恋は軍隊より強し!

ジャム

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最悪な形

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次の日・・・
「う~~~ん!!空気がおいしい!!」

僕たちは予定通り旅行に来ていた

熊岡「・・・」

晴臣さんは浮かない顔をしていた

「楽しく・・・ないですか?」

熊岡「いや!楽しいぞ!ホント!いい空気だな!」

無理やりテンションをあげているのがよくわかる

熊岡「・・・よし!旅館に行くぞ!!」

そういい先陣を切る
でも、その後ろ姿は楽しそう・・・には見えなかった
しばらく歩くと立派な旅館が見えてきた

「うわ~!すごくいい旅館ですよ!」

熊岡「そ、そうだな!」

そして・・・

虎獣人「いらっしゃいませ!『市原』様でよろしいでしょうか?」

「はい!お世話になります!」

虎獣人「はい!・・・ん?お前・・・晴臣か!?」

熊岡「よ、よう・・・久しぶり・・・」

虎獣人「久しぶりだな!どうしたんだよ!連絡も寄越さねぇで!」

「???」

どうやらこの人と晴臣さんは知り合いのようだ

虎獣人「でも、よく来たなw」

熊岡「ま、まぁな・・・」

「えっと・・・」

虎獣人「・・・君はこいつの・・・恋人・・・だよな。お揃いの指輪してるし」

「は、はい」

虎獣人「ふ~~ん・・・まぁいい。お部屋までご案内します」

そういい部屋まで案内してもらった
部屋は広くて窓を開けるととても眺めの良い景色が広がっていた

「綺麗ですね!」

虎獣人「この部屋は一番眺めがいいんだ!・・・晴臣」

熊岡「な、なんだよ」

虎獣人「俺・・・また認めてないからな」

熊岡「・・・」

「?なんのことですか?」

虎獣人「話してないのかよ・・・最低だな」

熊岡「今はやめてくれ。もう終わった事だろう」

虎獣人「終わってない!!俺は・・・まだ認めてない!!」

そう叫び涙を流す虎獣人

虎獣人「お前が・・・勝手に・・・居なくなったんだろう・・・勝手に・・・」

熊岡「・・・すまない・・・」

虎獣人「そして久々に会いに来たかと思ったら・・・こんな奴を連れてきて・・・」

虎獣人は僕を睨む

虎獣人「ふざけるなよ・・・なんでこいつなんだ・・・俺じゃ・・・ダメなのかよ・・・」

熊岡「・・・」

晴臣さんはなにも言わず俯いていた

虎獣人「・・・だんまりかよ・・・お前はいつもそうだよな・・・昔から変わってない」

そういい僕に近づいてくる

「・・・」

虎獣人「・・・」

「な、なにか・・・?」

虎獣人「お前がどこまで晴臣を知ってるか知らないが、俺はお前より晴臣を知っている。お前なんかに・・・盗られてたまるか!」

「盗られる・・・?」

虎獣人「・・・俺は、『寅野 平司』(とらの へいじ)。こいつの婚約者だ」

「え!?」

寅野「その反応・・・知らなかったみたいだな」

「し、知りませんでした・・・」

寅野「こいつはな、俺が居ながらどこかに行っちまったんだよ。手紙に「結婚できない。すまない」の一言だけを残してな。」

熊岡「・・・」

寅野「・・・まぁいい。今はお客様として扱ってやる。でも、あとで・・・プライベートで会いたい」

熊岡「・・・わかった」

寅野「では、なにかありましたらいつでもおっしゃってください!失礼します!」

寅野さんは笑顔・・・たぶん接客スマイルで部屋から出て行った
部屋に残された僕たち・・・

「・・・」

熊岡「その・・・」

「今は・・・聞きたくありません・・・」

熊岡「・・・そうだよな・・・すまない・・・」

僕の中で色々巡っている
寅野さんは晴臣さんの・・・婚約者?・・・でいいんだよね?
じゃあ・・・僕は?
僕は何だろう・・・

「・・・」

僕は指輪を見た
これは・・・結婚指輪・・・と言ってた
でも・・・違うのかな・・・?

熊岡「陽翔・・・」

「聞きたくない・・・」

熊岡「でも、これだけは言わせてくれ。俺はお前を・・・」

「聞きたくないって言ってるだろう!!」

怒りが込み上げてくる

「あの人は晴臣さんにとってなんなんだよ!?僕の事愛してるって嘘だったの!?この指輪は・・・なんだったんだよ・・・」

熊岡「聞いてくれ!それは・・・」

「聞きたくない!!!いらない!!まやかしの愛なんて!!!いらない!!こんな物!!」

僕は指輪を外し窓の外へ投げた

熊岡「!?」

晴臣さんは僕の指輪を追いかけ手を伸ばした
でも・・・取れなかったみたいだ

熊岡「・・・っ!」

晴臣さんはすごい勢いで部屋を出て行った

「嘘つき・・・晴臣さんの・・・嘘つき・・・」

僕は蹲り泣いた
こんな思いをするために来たんじゃない
こんな思いをするなら・・・

「ここに・・・来なければよかった・・・」

晴臣さんがなぜここを嫌がっていたか・・・わかった
婚約者に会うという修羅場を回避する為だったんだ・・・
僕は・・・遊びだったんだ・・・

「馬鹿・・・僕の・・・馬鹿・・・」

信じたのが間違いだった・・・
愛したのが間違いだった・・・
英雄に・・・会ったのが・・・間違いだった・・・

「もう・・・信じない・・・」

これ以上傷つかないためにも・・・
後腐れなく・・・別れよう・・・
これからも・・・軍で顔を合わせるんだ
なら・・・支障が出ないようにしないと・・・
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