恋は軍隊より強し!

ジャム

文字の大きさ
上 下
32 / 74

嫉妬深き熊

しおりを挟む
あれから三日が過ぎた
僕は相変わらず慰霊碑に来ていた
毎朝来ては敬礼している

狼坂「また来てたのか」

「うん。忘れちゃいけないからね」

狼坂「自分を責めるな。お前の・・・」

「わかってるよwもう自分を責めてないよw」

いくら責めても仲間は帰って来ない
ならせめて覚えていたい、こうして来て、この人達が生きた証明を・・・
熊岡隊長の教え・・・だからね

「・・・さてそろそろ戻ろうかな」

狼坂「隊長のところに?」

「うん」

狼坂「ラブラブだね~」

「えへへw」

奏汰にはこの間、僕と熊岡隊長の関係を話した
奏汰は驚きもせず

狼坂『そうか!よかったな!』

と言っていた
きっと気づいていたのだろう
鈍感なくせに

狼坂「あ~あ!俺も恋人といちゃいちゃしたな~」

「できるよ!奏汰はかっこいいんだからさ!」

狼坂「そうか?思いもロクに伝えられなかったし・・・」

「そうだね。僕に好意を寄せてるなら言うべきだったね」

狼坂「は!?え!?し、知ってたのか!?」

「うん。中学の頃からね」

狼坂「そ、そうだったのか・・・」

「告白されるのかな?どう断ろうかな?って考えてた」

狼坂「断られることが決まってたのかよ・・・」

「ごめんね・・・奏汰は僕にとって親友で幼馴染で家族だから・・・」

狼坂「はぁ~・・・まぁ今は応援してるけどな!俺に勝ち目がないのは昔からわかってたし」

「え?そうなの?」

狼坂「だってお前は大型獣人に惚れる傾向あったし?」

「そ、そうかな?」

狼坂「ああ。確か初恋は牛獣人の体育教師だったよな?次はサイ獣人の国語教師だったし、その次は・・・」

「あぁぁぁぁぁぁ!!もう言わなくていい!!」

狼坂「ハハハ!その時点で俺に勝ち目なんてなかったんだよw」

「で、でも、奏汰だって大きいじゃん?」

狼坂「人間よりはな。でも、分類は中型獣人だからな」

「僕的には一緒だけどね」

狼坂「それに体格がいい人が好みだっただろう?」

「まぁ・・・」

狼坂「俺は体格よくないし・・・」

そういうと奏汰は俯いた

「で、でも、奏汰はいつも僕の傍に居てくれたし!」

狼坂「・・・実は・・・俺、計算高い奴なんだよ」

「え?」

狼坂「弱っているお前の傍で慰めていれば俺に惚れてくれるかも・・・って思ってた。そういう・・・卑怯な奴なんだよ・・・」

奏汰は涙を流す

狼坂「こんな卑怯な奴なんだよ・・・俺は・・・」

「奏汰・・・」

狼坂「ごめん・・・軽蔑したよな・・・ごめん・・・ご、めん・・・」

奏汰はとめどなく涙を流す

「・・・」

僕はそっと奏汰を抱きしめた

「軽蔑なんてしないよ」

狼坂「嘘だ・・・軽蔑してるだろう・・・」

「しないよ。だって、いつも傍に居てくれてたもん。親に言えないことも奏汰は真剣に聞いてくれたし、僕が泣いていれば泣き止むまで傍に居てくれた。感謝してるよ」

狼坂「うぅ・・・」

「だからさ。これからも僕の傍で慰めてよ。僕が泣いたり苦しい時はさ」

狼坂「でも・・・今は隊長がいるだろう・・・俺の出番なんか・・・もうないよ・・・」

「そんなことないよ。奏汰の恋人にはなってあげられない。でも、これからも幼馴染として・・・親友として家族として傍に居てほしい。これは奏汰だけにしかできないことだよ?」

狼坂「俺・・・だけに?」

「うん!幼馴染は奏汰しかいないし、親友だって奏汰だけだよ?奏汰だけは僕が発情期になっても襲わないで守ってくれた。すごく嬉しかったよ。感謝してる」

狼坂「それは・・・大切な家族みたいな存在だから・・・」

「僕とっても奏汰は家族のようなものだよ。だからこれからも家族として傍に居てよ。僕も家族として奏汰の傍に居たい」

狼坂「・・・ああ!これからもずっといるよ!家族として!幼馴染として!親友として!」

「ありがとう!」

狼坂「でも・・・今は・・・いいよな?」

そういい奏汰は僕を強く抱きしめて来た
昔はよく抱きしめあってたな・・・
恋人ごっことか言って・・・
そういえば・・・僕のファーストキスは奏汰だったな・・・

「そういえば・・・ファーストキスも奏汰だったよね?」

狼坂「そうだったなw小学生の頃に恋人ごっこでしたもんなw」

「うんw」

狼坂「あの時はませてたな~」

しみじみと過去を思い出していた時

狼坂「な、なぁ?」

「ん?」

奏汰が少し怯えたような顔をしていた

奏汰「さっきから・・・すごい視線を感じるんだが・・・」

「そういえば・・・」

さっきから視線を感じる・・・
それも殺気に近い視線を・・・

狼坂「げ・・・隊長が・・・」

僕は振り向くと物陰から熊岡隊長がこちらを睨んでいた
熊岡隊長の後ろに「ゴゴゴゴゴゴ」というオーラが見える気がする

「た、隊長!?こ、これは違うんですよ!?」

熊岡「別に俺は怒ってないぞ?幼馴染だし?こういうことぐらいよくするだろう?」

笑顔でそういうがなぜかすごく怖い
顔に怒りマークが見える気がする・・・

狼坂「ち、違うんですよ!これはその・・・」

熊岡「だから気にしてないぞ?俺の最愛の嫁を他人のオスが抱きしめていたなんて・・・まったく気にしてないからな?」

めっちゃ気にしてるじゃん!
めっちゃ怒ってるじゃん!

熊岡「だから遠慮なく続けてくれていいぞ?俺はま~~~~たく気にしてないからな?」

狼坂「い、いえ!もう大丈夫です!」

熊岡「遠慮しなくていいんだぞ?」

狼坂「いえ・・・勘弁してください・・・」

そして僕たちは寮に戻った

「隊長・・・あれは違うんですよ?浮気とかではなくて・・・」

熊岡「だから気にしてないって言ってるだろう?」

そういうが熊岡隊長の後ろに「ゴゴゴゴゴゴ」のオーラ全開なんですが・・・

狼坂「じゃ、じゃあ、俺は寮に戻るから!」

奏汰は慌てて僕から離れると寮棟に帰って行った
僕と熊岡隊長も寮に戻ってきた
でも、熊岡隊長は僕に背を向けて座っている

「・・・隊長!ハグしましょう!」

僕は両手を広げた

熊岡「別に無理しなくていいんだぞ?俺みたいなおじさんじゃ満足しないみたいだし?」

完璧に根に持ってるし不貞腐れてるし・・・

「晴臣さん?」

熊岡「な、なんだよ・・・」

僕は熊岡隊長の背中に抱き着いた

「僕は晴臣さんだけを愛してます。だから機嫌直してください」

熊岡「だから・・・俺は・・・」

「無理しないでヤキモチを焼いてるなら甘えていいんですよ?」

熊岡「・・・」

熊岡隊長はなにも言わず向きを変え抱きしめて来た

熊岡「すまない・・・こんな嫉妬深い奴で・・・」

なんか今日は謝られてばっかだな・・・

「気にしてないですよ。それだけ愛されているって事ですから」

熊岡「ああ。愛してやまない・・・いや、こんな言葉じゃ足りない程だ」

「僕もですよ。奏汰とは幼馴染で親友なんです。だから抱きしめあったりしますが、それだけです」

熊岡「ああ。わかってる。わかってるんだ・・・でも・・・」

「熊獣人は独占欲が強いですからねw」

熊岡「・・・すまない」

「謝らないでくださいw僕はそれが嬉しいんです」

熊岡「・・・」

熊岡隊長はなにも言わず強く僕を抱きしめた
その力はすさまじかった

「少し・・・痛いんですが・・・」

熊岡「・・・キスさせろ」

「え?・・・ん・・・」

返事を待たずキスをされた

「ん・・・」

熊岡「もっとだ・・・もっと・・・」

舌が入って来て・・・すごく激しかった

「今日は・・・少し乱暴ですね?」

熊岡「ファーストキスが俺じゃないのが・・・ムカつく」

「え・・・」

聞こえてたんだ・・・

熊岡「まぁ・・・それはもう過ぎたことだからいいが・・・その・・・身体を重ねたのは俺が初めてなんだよな?」

「そうですよ。晴臣さんが初めてです」

熊岡「そうか!じゃあ許してやろう!」

そういい僕たちは身体を重ねた
ご機嫌な熊岡隊長はすごく優しい顔をしていた・・・
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

つまりは相思相愛

nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。 限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。 とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。 最初からR表現です、ご注意ください。

美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない

すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。 実の親子による禁断の関係です。

オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜

トマトふぁ之助
BL
 某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。  そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。  聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

令息だった男娼は、かつての使用人にその身を買われる

すいかちゃん
BL
裕福な家庭で育った近衛育也は、父親が失踪した為に男娼として働く事になる。人形のように男に抱かれる日々を送る育也。そんな時、かつて使用人だった二階堂秋臣が現れ、破格の金額で育也を買うと言いだす。 かつての使用人であり、初恋の人でもあった秋臣を拒絶する育也。立場を利用して、その身体を好きにする秋臣。 2人はすれ違った心のまま、ただ身体を重ねる。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

好きな人に迷惑をかけないために、店で初体験を終えた

和泉奏
BL
これで、きっと全部うまくいくはずなんだ。そうだろ?

処理中です...