉の前に置き俺は外に出た

ジェット「クルス様・・・坊ちゃんはどうですか?」

「ダメだ・・・出てこない」

ジェット「そうですか・・・」

ジェットは畑の世話をしていた

「俺もやるよ」

ジェット「では一緒にやりましょう」

俺は畑仕事をした
思っていた以上に大変だった

「大変なんだな・・・」

ジェット「そうですね。少ないとはいえ雑草も生えますし、水あげ、間引き・・・色々やることがありますね」

「それをハルトは一人でやってたんだな・・・」

ジェット「そうですね。私がお手伝いしますと言うと『これは僕にできることだから』と言っておりました」

「・・・」

きっと俺の役に立とうとしていたんだろう・・・
自分にできることを探して一生懸命やって・・・
それなのに・・・俺は・・・

「・・・っ・・・」

俺の目から涙が出てきた

ジェット「クルス様・・・」

「俺は・・・なんてことを・・・」

ジェット「クルス様の言ったことは間違ってはおりません」

「・・・」

ジェット「戦場では坊ちゃんは確かに力が及ばないと思います。ですが、お教えすればきっと戦えるようになると思います」

「それはできない」

ジェット「何故ですか?この世界では少しでも戦えないと生き残ってはいけませんよ?」

「・・・これは俺のエゴだ」

ジェット「エゴ・・・ですか?」

「ああ。俺は・・・」

ジェット「坊ちゃんのこと好きなんですよね?」

「!?なんで・・・」

ジェット「見ていればわかります。坊ちゃんのお名前はお呼びするのにネピー様のお名前は一度も呼んでいません」

「・・・」

ジェット「それに坊ちゃんの前ではいつも笑顔です」

「・・・そうか」

ジェット「好きでしたら尚更戦闘術を学ばせた方がいいと思います」

「・・・」

ジェット「なにかあったとき自分の身を守らないといけないんですよ?」

「・・・そうだな・・・」

ジェット「大切の人を守りたいという気持ちはわかります。でしたら尚更です」

「・・・ああ」

そうだよな・・・
いつまでも俺が守ってやれるとは限らない
自身を守ることぐらいは・・・

「ハルトと話さないと・・・」

ジェット「ですが、話す方法はございますか?」

「・・・」

ジェット「・・・私にお任せください」

そう言うとジェットから何かの通信音が聞こえた

ジェット「・・・坊ちゃんが出てきてくれるそうです」

「!?ホントか!?」

ジェット「はい。私はお食事をご用意します!」

ジェットは食事を用意しに、俺は地下への扉に急いで向かった
扉の前に着くとハルトが出てきた

ハルト「・・・」

「ハルト・・・」

ハルト「・・・」

「すまなかった・・・」

俺は頭を下げた

「言い訳になるだろうけど、あの時は戦闘でお前をどうしても守りたかった。お前を死なせたくなかった。だから、あんなキツイ言い方をしてしまった・・・」

ハルト「・・・」

「非力なんて思ってない。もちろん邪魔とも思ってない。わがままだとも思ってない」

ハルト「・・・」

「何度謝っても許してもらえないと思ってる・・・でも・・・せめて食事だけはしてくれ!このままではお前が倒れてしまう!」

ハルト「・・・」

「・・・」

俺はただ頭を下げ続けた

ハルト「・・・すみません」

「・・・」

ハルト「僕・・・戦えないのに・・・あんなところに出て・・・すみません・・・」

ハルトも頭を下げる

「頭を上げてくれ。俺が悪いんだ」

ハルト「いえ、僕があんな無謀なことをしなければ・・・言われることもなかったです」

「いや、言ってはいけないことを俺は言った。ホントにすまない!」

お互いも頭を下げ合っていた

ハルト「・・・」

「・・・」

ハルト「フッ・・・」

「フッ・・・」

「「ハハハハハハ」」

俺たちは笑いあった
何がおかしいとかそう言うのではない
ただ、笑いが込み上げてきたのだ

ハルト「クルスさん、頭下げすぎですよ」

「そ、そうか?」

ハルト「ハハハハ!」

「ハハハ・・・それで・・・その・・・」

ハルト「許しますよ」

「ホントか?」

ハルト「はい!僕もあの時、なにも考えず戦いの中に入って行きました。それは僕も反省します」

「いや、俺も酷いことを言った。それは反省する」

ハルト「では、お互い反省ですね!」

と、俺に笑顔を向ける

「・・・おう!」

ジェット「仲直りしたところでお食事にしませんか?坊ちゃんは昨日の夜から何も食べてないですし」

ハルト「うん!お腹空いた!」

そういうとハルトは俺の手を握ってきた

ハルト「一緒に食べましょう!」

そういい俺を引っ張っていく
俺はそれが嬉しかった
手を握られたことが
笑顔をまた俺に向けてくれた
それがすごく嬉しかった

「すまないな・・・」

俺は小さく囁いた
あんなこと言って、恨まれて当然なのにあんな笑顔を俺に向けてくれた
許してくれた・・・とは、思わないけど、笑顔が見れてよかった・・・
そしてハルトは食事をした

ハルト「モグモグ」

ジェット「そんな急いで食べては喉を詰まらせますよ?」

ハルト「ゴクッ!わかってるよ!」

そう言うが急いで食べている

「フフフ」

それを見て愛しく感じる
可愛い・・・
この言葉に尽きる

ハルト「ご馳走様!」

ジェット「坊ちゃん!お行儀が悪いですよ!」

ハルト「あ、そうだよね!」

そういい手を合わせて

ハルト「ご馳走様でした!」

ジェット「はい!お粗末様でした!」

そしてハルトは外に走って行った

「・・・可愛い・・・」

ジェット「それはよかったです!」

「!?」

つい声に出してしまった

「こ、このことはハルトには言うなよ!?」

ジェット「ええ!こういうことは言いません!家政婦はなんとかというのでしょうね!」

それは違う気がするが・・・
まぁいいか

「・・・っ!」

急に体が熱くなった

「そうか・・・もうそんな時期か・・・」

俺の発情期が始まったらしい

ジェット「発熱を確認。ホルモンバランスに異常あり。発情期ですね?」

「あ、ああ。このことはハルトに言うな」

ジェット「かしこまりました」

「じゃあ、俺は部屋に戻る」

ジェット「わかりました。坊ちゃんにはお部屋に近づかないようにうまく伝えておきます」

「あ、ああ。頼んだ・・・」

そして俺は部屋に籠った・・・


~ハルト視点~
僕は外に飛び出した

「う~~~ん!!明るいな~」

昨日からずっと暗い地下に居たから外が気持ちいい

「・・・大人げないよね・・・」

いつまでも引き籠って、戦えないのに戦場に出て・・・

「・・・やっぱり・・・戦うためにクルスさんにお願いしようかな・・・」

でも、きっとダメだろうな・・・
なんでかはわからないけど、教えてくれない
でも、お願いすれば・・・もしかしたら・・・

「・・・今度頼もう」

足手まといになりたくない
クルスさんを守る・・・ことはできなくても自分の身を守ることくらいはしたい

「・・・さて、畑に行こう!」

僕は畑に向かった
でも、もう綺麗になっていた

「ジェットがやってくれたのかな?」

ジェット「クルス様がやってくれましたよ」

「!びっくりした・・・クルスさんがやってくれたの?」

ジェット「はい!坊ちゃんはすごく役に立っていると言ってましたよ!」

「・・・そうなんだ」

ジェット「クルス様を許せないのはわかります。でも、どれもこれも坊ちゃんを思ってのことですよ?」

「・・・そうだね。いつも僕の傍にいてくれるし、優しいし」

ジェット「ええ!クルス様は坊ちゃんを想っています!」

「想って・・・?それって・・・どういう・・・?・・・っ!?」

その時、心臓が跳ね上がるほどの衝撃を受けた

「な、なに・・・?」

身体が熱く、立っていられないほどだった

「ハァ・・・ハァ・・・」

ジェット「体温、心拍数上昇。ホルモンバランスに異常を確認。オメガ特有発情期を確認しました」

「オ、オメガ・・・?僕が・・・?」

オメガ・・・
そんなの知らなかった・・・

「ジェットは・・・知ってたの?」

ジェット「はい。奥様と旦那様から伺っておりました」

「なんで・・・教えてくれなかったの?」

ジェット「発情期が始まる予定の歳。15歳の誕生日にお伝えする予定でした」

「そ、そうなんだ・・・」

ジェット「はい。予定より早い発情期ですが・・・問題はありません。通常のオメガの発情期です」

「こ、これが・・・正常・・・?」

凄く苦しい・・・
胸が・・・
息をするのも・・・
何もかもが苦しい・・・
そして・・・

「・・・な、なに!?」

ズボンが少しずつ濡れてきた
お尻から何かが流れる感覚がする
僕は下着に手を入れ確認した
手には透明な液体が付いていて甘い匂いがした

「それ・・・オメガ分泌液・・・」

昔、学校で学んだことがある
オメガ特有の分泌液は甘い匂いがして獣人を強制的に発情期にさせてしまう液体・・・

「・・・部屋に・・・」

立ち上がろうとしたけど動くことができなかった

ジェット「・・・少々お待ちください。クルス様をお呼びします」

「ダ、ダメ・・・クルスさんは・・・呼ばないで・・・」

クルスさんが来たら・・・
とんでもないことになってしまう・・・
僕はなんとか部屋に戻ろうとしたが身体が動かない・・・
しばらくすると・・・

クルス「ハルト・・・」

「ク、クルスさん・・・」

ジェットが呼びに言ったのかクルスさんが来てしまった・・・
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