空から来た少年

ジャム

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本編

小話・悠斗の行方を・・・

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警察「萩野さん・・・申し訳ありません・・・捜索を打ち切ることになりました・・・」

父「そ、そんな!!」

母「もっと探してください!」

警察「すみません・・・これは・・・決まったことです・・・」

父「なんで打ち切りなんですか!!まだ・・・」

警察「防犯カメラにも悠斗くんが駅の方面に向かって行く姿がありました。しかし、駅の防犯カメラには悠斗くんの姿は映っていません・・・行方不明の可能性が高い・・・というより、自ら居なくなった・・・家出の可能性があるんです」

母「そんなわけありません!悠斗は・・・うちの子は家出をするような子ではありません!!」

警察「お母さん・・・その気持ちはわかります。ですが、親の知らないところで悩みを抱えていたり、苦しんでいた可能性もあります」

父「そんな・・・そんなはずない!悠斗はいい子なんだ!俺たちの・・・自慢の息子なんだ!」

警察「・・・すごく言いにくいのですが・・・悠斗くんは・・・学校ではそんなになじめていなかったみたいなんです・・・」

父・母「え・・・?」

警察「教職員や生徒の方々とお話をしましたが、友達はあまり居なく、教室でも大人しい目立たない子だったと・・・」

母「そ、そんな・・・」

父「悠斗は・・・いつも楽しそうに登校していた・・・」

警察「それは親を心配させないようにという悠斗くんの配慮だったのではないでしょうか。そのストレスで・・・家出や非行に走るケースもあります・・・」

母「うぅ・・・」

父「・・・」

警察「・・・警察としても悠斗くんの捜索を打ち切るのは心苦しいです。ですが、事件に巻き込まれたという証拠がない限り警察としても・・・ここまでが限界です・・・本当に申し訳ありません・・・」

そういい警察は頭を下げ家を出て行った

母「うぅ・・・悠斗・・・」

父「・・・くっ!」

悠斗が行方不明になって数週間・・・
捜索はとうとう打ち切られてしまった
事件に巻き込まれたという確固たる証拠がない限り、ここまでが限界なのだ

母「うぅ・・・嘘よ・・・悠斗が家出なんて・・・」

そういい母親は悠斗の寝室に向かった
捜索の過程で悠斗の寝室も警察が入ったが特に家出に関することやいじめに関する物は出てこなかった

母「悠斗・・・」

父「・・・」

母親は嘆き悲しんでいる
枯れることのない涙をずっと流し続けている

母「お父さん・・・悠斗が・・・家出なんてするはずないわよね・・・?」

父「・・・」

母「お父さん・・・」

父「ああ・・・そうだ・・・悠斗はそんな子じゃない!!」

母「そうよね!!」

父「ああ!だから、俺たちだけでも探すんだ!」

そういい悠斗の写真を張り付けた行方不明ポスターをたくさん作り始めた

父「これを町中・・・いや、隣の県まで行って配るんだ!」

母「ええ!」

何十枚・・・いや、何千枚とポスターを作り母親と父親は家を出た
そして道行く人、一人一人に声をかけポスターを手渡した

父「息子を探しています!ご存じの方はどうかこちらにご連絡ください!」

母「お願いします!息子を探しています!」

警察「・・・」

先ほどまで家を訪ねていた警察官が二人の姿を見ていた・・・
そして夕方になり・・・

父「お願いします!!」

母「どうか・・・お願いします!!」

警察「萩野さん・・・」

父「あなたは・・・」

警察「・・・」

父親の目の前には私服姿の警察官がいた
警察官は無言でポスターの束を掴み

警察「ご協力お願いいたします!」

父「・・・なぜ・・・」

警察「警察としてはもうなにもできません。ですが、僕個人としてはできる限りお手伝いさせていただきます!」

父「!ありがとうございます!!」

警察「何枚かいただきますね。隣の駅にも配りに行ってきます!」

そういい警察官はポスターを持ち行ってしまった

父「・・・ありがとう・・・本当に・・・」

母「どうか・・・どうかお願いします・・・」

日が沈んでもポスターを配り続けた
わが子が無事に帰ってくることだけを願って・・・
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