恋は軍隊より強し!

ジャム

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作戦開始・経路確保

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次の日
僕たちは豹原議員を『確保』するため豹原議員のいる施設に来ている

司令「作戦開始前におさらいだ。目的は豹原議員の『確保』だ。実弾での戦闘は禁止。ゴム弾のみ使用。戦闘は避けられないと推測される。もし、接近された場合、スタンロッドでの戦闘をしてくれ。以上だ」

作戦はシンプルだが難しい・・・
誰も殺さず豹原議員を確保・・・
なぜ、誰も殺してはいけないのかと言うと・・・

司令「相手も馬鹿じゃない。俺たちの軍以外の軍隊が護衛をしていると情報では聞いている。同じ軍人としてできれば殺しはしたくない」

そういうこと
熊井司令の強い意向により非殺傷による作戦が立てられた
正直、成功する可能性は低いと思う
相手はこちらを本気で殺しにくるのだから

熊岡「潜入経路は?」

司令「厳重な警備のせいで潜入経路はゼロだ」

豹入「と、なると正面突破ですか?」

司令「それも得策じゃない」

熊岡「じゃあどうやって潜入するんですか?」

司令「現段階で考えられる侵入経路は二つ。一つはフックショットを使って屋上からの潜入だ」

「でも、屋上の警備は尋常じゃないくらいいますよ?」

司令「ああ。だから屋上から行くなら素早い動きと洞察力を要する」

熊岡「・・・もう一つは?」

司令「もう一つは下水道だ」

豹入「下水道?」

司令「ああ。警備は手薄。だが・・・」

「どこに出るかわからない・・・ですよね?」

司令「ああ・・・。地図が古すぎてどこに繋がっているかわからない。施設に繋がっていたとしても・・・」

熊岡「出た先で敵に遭遇・・・」

豹入「ハチの巣になる・・・か・・・」

どっちを選んでもリスクが高すぎる
かと言って他に思い当たる潜入経路はない

豹入「どうする?」

熊岡「確実に潜入できるが犠牲を伴う方を選ぶか・・・」

「一か八かの賭けに出るか・・・」

司令「・・・俺としては下水道がいいと思う」

「なぜですか?」

司令「もし見つかっても下水道に逃げ込める」

熊岡「ですが、それだと警戒を強くする可能性があります」

司令「そうだな・・・」

豹入「かと言って屋上からは・・・俺や市原くんならともかく・・・大型獣人の熊井司令と熊岡には・・・」

「素早い行動は難しい・・・ですね」

司令「・・・悔しいが・・・その通りだ」

熊岡「・・・くそ・・・」

施設を目の前にして潜入経路が決まらない

豹入「二手に分かれる・・・わけにはいかないしな・・・」

二手に分かれるのもありだと思う
でも、その分戦力が減るだけじゃなく何かあった時に助けに行けないというデメリットがある

司令「二手に分かれるのはやめよう。危険すぎる」

熊岡「では、下水道を通りましょう」

「それしかない・・・ですよね」

司令「そうだな。ひとまずは施設に入れるからな」

豹入「じゃあ行きましょう」

潜入経路が決まり下水道に向かう

熊岡「うわ・・・マジかよ・・・」

下水道の扉は錆びつき開けるのが難しそうだ

司令「俺と熊岡くんで開けられるか試そう」

豹入「では、俺と市原くんで見張りをします」

「はい!」

そして熊井司令と晴臣さんが扉を開けようとする

司令「ぐぬぬぬ・・・」

熊岡「う、動いた・・・」

扉は音を立てて少しずつ動いていく

豹入「俺も手伝おう。市原くん、見張りを頼むよ」

「了解です!」

三人で扉を開けると・・・

司令・熊岡・豹入「ゲホッ!ゲホッ!」

いきなり咳をし始めた

熊岡「く、くっさ!!」

豹入「鼻が・・・もげそう・・・」

司令「臭いが服に着いたら処分しかなさそうだな・・・」

僕も入口に近づくと・・・

「うっ!!!ゲホッ!ゴホッ!くっさ!!」

司令「何年も使われてないって言うのは・・・ホントのようだな・・・」

長年使われていないからなのかすごい臭いがする

「入りたくない・・・」

司令「入るしかない。みんな我慢・・・ゲホッ!」

熊岡「・・・ガスマスクを持ってきておけばよかった・・・」

「ハンカチならたくさんあります。ハンカチで鼻を塞ぎましょう・・・」

みんなにハンカチを渡し中に入る

豹入「ハンカチ越しでも・・・辛い・・・」

司令「でも・・・大分マシだろう・・・」

熊岡「でも、よくハンカチをこんなに持ってたな」

「医療用に持ってきておいたんです。まさかこんなことに使うとは思いませんでしたけど・・・」

司令「まぁ、あって助かったよ。えっと・・・この道を真っすぐのはずだ」

司令に着いて行き地下を進む
真っ暗でなにも見えない

豹入「ライト付けますか?」

熊岡「つけて敵に気づかれたらどうするんだ」

司令「こんな悪臭の中、敵がいるとは思えないんだが・・・」

確かに・・・
そしてライトをつける

豹入「うわ・・・酷いな・・・」

熊岡「足元気を付けろよ」

「はい・・・」

コケが生えて、水は茶色に染まっている
下水道ってこうなってるんだ・・・

豹入「未知の生き物とかいそう・・・」

「へ、変なこと言わないでください!」

熊岡「とにかく先に進むぞ」

司令「同感だね。時間がないんだ」

僕たちは先に進んでいく
ジメジメ、ヌメヌメの地下を・・・
しばらく進むと二又の分かれ道に出た

熊岡「司令、これはどっちですか?」

司令「・・・あれ?地図にはこんな道ないんだが・・・」

熊井司令が地図を開き確認する

熊岡「そんなわけありませんよ。ここまでずっと一本道でしたし」

司令「だが、地図ではまだ一本道のはずなんだ」

みんなで地図を確認する
確かに地図上では一本道だ

豹入「未知を間違えた・・・わけではないし・・・」

熊岡「間違えようがないだろう。一本道だったんだから」

司令「じゃあなんで分かれ道に?」

「現在地は・・・ここであってますよね・・・」

古い下水道だからアナログ・・・紙の地図での潜入だ
現在地もわからなくなる可能性もある

司令「・・・左に行こう!」
熊岡「・・・右に行こう!」

熊井司令と晴臣さんが一斉に言った
それも全く別の方向を・・・

司令「右に行く根拠は?」

熊岡「勘です!そちらこそ、左と言う根拠はなんですか?」

司令「勘だ!」

豹入「始まったよ・・・」

「はぁ・・・」

二人は左だ右だと言い合いを始めた
この状況でも言い合うんだもんな・・・

「言い争っている場合ですか?」

豹入「そうですよ・・・熊岡も大人げないぞ」

熊岡「俺は右だと意見してるだけだ!」

司令「でも、この作戦の指揮は俺だ。俺に従う義務がお前にはある」

熊岡「でも、それが間違いだとしたら取り返しがつきませんよ!」

司令「指揮官の命令無視の方がよっぽどだけどな?」

正直どっちもどっち・・・

「・・・豹入副隊長」

豹入「ん?」

「ちょっと力を貸してください」

豹入「あ、ああ。何をすればいい?」

「耳をすませてください」

豹入「耳を?」

「はい」

豹入副隊長は目を瞑り耳をすませる
僕は床をスタンロットで叩いた

カ~~~~ン・・・

鉄と鉄が当たる音が広がっていく

「どうですか?」

豹入「・・・左からは音が帰ってきたよ?」

「では右ですね」

司令「ん?なんでそうなるんだい?」

「音が反響して帰ってくるってことは行き止まりだからです」

熊岡「なるほど・・・音響反射ってことか?」

「そんな感じです。では行きましょう」

僕たちは行き止まりになるたびに豹入副隊長に耳をすませてもらった
そして道を進んでいく

豹入「・・・ごめん。どっちからも音が帰ってくる・・・」

「ではどっちかが出口ってことですね」

熊岡「どっちだよ・・・」

「そ、それは・・・」

それだけは僕にもわからない・・・

司令「・・・二手に分かれよう。もし出口を見つけたら音を出して知らせるんだ」

僕と晴臣さん、熊井司令と豹入副隊長で別れることになった
晴臣さんと熊岡司令を一緒にすると・・・ロクなことなさそうだし
僕と熊井司令が一緒だと晴臣さんが落ち着かないということで、この組み合わせになった
そして・・・

「出口だ!」

目の前には梯子で登ることができる出口があった

熊岡「音で知らせるぞ!」

カ~~~~ン・・・

音が鳴り響き、少ししてから足音が近づいてきた・・・
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