恋は軍隊より強し!

ジャム

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悲報

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休暇最終日
僕は相も変わらず読書に勤しんでいた
時々豹入副隊長がお菓子を持ってきてくれる

狼坂「ただいま!」

「おかえり!」

お菓子を食べていた時、奏汰が帰ってきた

狼坂「あ~腹減った~」

「お菓子ならあるよ?」

狼坂「お!ラッキー!」

そういい奏汰はお菓子を頬張る

「おじさんたちは元気だった?」

狼坂「相変わらずだったよwうるさいし元気だしw」

「それは何よりだね!」

狼坂「弟は今年大学生だし、妹は高校だし・・・大変そうだったよw」

「仕送りもしてるんだもんね!偉いよね!」

狼坂「お前もしてるだろうw」

「まぁねw」

狼坂「あ!おばさんたちに会ったぞ?」

「な、なんて・・・?」

狼坂「変なことは言ってないぞ?『元気でやってます!』とだけ伝えた!」

「それはよかった・・・」

僕は・・・両親に軍に入ったことを伝えていない
軍附属病院に勤めていると伝えている
心配症の母親に・・・言えないよ・・・

コンコン!

豹入「お邪魔します!」

熊岡「差し入れだ」

熊岡隊長と豹入副隊長が部屋にやってきた
お菓子と共に

「あ!ありがとうございます!」

豹入「うん!あ!狼坂くんも帰ってきたんだね!」

狼坂「はい!ただいま戻りました!」

熊岡「ああ」

豹入「おかえり!」

三人が話をしている間、僕は読書をしていた

狼坂「陽翔は相変わらず読書か・・・」

「好きだからね」

豹入「どんなのを読んでるんだい?」

「これです!」

僕は読んでいる本を見せた

豹入「ほう。今話題の本だね!」

「はい!なかなか面白いですよ!主人公が手紙で好きな人に思いを伝えるとか古風だけどいいな~って」

狼坂「あ!そうだ!忘れてた!」

奏汰はそういうとカバンをまさぐり

狼坂「お前の両親から手紙だ!」

「え?手紙?」

このご時世に・・・
また古風なことを・・・
僕は手紙を受け取り読んだ

「・・・え・・・」

僕は手紙の内容に眩暈がした

熊岡「ど、どうしたんだよ。顔が真っ青だぞ?」

狼坂「どれどれ・・・」

奏汰が床に落ちた手紙を読む

狼坂「『拝啓陽翔様。お元気にお過ごしとのこと。お父さんも私も安心しました。病院勤務は激務と伺っています。こちらに帰って来れないのも仕方のないことだと思います。ですので、こちらから会いに行きたいと思っています。陽翔の働く姿をぜひ一目だけでも見せてください。〇月〇日に行きますのでよろしくお願いします』・・・マジかよ・・・」

「ど、どうしよう・・・」

熊岡「病院勤務?どういうことだ?」

「その・・・実は・・・」

僕は両親には病院勤務をしているってことにしていることを伝えた

豹入「なんでそんな嘘を・・・」

「そうしないと軍に入らせてもらえそうになかったので・・・」

熊岡「すぐバレそうな嘘を言うか?」

「・・・」

熊岡「まぁ自業自得だ。この際、真実を言うんだな」

「無理!無理無理無理!絶対無理です!!そんなこと言ったら連れ戻されます!」

熊岡「いいじゃないか。連れ戻されてホントに病院で勤めれば」

「嫌ですよ!まだ会ってないですし、それにあんな田舎の病院なんて絶対嫌です!」

豹入「そういえば二人は田舎の出身だっけ?」

狼坂「はい。そんなに田舎ってほどではないですが」

豹入「と、なると、もう『二度と!』会えなくなるかもな~」

熊岡「・・・」

豹入「そうなるのは寂しいな~?」

「嫌ですよ!」

熊岡「・・・わかった。俺も手を貸してやる」

「ほ、本当ですか!?」

熊岡「ああ。今回は仕方がない。なんとかしてみよう」

「ありがとうございます!!隊長様!!」

僕は手を合わせて熊岡隊長を崇めた

熊岡「崇めるな・・・。さて、どう手を打つか・・・」

豹入「要するに市原くんが軍じゃなく軍事病院に勤めているってことにすればいいんだろう?」

熊岡「そうだな」

豹入「じゃあ・・・」

豹入副隊長が色々と作戦を練ってくれた
そして夜

「あの作戦でうまくいきますように・・・」

僕は星空に祈りを捧げていた

狼坂「うまくいくだろう。きっと」

「『きっと』じゃ困る!『絶対』じゃないと!!」

狼坂「最初から正直に言っておけばいいのに・・・」

「軍事病院に勤めるって話した時だって説得するのに一年かかったんだよ!?軍人です!なんて言ったらどうなるか・・・」

狼坂「緊急家族会議・・・だろうな」

「い~や~だ~!!そんなの絶対に嫌だ~!あの親のことだもん。『今すぐ連れて帰る!』とか言い出して連れ戻される!!それだけは嫌だ!!」

僕は頭を抱えた

狼坂「すごい取り乱しようだな・・・。でも、確かにおばさんは少し心配症だからな・・・」

「少し!?あれのどこが少しなの!?買い物行くのにも着いて行くって言うし、一人で出かけたら一時間おきに電話してくるんだよ!?」

狼坂「そういえばそうだったな・・・」

「それに!電話に出ないとあらゆる手段を使って見つけられるし・・・もう・・・勘弁してほしいよ・・・やっと離れられたのに・・・」

狼坂「でも嫌いではないんだろう?」

「まぁそれはね。嫌いではないよ。家族だもん。でも・・・限度はあるよ」

ため息をつき空を見上げた
空では星が輝いている
僕の気も知らずに・・・

「どうか・・・どうか・・・バレませんように・・・」

念には念を・・・
念入りにお祈りをして僕はベッドに入った・・・
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