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印の行方
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~熊岡視点~
「はぁ・・・はぁ・・・」
俺は指輪を探していた
手を伸ばしたがあと少しで届かなかった
そしてその指輪は川に入ってしまった
流れに流されたら・・・
「はぁ・・・クソ・・・」
もう流されちまったか?
???「おい」
声がして振り向くと
寅野「何してんだよ」
寅野が立っていた
「指輪を探してんだよ」
寅野「?どういうことだ?」
「・・・今はお前に構ってる暇はねぇんだ!あとにしてくれ!」
寅野「ひでぇな。婚約者に向かって」
「何が婚約者だ。浮気野郎が」
寅野「浮気?なんのことかな~」
「とぼけるなよ。お前は俺を裏切ったんだぞ」
寅野「でも、お前も悪い所あったよな?」
「俺のどこが悪かったんだよ」
寅野「夜の誘いを全部断るから俺は他のやつで発散してただけだぞ?」
「俺は最初に言ったはずだ。お前は運命の相手じゃない。だから付き合ってもやるつもりはないって」
寅野「じゃあ、俺が他人とやっても文句はなかっただろう?」
「ああ。なかった。だから、別れを切り出したがお前は嫌がった。なぜだ?」
寅野「まぁ・・・なんだ・・・お前のことが好きだったからな・・・」
「お前は好きな奴がいるのに他の奴とやる奴なんだよな。俺はそれが嫌いだ」
寅野「だから逃げた・・・と?」
「逃げてない。ちゃんと親に事情は話した」
寅野「その結果・・・お前は絶縁だろう?」
「ああ。別にそれでも構わなかった。お前と離れられるなら」
寅野「そんなに・・・俺のことが嫌いだったのかよ・・・」
「そうだ。俺はお前が大嫌いだった。でも、当時は親の言うことを聞くしかなかった。でも、俺はもう聞かないと決めた。その結果・・・今がある」
寅野「・・・そうだったのか。で、あの子は運命の相手なんだな?」
「ああ。じゃなきゃ指輪なんて贈らない」
寅野「でも、その指輪を今は探してるんだろう?」
「話してなかった俺が悪いんだ。当然の報いだ」
寅野「・・・お前・・・変わったな」
「人は変われる。変わろうと思えばな」
寅野「・・・はぁ・・・まったく・・・ほらよ!」
寅野は手を出してきた
手には陽翔の指輪があった
「!?なんで持ってるんだ!?」
寅野「この川は時間帯によって下流に向かうところが浅瀬になるんだよ。その浅瀬のところで見つけた。確かお前たちが着けてた指輪だったなって」
「それを・・・拾ってくれたのか?」
寅野「勘違いするなよ?落として困ってるのかと思ったから届けに来ただけだ。言っただろう?お客様として接するって」
そういい俺に指輪を渡してくれた
寅野「それに・・・ほら。耳をすませてみろよ」
俺は耳をすませた
???「うぅ・・・うっ・・・」
小さな泣き声が聞こえる
寅野「この状況を見る限り、あの子が泣いてるんだろうな」
「・・・」
寅野「あの子が指輪を投げ捨て、お前はそれを必死に探していた。そうだろう?」
「ああ・・・」
寅野「運命の相手を泣かすなんて・・・最低だな?」
「最低なのは認める。ちゃんと話し合わずに逃げ出したことも謝る。でも、お前のことは嫌いだ。それは今も昔も変わらない」
寅野「・・・実は、ちょっと意地悪したんだよね」
「意地悪?」
寅野「ああ。ほら!俺、オメガじゃん?それをチラつかせると大体の奴は求めてくるのにお前は全くなびかなくてさ・・・それがムカついたんだよ。だから、今回はちょっと意地悪しちまった。過去のお前への復讐・・・みたいな?w」
「そんなに恨んでたのか?」
寅野「う~ん。どうだろうな。昔は恨んでた。この俺から離れるなんて!って。でも、今になって考えるとなんでお前に拘ってたのかわからないんだよな。再会した時も嬉しさよりも懐かしさの方が大きかったし」
「・・・そうか」
寅野「すまないな。俺のせいで新婚旅行を台無しにしちまって・・・」
「・・・まだ結婚してない」
寅野「え?でも指輪・・・」
「あいつはあいつなりに考えてるんだ。未来への不安・・・子供の事とか、軍の事とか」
寅野「あの子もオメガなのか?」
「ああ」
寅野「なら尚更申し訳ないことをしたな・・・」
「そんなに申し訳ないわけでもないだろう」
寅野「お前は・・・いいか?オメガは結婚が一番の幸せなんだぞ!その印である指輪を捨てるということは幸せを捨てるってことだぞ!」
「そ、そうなのか?」
寅野「まぁ・・・人それぞれだとは思うけど・・・俺はそう思ってる」
だとしたら・・・
俺は陽翔を相当傷つけたことになる
指輪を・・・愛の印を捨てるほどなのだから・・・
「・・・」
寅野「・・・なにしてるんだ?早く行けよ!」
「え・・・?」
寅野「あの子を失いたくないなら今すぐ行け!そしてちゃんと話し合え!もう逃げるな!」
「・・・ああ!」
俺は指輪を握りしめ部屋に向かって走った・・・
「はぁ・・・はぁ・・・」
俺は指輪を探していた
手を伸ばしたがあと少しで届かなかった
そしてその指輪は川に入ってしまった
流れに流されたら・・・
「はぁ・・・クソ・・・」
もう流されちまったか?
???「おい」
声がして振り向くと
寅野「何してんだよ」
寅野が立っていた
「指輪を探してんだよ」
寅野「?どういうことだ?」
「・・・今はお前に構ってる暇はねぇんだ!あとにしてくれ!」
寅野「ひでぇな。婚約者に向かって」
「何が婚約者だ。浮気野郎が」
寅野「浮気?なんのことかな~」
「とぼけるなよ。お前は俺を裏切ったんだぞ」
寅野「でも、お前も悪い所あったよな?」
「俺のどこが悪かったんだよ」
寅野「夜の誘いを全部断るから俺は他のやつで発散してただけだぞ?」
「俺は最初に言ったはずだ。お前は運命の相手じゃない。だから付き合ってもやるつもりはないって」
寅野「じゃあ、俺が他人とやっても文句はなかっただろう?」
「ああ。なかった。だから、別れを切り出したがお前は嫌がった。なぜだ?」
寅野「まぁ・・・なんだ・・・お前のことが好きだったからな・・・」
「お前は好きな奴がいるのに他の奴とやる奴なんだよな。俺はそれが嫌いだ」
寅野「だから逃げた・・・と?」
「逃げてない。ちゃんと親に事情は話した」
寅野「その結果・・・お前は絶縁だろう?」
「ああ。別にそれでも構わなかった。お前と離れられるなら」
寅野「そんなに・・・俺のことが嫌いだったのかよ・・・」
「そうだ。俺はお前が大嫌いだった。でも、当時は親の言うことを聞くしかなかった。でも、俺はもう聞かないと決めた。その結果・・・今がある」
寅野「・・・そうだったのか。で、あの子は運命の相手なんだな?」
「ああ。じゃなきゃ指輪なんて贈らない」
寅野「でも、その指輪を今は探してるんだろう?」
「話してなかった俺が悪いんだ。当然の報いだ」
寅野「・・・お前・・・変わったな」
「人は変われる。変わろうと思えばな」
寅野「・・・はぁ・・・まったく・・・ほらよ!」
寅野は手を出してきた
手には陽翔の指輪があった
「!?なんで持ってるんだ!?」
寅野「この川は時間帯によって下流に向かうところが浅瀬になるんだよ。その浅瀬のところで見つけた。確かお前たちが着けてた指輪だったなって」
「それを・・・拾ってくれたのか?」
寅野「勘違いするなよ?落として困ってるのかと思ったから届けに来ただけだ。言っただろう?お客様として接するって」
そういい俺に指輪を渡してくれた
寅野「それに・・・ほら。耳をすませてみろよ」
俺は耳をすませた
???「うぅ・・・うっ・・・」
小さな泣き声が聞こえる
寅野「この状況を見る限り、あの子が泣いてるんだろうな」
「・・・」
寅野「あの子が指輪を投げ捨て、お前はそれを必死に探していた。そうだろう?」
「ああ・・・」
寅野「運命の相手を泣かすなんて・・・最低だな?」
「最低なのは認める。ちゃんと話し合わずに逃げ出したことも謝る。でも、お前のことは嫌いだ。それは今も昔も変わらない」
寅野「・・・実は、ちょっと意地悪したんだよね」
「意地悪?」
寅野「ああ。ほら!俺、オメガじゃん?それをチラつかせると大体の奴は求めてくるのにお前は全くなびかなくてさ・・・それがムカついたんだよ。だから、今回はちょっと意地悪しちまった。過去のお前への復讐・・・みたいな?w」
「そんなに恨んでたのか?」
寅野「う~ん。どうだろうな。昔は恨んでた。この俺から離れるなんて!って。でも、今になって考えるとなんでお前に拘ってたのかわからないんだよな。再会した時も嬉しさよりも懐かしさの方が大きかったし」
「・・・そうか」
寅野「すまないな。俺のせいで新婚旅行を台無しにしちまって・・・」
「・・・まだ結婚してない」
寅野「え?でも指輪・・・」
「あいつはあいつなりに考えてるんだ。未来への不安・・・子供の事とか、軍の事とか」
寅野「あの子もオメガなのか?」
「ああ」
寅野「なら尚更申し訳ないことをしたな・・・」
「そんなに申し訳ないわけでもないだろう」
寅野「お前は・・・いいか?オメガは結婚が一番の幸せなんだぞ!その印である指輪を捨てるということは幸せを捨てるってことだぞ!」
「そ、そうなのか?」
寅野「まぁ・・・人それぞれだとは思うけど・・・俺はそう思ってる」
だとしたら・・・
俺は陽翔を相当傷つけたことになる
指輪を・・・愛の印を捨てるほどなのだから・・・
「・・・」
寅野「・・・なにしてるんだ?早く行けよ!」
「え・・・?」
寅野「あの子を失いたくないなら今すぐ行け!そしてちゃんと話し合え!もう逃げるな!」
「・・・ああ!」
俺は指輪を握りしめ部屋に向かって走った・・・
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