出会ったのは喫茶店

ジャム

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本編

番外編・決着

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これは僕が二年生の冬休みに起こったこと

「・・・」

犬橋「あっがり~!」

熊下「くそ~!!」

僕たちはホールでトランプをしていた

犬橋「俺様に勝とうなんて100年早い!」

後輩「犬橋先輩・・・ずるしてないですか?」

後輩「いかさま!?」

犬橋「先輩になんてことを言うんだ!?」

「・・・」

後輩「糸色先輩?」

「ん?どうしたの?」

後輩「なんか・・・悩み事でも?」

「う~ん・・・まぁねw」

後輩「俺でよければ聞きますよ?」

「いや、大丈夫w」

後輩「ホントですか?」

「うん!ごめんね・・・心配かけて・・・」

そして僕は校長室に向かった
あることを言うために・・・

校長「どうしたんだい?」

「あの・・・僕、決着つけたいんです」

校長「決着?なんの?」

「親との・・・決着です」

校長「・・・」

「・・・」

校長「具体的に何をしたいんだい?内容によっては許可はできないよ?」

「ただ話して終わりにしたいんです」

校長「終わりにする?」

「はい。僕・・・お父さんが良ければ・・・養子縁組したいです」

校長「え!?」

お父さんは驚いていた

校長「ゴホンッ!それと親との話し合いが関係あるのかい?」

「・・・ない・・・です。ただの理由がほしいだけです」

校長「理由?」

「はい。なにか理由をつけて親と話して縁を切りたいんです」

校長「・・・話すだけかい?」

「はい」

校長「本当にそれだけ?」

「はい」

校長「・・・なら私も同席しよう」

「・・・」

校長「話し合いだけなら私が同席しても構わないよね?」

「・・・お願いします」

そういい頭を下げた
お父さんはすぐにどこかに電話をした
そして

校長「行こうか」

「はい」

僕はお父さんの運転する車で出かけた
三時間車に揺られて着いたのはすごくボロボロのアパートだった

「ここ・・・?」

校長「ああ。君がまだ親といたところは・・・その・・・追い出されたみたいでな・・・」

そうなんだ・・・
まぁ、そうだよね・・・
お金に汚いみたいだし・・・

校長「ここだよ」

扉の前に着きインターホンをおした

「・・・」

校長「・・・」

ガチャッ

中からお母さんが出てきた

母「・・・」

「久しぶりだね」

母「ええ・・・ひ、久しぶりね・・・」

そして中に入った
中はすごく汚かった
正直・・・入りたくない

父「来たか」

「うん」

父「座れ」

そういわれ席に座った

父「で、話ってなんだ」

「・・・お礼が言いたかった」

父・母「え!?」

僕は頭を下げた

「産んでくれて・・・一応、育ててくれてありがとう」

校長「・・・」

父「・・・なにが目的だ?」

「・・・」

父「人はなんの利益もなく行動はしない」

「お前たちと一緒にするな・・・」

父「・・・」

「僕はお前たちと違う。損得で動いてない」

父「じゃあ、なんでわざわざ会いに来たんだ?」

「縁を切るため」

父「・・・」

「僕の中にはお前たちの遺伝子が流れてる。でも、それを消すことはできない」

お父さんとお母さんは黙って聞いている

「いつかはその遺伝子が暴れるかもしれない。その時お前たちと縁があると抑えることができないかもしれない」

父「だから縁を切る・・・と?」

「うん。僕のこの先の人生にお前たちはいらない」

しばらくの沈黙が続く
その沈黙をお父さんが破った

父「おい。あれを持ってこい」

それを聞くとお母さんが別室からある物を持ってきた
そして僕に渡してきた

「・・・これは・・・?」

父「親としての・・・最後に・・・してやれることだ」

それは通帳と印鑑だった
中を確認すると凄い金額が入っていた

「なんで・・・これを?」

父「名義を見ろ」

名義人は僕になっていた

父「昔からコツコツ貯めてたんだ。そんなに貯められなかったがな」

「・・・」

父「俺はお前を傷つけた。それは虐待として訴えられても仕方ないと思ってる。だから、それは慰謝料だと思ってくれていい」

「・・・意味が分からない」

父「それでいいんだ。お前が知る必要はない」

「・・・」

父「用が済んだなら帰れ。お前はもう・・・他人だ。他人を家に入れる趣味はないんだ」

僕と校長先生は玄関に向かった

母「・・・」

「・・・元気で」

母「あなたも・・・ね」

「・・・一つ聞いていい?」

母「なに?」

「僕を産んだのは『失敗』って記憶にあるんだけど、それって事実?」

母「・・・」

「・・・」

母「お父さんに口止めされてるんだけど・・・」

「・・・」

母「本当はあなたが産まれた時、すごく喜んでいたの。もちろん私も・・・」

「・・・」

母「その時は順調だったのよ。生活も何もかもね」

「・・・」

母「あなたが産まれて一年ぐらいだったかな・・・仕事が出来なくなってしまったの」

「え・・・?」

母「あの人、足を悪くしてね。それで・・・仕事が出来なくなってしまったの」

校長「そんな話・・・聞いてない・・・」

母「『誰にも言うな』って言われてたから。きっと哀れな目で見られたくなかったのよ」

「だからって・・・」

母「わかってる・・・だからってあなたを傷つけていい事にはならない。あなたには関係のない事なのだから・・・でも・・・どうしても・・・手を出してしまった・・・ごめんなさい・・・」

「・・・」

母「その通帳に入ってるお金は全部あなたが好きに使いなさい」

「・・・」

そして扉を閉めた
僕たちは車に乗った

校長「ちょっと見せてもらえるかい?」

僕は通帳を渡した

校長「・・・なるほど・・・彼は・・・変わってしまってはいるが、変わってない部分もあったんだな・・・」

「???」

校長「ほら。ここを見てごらん?」

指さしたところをみた

「!?」

そこには一億が振り込まれた履歴があった

「これ・・・」

校長「日付的に私が君を引き取るのに支払ったお金・・・だろうね」

「なんで・・・」

校長「あいつは昔はしっかりした奴だったんだ。貯金もしてたし仕事も一生懸命でさ・・・学業はいつもトップで・・・私は・・・羨ましかったし誇らしかった・・・」

「・・・」

校長「そんなあいつが変貌したと聞いたときは信じられなかった・・・でも、君のことがあって納得した・・・変わってしまったんだと・・・実感した・・・」

「・・・」

校長「でも、違ったみたいだね。あいつは根本的なところは変わってない」

「そう・・・なんですか?」

校長「ああ。通帳を見る限りね」

僕は通帳を見た

「・・・?」

僕にはわからなかった

校長「これは私の仮説だが・・・そのお金は多分、借金したお金も含まれてるんじゃないかな?」

「え・・・」

校長「真実はわからない。あいつに聞いても答えないだろう。でも、こんなところに住んでるのに、毎月、振り込まれている。今まで・・・ずっと」

「・・・」

校長「あいつはあいつなりに君を愛していたのだろう・・・暴力をしていた事、苦しめていたこと、それを自分を追い詰めて償っているのだろう」

「うぅ・・・うっ・・・」

愛されていた・・・?
そんなはずはない・・・
僕を邪魔者扱いしてたくせに・・・

校長「きっと獅子丸くんに要求したのもこの通帳に入れるためかもしれないね。自分を悪者にして君の未来のために・・・」

僕は車の扉を開けて外に出ようとした
それを校長先生は止めた

校長「やめなさい」

「でも!」

校長「虐待の事実は変わらない。君を傷つけた事実も。なら、せめてそのままにしてあげよう」

「でも・・・」

校長「君が行ったところできっとあいつは言わない。あいつは一度決めたことは絶対に変えない」

「・・・」

校長「縁を切ると決めたのなら、それを貫きなさい。それが今の君にできる親孝行なんだと思うよ」

「・・・」

僕は悩んだ
虐待された恨みは消せない
でも、愛されていたのなら・・・なんで伝えてくれなかったのか・・・
なぜ、『レンタル』なんてさせようとしたのか・・・
それを知りたかった

「・・・」

校長「・・・どうする?このまま帰るかい?それとも話すかい?」

「・・・」

僕は扉を閉めた

「帰りましょう」

校長「いいのかい?もしかしたら彼らは引っ越してしまうかもしれないよ?」

「いいんです。なぞは多いですが、それを知ったところで許すことはできませんから」

校長「・・・そうか。では出すよ?」

そういい車を走らせた
僕はこの通帳を自分のために使うつもりはない
今後・・・もし・・いや、確実だろうけど、自分に子供が出来たら・・・その時にでも使おうと思う

「孫に使われたら嬉しいだろうしw」

校長「孫?」

「なんでもないですw」

そして僕は帰るべき場所に帰った・・・
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