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86話 神聖魔法
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神聖魔法が一般文字に翻訳、改変されたのが星魔法?
元をただせば星魔法は神聖魔法にたどり着くということになる。
「けどね、魔法の使い方は真逆のものだった。人に対する友情のようなプラスの感情を使う神聖魔法とは違って、星魔法は人に対する憎しみのようなマイナスの感情を使っている」
星魔法が根強いカルト的人気をほこる理由はそこにあるのだろうか。
「僕とハルカはすぐに翻訳した神聖魔法の本を焼失させた。これがまた新しい魔法に変わってしまうのはいけないと思ったからだ」
星魔法の恐ろしさは体験済みだった。
性格や人格も狂わされて強力な魔法とともに自分の殻に閉じこもった人間を知っているからだ。
「属性魔法だって無属性魔法が改変されたものなわけだし、貴族文字は多分、強力な魔法から世界を守るための暗号みたいなものだったんだろう、という結論に達した。事実、上流貴族の無属性魔法は強力だが悪用する人間が圧倒的に少ない」
どおりで無属性魔法を使える人が少ないわけだ、無属性魔法の術は英語で書かれている。
強力な暗号とかしているためなのだろう。
「ハルカがどうして一年も二年もこの家を離れているのだろうか、それは間違って広がってしまう魔法を減らすためなんだ。遺跡などに残された魔法を保護するためにも」
今までは気ままな人だな、とか思っていたりもしたのだが、彼女自身も使命があったのだ。
きっとだから、ユナと距離をおいていたのかもしれない。
下で、扉が開く音がした。
僕とフルヤさんはとっさに身構えるが、その声を聞いて警戒を緩める。
「ただいまー、って言ってももう一年ぶりかな。ハルカです」
今聞いてみれば、その声も大変さや辛さを感じさせないための気遣いなのかもしれない。
ハルカさんがリビングに入ってくると何冊かの書物を持っていた。
「今回の遠征は魔導書よりも歴史書の方が多かったなー」
「お疲れ様、何か食べ物でも作ろうか?」
「そうだな、じゃあ、お願いするぞ」
ハルカさんはフルヤさんと話を交わすと、リビングのソファに腰掛けた。
「元気にしてる?シュ……ンだっけ」
「はい、それなりには」
「大丈夫そうだね、なんか垢抜けたって感じがするなー」
実際殻に包まれていた魔法は開放したわけだし表現はどうかと思うが間違ってはいない。
「今回はどこまで遠征に行ってきたんですか?」
「紅玉龍の遺跡かな、ミトラス神と関わりがあったりなかったりする」
またすごいところに行ってきたな……。
出来れば御一緒してみたかったが。
「あ、とりあえず一仕事終わったからしばらくの間ここに住まわせてもらうね」
「「え?」」
フルヤさんと僕の声が重なる。
ハルカさんはそれを楽しそうな目で見ていたのだった。
てか、部屋はどうなるの?
元をただせば星魔法は神聖魔法にたどり着くということになる。
「けどね、魔法の使い方は真逆のものだった。人に対する友情のようなプラスの感情を使う神聖魔法とは違って、星魔法は人に対する憎しみのようなマイナスの感情を使っている」
星魔法が根強いカルト的人気をほこる理由はそこにあるのだろうか。
「僕とハルカはすぐに翻訳した神聖魔法の本を焼失させた。これがまた新しい魔法に変わってしまうのはいけないと思ったからだ」
星魔法の恐ろしさは体験済みだった。
性格や人格も狂わされて強力な魔法とともに自分の殻に閉じこもった人間を知っているからだ。
「属性魔法だって無属性魔法が改変されたものなわけだし、貴族文字は多分、強力な魔法から世界を守るための暗号みたいなものだったんだろう、という結論に達した。事実、上流貴族の無属性魔法は強力だが悪用する人間が圧倒的に少ない」
どおりで無属性魔法を使える人が少ないわけだ、無属性魔法の術は英語で書かれている。
強力な暗号とかしているためなのだろう。
「ハルカがどうして一年も二年もこの家を離れているのだろうか、それは間違って広がってしまう魔法を減らすためなんだ。遺跡などに残された魔法を保護するためにも」
今までは気ままな人だな、とか思っていたりもしたのだが、彼女自身も使命があったのだ。
きっとだから、ユナと距離をおいていたのかもしれない。
下で、扉が開く音がした。
僕とフルヤさんはとっさに身構えるが、その声を聞いて警戒を緩める。
「ただいまー、って言ってももう一年ぶりかな。ハルカです」
今聞いてみれば、その声も大変さや辛さを感じさせないための気遣いなのかもしれない。
ハルカさんがリビングに入ってくると何冊かの書物を持っていた。
「今回の遠征は魔導書よりも歴史書の方が多かったなー」
「お疲れ様、何か食べ物でも作ろうか?」
「そうだな、じゃあ、お願いするぞ」
ハルカさんはフルヤさんと話を交わすと、リビングのソファに腰掛けた。
「元気にしてる?シュ……ンだっけ」
「はい、それなりには」
「大丈夫そうだね、なんか垢抜けたって感じがするなー」
実際殻に包まれていた魔法は開放したわけだし表現はどうかと思うが間違ってはいない。
「今回はどこまで遠征に行ってきたんですか?」
「紅玉龍の遺跡かな、ミトラス神と関わりがあったりなかったりする」
またすごいところに行ってきたな……。
出来れば御一緒してみたかったが。
「あ、とりあえず一仕事終わったからしばらくの間ここに住まわせてもらうね」
「「え?」」
フルヤさんと僕の声が重なる。
ハルカさんはそれを楽しそうな目で見ていたのだった。
てか、部屋はどうなるの?
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