恋は軍隊より強し!

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熊岡隊長とのひと時

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あれから一週間
僕のケガもだいぶよくなり予定通り退院できた

「う~~~ん!!いい天気!」

大きく伸びをして空気を胸いっぱいに吸った

熊岡「退院したか」

その時、私服姿の熊岡隊長が声をかけてきた

「あ!隊長!」

なかなかかっこいい恰好だな・・・
熊岡隊長もこんなおしゃれな服を着るんだ・・・

熊岡「約束、忘れてないだろうな?」

「はい!もちろんです!」

熊岡「そうか。なら行くぞ」

そういい基地の入り口に向かう熊岡隊長

「あ!待ってください!」

熊岡「ん?なんだ?」

「僕、着替えたいんですが・・・」

熊岡「その恰好じゃダメなのか?」

「え、軍服なので・・・」

なんで僕だけ軍服な訳?

熊岡「・・・あ、そうか。じゃあまずはお前の部屋だな」

なんだろう・・・
一瞬、間があったけど・・・
まぁ・・・いいけど・・・
そして僕たちは僕の部屋に向かった

熊岡「俺はここで待ってるからな」

「わかりました。すぐに支度をしてきます」

僕は扉を閉め急いでタンスから服を取り出した

「本当に退院初日に行くのかよ!!服を選ぶ時間もないじゃん!!」

どれがいいか試行錯誤したが決められなかった

コンコン!

「は、は~い!」

熊岡「まだか?」

「も、もう少し待ってください!」

熊岡「具合でも悪いのか?」

「ち、違います!もう少しだけ待っててください!・・・どうしよう・・・」

どうしよう・・・何を着たらいいの!?
少し大人っぽさのある服を・・・てか、大人だし!
じゃあ、カジュアルな服装はどうかな・・・

「・・・うん!いい感じかな!」

僕は散らばった服をタンスに乱暴にしまい部屋を出た
廊下では壁に寄りかかり腕を組んでいる熊岡隊長がいた

「す、すみません!遅れました!!」

僕は勢いよく頭を下げた
きっと怒ってるだろうな・・・
かれこれ十分も待たせてるんだから・・・

熊岡「いや、そんなに待ってない。行くぞ」

そういうと歩き出す

「あ!はい!」

僕は熊岡隊長の後ろをついて行った
軍事基地を出て大通りに差し掛かった

「あ・・・」

熊岡「ん?どうした?」

「いえ!なんでもありません!」

熊岡「・・・そうか」

僕は前から気になっていたお店に目を向けていた
気になる・・・
気になるけど今は熊岡隊長とカフェに行くんだ
我慢だ・・・
明日にでも来よう

熊岡「・・・」

「・・・」

熊岡隊長の背中はとても大きく僕なんか子供に見えるだろうな・・・
それに・・・あの時・・・
助けられた時の背中にすごく・・・似ている・・・気がする・・・

熊岡「着いたぞ」

「おしゃれなカフェですね!」

目の前にはすごくおしゃれなカフェがあった
お客さんもそこまで多くなくゆっくりできそうだ

店員「いらっしゃいませ!二名様ですか?」

熊岡「はい。あ、禁煙で」

そして僕たちは席に着いた

店員「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください!」

メニューを渡すと店員さんは行ってしまった

熊岡「どれがいい?」

「えっと・・・ブド・・・ゴホン!アイスコーヒーで・・・」

ブドウジュースって言いそうになってしまった・・・
子供っぽいとか思われたくない・・・

熊岡「そうか」

熊岡隊長は店員さんを呼び

熊岡「アイスコーヒー一つとブドウジュースを一つお願いします」

「え!?」

店員「かしこまりました!一緒にセットはいかがですか?」

熊岡「セットですか?」

店員「はい!お子様限定でブドウジュースとセットでパンケーキをお付けできます!」

「え・・・僕・・・」

熊岡「フフフ・・・アハハハ!!こいつはこう見えて大人ですw」

店員「!?し、失礼いたしました!!」

そういい店員さんは急いで行ってしまった

熊岡「ハハハw」

「わ、笑いすぎです・・・」

熊岡「いやwすまないwまさか子供に見られるとはw」

「いつもの事なので慣れてます。それより、なんでブドウジュースを?」

熊岡「飲みたいんだろう?言いかけてたし?」

「・・・まぁ・・・」

子供っぽいよね・・・
店員さんが間違えるぐらいだし・・・

熊岡「好きなら遠慮する必要はないだろう。無理に大人っぽさを出す必要なんてない」

「・・・そう・・・ですね」

そして飲み物が来た

店員「先ほどは大変失礼いたしました・・・こちらサービスです。よかったらどうぞ」

そういい目の前にパンケーキが二皿置かれた

熊岡「お!よかったな!」

「はい!」

そして僕はバターを乗っけて食べた

「~~~~っ!!」

口の中に広がる甘さとコク・・・
たまらない!

熊岡「うまい!」

熊岡隊長ははちみつをたっぷり塗りたくったパンケーキを頬張り笑顔満開だ

「隊長も甘い物がお好きなんですか?」

熊岡「ん?甘い物・・・というかはちみつが好きなだけだ」

そういえば・・・軍の食堂で出るパンに塗ってるのをよく見る気がする

熊岡「お前は甘い物好きだろう?特にショートケーキ」

「え!?な、なんで知ってるんですか!?」

熊岡「さっきここに来る途中のケーキ屋の前で一瞬立ち止まっただろう?それで確信した」

「え!?それだけで!?」

熊岡「あの店はショートケーキが有名でうまいらしいからな」

そんな一瞬のことでバレるなんて・・・
まぁバレたからなに?って感じなんだけど

熊岡「まぁ、確かにショートケーキはおいしいよな」

「・・・ショートケーキには思い入れがあるんです」

熊岡「ほう?それはどんな?」

「話したことありますよね?僕を助けてくれた人の事」

熊岡「え?ああ。憧れとかなんとか・・・」

「その助けてもらった時、僕の誕生日でショートケーキを買いに行ったんです。その時、なんの抗争かは知りませんが巻き込まれてしまいまして・・・」

熊岡「警察と裏組織との抗争だな。あれはかなり激しい戦いだった・・・らしいからな」

「はい。その時、身を挺して守ってくれたのが恩人で憧れの人なんです。もし助けてもらわなければ・・・弾に当たって死んでたと思います」

熊岡「それとケーキが関係あるのか?」

「はい。抗争が終わった後、その人がくれたんです。『誕生日おめでとう』って。あんな酷い状態だったのに・・・。ぐちゃぐちゃになってたんですけどねw」

熊岡「・・・」

「それから僕は色々調べました。そしたら警察組織と軍は連帯関係であの時の人は軍の人だったって・・・。だから僕は軍人になりました。必ず会って『あの時はありがとうございました!あなたに憧れて軍人になりました!』って言いたいんです」

熊岡「・・・そんなぐちゃぐちゃなケーキもらって嬉しかったのか?」

「すごく嬉しかったですよ!見た目は最悪でした。でも、生まれた日、それも同時刻に命を救われたんですよ?お礼の一つも言えてないですし・・・」

熊岡「同時刻だったのか・・・」

「はい。なのにあまりの惨状に言葉が出なかったんです。だからお礼も言えてないですし・・・軍に入ればすぐ会えると思ったんですが、なかなか難しいですねw予想以上に大型獣人が多くて見つけられませんw」

熊岡「・・・」

「まぁ・・・向こうも覚えてるとは思ってないですがw」

熊岡「覚えてるよ・・・」

「え?」

熊岡隊長は小声で囁いた

熊岡「あの事件は大きかった。だから当時参加していた軍関係者は覚えているはずだ。だから、お前の憧れのやつもきっとお前を覚えているはずだ」

「そうだと・・・いいんですがw」

熊岡「まぁ何年も前のことだ。お前も成長してるから向こうが気が付くかはわからないがな」

「そうですね。だから僕が見つけるんです。絶対に・・・」

熊岡「・・・そうか」

「あ!隊長もなにか情報があったら教えてくださいね!」

熊岡「・・・それはどうかなw」

「お願いしますよ~w」

そしてお会計を熊岡隊長がしてくれてお店を出た

「ご馳走様でした!ご馳走してもらって・・・なんか申し訳ないです・・・」

熊岡「気にするな。誘ったのは俺だ」

外はまだ昼時
折角街に来てるのにこのまま帰るのはもったいない

「どこか寄りますか?」

熊岡「そうだな・・・お前の気になってるケーキ屋でも行くか?」

「え!?甘い物食べたばかりですよ!?」

熊岡「俺は食えるけど?」

「僕も食べれますけど・・・」

熊岡「じゃあ決まりだな!行くぞ!」

そういい先陣を切っていく
僕はその後ろをついていく
お店に着き

「うわ~~!」

目の前には一日20個限定のショートケーキがある
でも、残り2個だ

「すみません!この限定ショートケーキを2個ください!」

店員「かしこまりました!」

そして僕はショートケーキを手に入れた

「ラッキー♪」

熊岡「よかったな!残り二つあって!」

「はい!じゃあ食べましょう!」

テーブルに座り僕は熊岡隊長に1個渡した

熊岡「え?いいのか?」

「はい!」

熊岡「でも、これは限定なんだろう?折角2個手に入れたのに・・・」

「いいんですよwさっき・・・話を聞いてくれましたしw」

熊岡「聞いただけだけどな」

「いいんですよw否定しないで聞いてくれました。それが嬉しかったので。それに一人で食べるより二人で食べた方がおいしいと思いますしw」

熊岡「・・・そうか!じゃあ遠慮なく!」

熊岡隊長はケーキにかぶりついた
フォークあるのに・・・
ケーキが一口で半分もなくなっている

熊岡「うん!うまい!」

「フフフw」

頬にクリームをつけて笑顔の熊岡隊長

「頬にクリームついてますよ?w」

熊岡「ん?どこ?」

「ここですw」

僕は指で掬い舐めた

「・・・!?す、すみません!!」

僕は咄嗟のことでついやってしまった・・・
なんであんなことをしたのか・・・

熊岡「い、いや!構わない!と、取ってくれて助かった!」

熊岡隊長は顔を真っ赤にしていた
きっと僕もだ
恥ずかしいことだし・・・

熊岡「さ、さっさと食って帰ろう!疲れた!」

「はい!」

僕たちは急いで食べて軍に戻った・・・
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