空から来た少年

ジャム

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本編

失踪と居場所

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・・・白夜視点・・・
「どこだ・・・」

俺は走って周りを見て回った
だが、見つけることはできなかった

「・・・くそ!!」

俺の不注意だ
悠斗も傷ついて家に居ずらくなることぐらい考えるべきだった

「なんで・・・あの時・・・」

あの時・・・部屋に戻る時、なんで俺は悠斗も連れて行かなかった・・・
なんで放置しちまったんだ・・・
あの時・・・俺が手を引いてやっていれば・・・こうはならなかったはずだ・・・

「自分のことでいっぱいになって・・・運命の相手のことすら考えてやれないなんて・・・」

後悔ばかりが俺を襲う
もしこのまま二度と会えないなんてことになったら・・・

「・・・しっかりしろ!!弱気になるな!!」

今は弱気になっている場合じゃない!
今は悠斗を見つけることが最優先だ!!

「でも・・・どこを探せば・・・」

その時、俺のスマホがなった

「ん?母さん?」

俺は母さんからのメールを開いた
そこには2分前の映像の動画があった

「???・・・!!」

俺は不思議に思い動画を見た
その動画には悠斗が映っていた

「ここは・・・駅前のスクランブル交差点!!」

俺は全力で駅前スクランブル交差点に向かった

「はぁはぁはぁ・・・悠斗・・・」

この時間だと人はそんなにいない
悠斗を見つけることなんて簡単だ
この時間でも制服姿だし

「・・・くそ!」

でも、いなかった
俺はスマホの動画を確認した

「・・・この方向は・・・駅裏通りか?」

悠斗は駅裏通りの方に向かって行ったみたいだ
俺は駅裏通りに向かった

「悠斗!!」

俺は大きな声で名前を呼んだ
しかし

「・・・くっ・・・」

そこには誰もいない

「どこだよ・・・」

父「白夜!」

「父さん・・・」

その時父さんが来てくれた

父「メールをみたんだな?」

「ああ。でも・・・いないんだ!」

父「映像が今から六分前・・・もう移動している可能性がある」

「一体どこに・・・」

父「悠斗くんの行きそうな場所ってないよな・・・」

「・・・っ!一か所・・・ある」

父「!?本当か!?」

「ああ!この方角なら・・・きっと・・・」

俺と父さんはその一か所に向かって走った・・・


・・・悠斗視点・・・
「うわ~・・・真っ暗になっちゃったな・・・」

僕は真っ暗な中をある場所に向かって歩いていた
きっと行っても仕方ないと思う
でも、あのままあの家にいるわけにはいかないと思った
あのまま・・・居ちゃ・・・いけないって・・・

「・・・僕がいるから・・・いけないんだ・・・」

あのままじゃ、家庭を壊してしまう・・・
だから僕は家を出た

「・・・やっぱりか・・・」

僕は『僕の家』があるはずの場所に来た
草が膝あたりまで生えた土地しかなかった

「・・・帰りたいよ・・・」

僕は土地の前に座り込んだ
帰る方法もない・・・
行く場所もない・・・
だからと言ってあの家にはいられない・・・

「どうしたらいいのかな・・・」

僕はスマホを取り出した
でも・・・

「使えなく・・・なってる・・・」

いつの間にか電波を受け取れなくなっていた
今はただの電気の通った鉄の板だ

「・・・なんで・・・なんでこんな目に!!!!」

僕はスマホを地面に叩きつけた
そして・・・泣いた

「なんでこんな目に合わないといけないんだ!!なにか悪いことでもした?!ちゃんと起きなかったのがいけないの?!牛乳を飲まなかったのがいけないの?!・・・誰か・・・誰か教えてよ!!!」

声は夜の闇に消えていく

「うぅ・・・もう嫌だ・・・帰りたい・・・帰りたいよ・・・」

僕はうずくまった
寒さが僕を襲う
春だけど夜はまだ寒い

「うぅ・・・帰りたいよ・・・帰してよ・・・家に・・・帰してよ!!!」

僕は叫んだ
その時

「・・・っ!?」

いきなり温かい感覚が背中から重なってきた
そして僕を締め付ける

白夜「帰って来いよ・・・馬鹿」

「は、白夜!?」

白夜が僕を抱きしめていた

白夜「心配したぞ?さぁ帰ろう?」

「僕の帰る場所は・・・ここだ」

白夜「違うだろう?」

「違わない・・・僕の帰る場所はここなんだ!!ここにあるはずなんだ!!」

白夜「・・・」

白夜は僕の前に来て抱きしめてきた

「白夜・・・?」

白夜「違うよ。お前の帰る場所は・・・ここ。俺の胸の中なんだよ」

「え・・・?なにを・・・?」

白夜「前に聞いてきたよな?運命のことを?」

「え・・・うん」

白夜「その時、お前は俺にはいるか?って聞いてきたよな?」

「うん」

白夜「その時、俺はなんて答えたか覚えてるか?」

「確か・・・いるって言ってた・・・よね?」

白夜「ああ。その相手は誰だと思う?」

「え・・・知らないよ・・・そんなの」

白夜「そうか・・・」

「っ!?」

その時、いきなりキスをされた

「な、なななななに!?」

白夜「俺の運命の相手は・・・お前だ」

「え・・・?」

白夜「お前に初めて会ったとき感じたんだ」

「そ、そうなの?」

白夜「ああ。・・・きっと俺がいけないんだ」

「え?なにが?」

白夜「お前がこの世界に来たのも、帰れないのも・・・」

「何を言ってるの?そんなわけないよ」

白夜「・・・あの時、俺は神にお願いをしたんだ」

「神様に・・・お願い?」

白夜「ああ。運命の相手に会わせてほしいって。そしたら・・・お前が空から降ってきたんだ」

「そ、それは偶然だよ」

白夜「俺は偶然とは思ってない。そもそも運命の相手に会えるのは偶然じゃないんだ!必然なんだよ!」

「必然・・・」

白夜「ああ。だからあの時、悠斗が降ってきたのも必然なんだ・・・俺が・・・望んだからなんだよ・・・きっと・・・」

「そんな・・・そんなこと・・・あるはずが・・・」

ない・・・とは言えない
だって・・・異世界に来たのは事実だし・・・

白夜「だから、帰ってこい。俺の元に」

「で、でも・・・」

白夜「もし、俺の願いがお前をこっちの世界に引き込んだ原因なら俺は責任を取る」

「・・・」

白夜「俺がお前と一生を共にする。お前が帰れるまで・・・死ぬまで・・・」

そういい強く・・・強く抱きしめてくる

「・・・白夜・・・」

僕も自然と抱きしめた
なんでかはわからない
でも、抱きしめたかった
傍に・・・居たかった・・・

白夜「傍に居てほしい・・・お前が帰るその日まで・・・俺の傍に居てくれないか?」

「傍に・・・居ていいの?きっと迷惑をかけることになるよ?」

白夜「構うものか!お前が傍に居てくれるなら、そんなの安いもんだよ!w」

「うぅ・・・ありがとう・・・ありがとう・・・」

僕は白夜の胸の中で泣いた
白夜はただ・・・ずっと僕を抱きしめてくれていた

豹谷父「ゴホン!」

「っ!」

白夜「なんだよ・・・邪魔するなよ~」

豹谷父「え~申し訳ないんだが・・・ここは一応公共の場なんだよね?そんなところでイチャイチャしたら・・・警察として見過ごせないんだよ~。それに高校生がこんな夜遅くに外にいるのも感心しないし?」

白夜「はぁ・・・遠まわしに言ってるけど要するに『とっとと帰るぞ!バカども!』ってこと?w」

豹谷父「バカどもは余計だけどそうだなw」

白夜「だってよ?どうする?」

「・・・」

白夜「・・・」

豹谷父「・・・」

「僕・・・帰ってもいいんですか?」

豹谷父「当たり前だろう?wいつでも帰ってきていいんだよ!」

「!はい!」

そして僕は白夜と手を繋いで家に向かった

「ほ、本当に・・・その・・・」

白夜「ん?」

「その・・・運命を・・・感じたの?僕に」

白夜「ああ!間違いないよ!」

「そ、そうなんだ~・・・」

僕は恥ずかしくなり俯いた

白夜「・・・運命からは逃れられないからな?w」

「う、うん・・・」

白夜「むしろ、俺から逃げ切ろうなんて無理だなw」

「そ、そうみたいだねw」

白夜「ああwだから諦めろよ?w」

「うんw」

そして家に着き

瞳「お兄ちゃん!!!」

「うわっ!」

扉を開けると瞳ちゃんが飛びついてきた

瞳「うわ~~~ん!!!心配したんだよ!!」

「ご、ごめんね?」

瞳「もういなくならないでよ!!!嫌だよ!!」

「う、うん」

光「悠斗さん・・・」

玄関の陰から光くんが顔を出していた
目が真っ赤だから・・・きっと泣いていたんだろう・・・

光「あ、あの・・・その・・・」

「・・・ごめんね」

光「え?」

「僕がいることで迷惑をかけてるのはわかってる・・・」

光「そ、そんな・・・あれは・・・その・・・」

「でも」

僕は光くんの言葉を遮った

「僕、帰るところがなくて・・・異世界から来たのも・・・本当だし・・・だから・・・もう少しだけ・・・ここにいさせてもらえると助かります」

光「うぅ・・・居ていいんだよ・・・」

「え・・・?・・・!?」

今度は光くんが抱き着いてきた

光「すみません!!疑ったりして!!酷いことを言ってすみません!!」

「いいんだよ。気にしてないよ」

光「うぅ・・・ホントにごめんなさい!」

「もういいんだよ。ごめんね?迷惑かけて・・・」

光くんは首を左右に振る

豹谷母「さぁ!お腹空いたでしょう?ご飯食べよう?」

そして僕は家に上がりご飯を食べた
そして・・・

「・・・」

白夜「・・・」

一緒にお風呂に入った
いつものように
でも・・・いつもと違う・・・

白夜「・・・」

「・・・」

白夜「な、なんか緊張するな~・・・」

「そ、そうだね~・・・」

会話が続かない・・・

白夜「あ、上がろうか?」

「う、うん」

僕たちはお風呂から出て部屋に向かった
そして寝ることになった・・・

「・・・」

白夜「・・・」

でも、寝れない

白夜「・・・な、なぁ?」

「な、なに?」

白夜「お前が良ければだけど・・・」

「うん・・・」

白夜「い、一緒に・・・寝ないか?そ、添い寝・・・で」

「う、うん・・・いいよ」

白夜「そ、そうか!じゃあ・・・来いよ」

「うん・・・」

そして僕は白夜のベッドに入って添い寝をした

「温かい・・・」

白夜「ああ・・・そうだな・・・」

顔が・・・目の前に・・・

「・・・」

白夜「・・・」

かっこいい顔・・・
鼻、耳、目、髭、小さな牙・・・
すべてが・・・とてもかっこいい・・・

白夜「あ、あの・・・」

「ん?」

白夜「俺・・・一応猫科ではあるんだ」

「???うん」

白夜「だから・・・あの・・・夜目が効くっていうか・・・」

「うん」

白夜「真っ暗でも見えるんだよ」

「そうだろうね」

白夜「だから・・・お前が俺の顔をまじまじと見てるのも・・・見えてて・・・」

「・・・え?」

白夜「だから・・・全部見えてました。お前が俺の顔を隅々まで見てるのを」

「え・・・あ・・・そ、うなんだ・・・」

恥ずかしい・・・
そうだよね
猫科ではあるんだもんね・・・

白夜「悪いとかではないんだぞ?ただ・・・恥ずかしくて・・・」

「ご、ごめん・・・そうだよね・・・そうまじまじ見られると・・・恥ずかしいよね・・・」

そういい僕は反対側を向いた

白夜「・・・」

「・・・」

白夜「や、やっぱりこっち向いてくれないか?」

「え・・・?」

白夜「お前の顔・・・見たい」

「う、うん・・・」

僕は向きを変えた
白夜と目が合った
そして

「ん!?」

キスをされた
舌が口の中に入ってきた

「ん・・・あ・・・」

ざらざらな舌が僕の舌に絡みついてくる

白夜「悠斗の舌・・・ねっとりしてるんだな」

「白夜は・・・ざらざらしてる・・・」

白夜「嫌か?」

「い、嫌じゃないよ?むしろ・・・好き・・・かなw」

白夜「そうかw」

そしてまたキスをしてきた
何時間もずっとキスをしていつの間にか眠りについていた・・・

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