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70話 国設ミトラス図書館
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「サレスティ、面倒事に巻き込んじゃってごめん」
「良いのさ、シュンの近くにいればシュンの行動も分かる。それでこそライバルだよ」
急遽明日から国設アトラト学園に転向することになってしまったサレスティだったが、僕の杞憂もなんのその、彼はむしろ喜んでいるようにも見える。
僕たちが向かっていたのは国設ミトラス図書館だった。
この国最大の規模を誇る国設ミトラス図書館は、新刊から歴史的文献まで数多くの書物が置いてある。
本来なら無属性魔法大全もこの場所に置くのが道理なのだろうけど、親の手に渡るのがなんとなく気に食わなくて現在は僕が所持しています。
大理石でできた入口は図書館というよりも美術館のほうがイメージしやすいかもしれない。
重い木のドアは魔法で誰かがいるのを察知すると自動で開く、いわば自動ドアである。
「こんにちは。本日はどういったご用件でしょうか?」
カウンターにいた女性が尋ねてくる。
図書館は太陽光による本の劣化がないようにすべて魔法光で照らされている。
また、とんでもなく広いので何も知らない人が入ったら最悪迷う。
「魔法系図書ってどこにありますか?」
「それでしたら、2階のカウンターに居る男性が案内すると思いますので、2階へあがってください」
ちなみに2階と言っても高さは普通の家の部屋の高さの二倍ほどの天井の高さがあり、当然階段は一階から三階へ上るのと同じくらいの高さになる。
サレスティと二人で2階へ上がると、そこには一階とほぼ変わらない本棚とカウンターがあった。
「こんにちは。下の者から話は聞いております。魔法系図書のコーナーですね」
男性は僕たちを見てそう言ったため、僕たちは頷く。
「それではこちらになります」
彼についていくと魔法系図書のコーナーが見えてきた。なぜそれが分かったのか。
それは魔導書類がとんでもなく分厚いからに他ならなかった。
「ごゆっくりどうぞ」
広辞苑とか六法全書くらいの分厚さがありそうだ、これが全部魔法関係というのは正直驚いてしまった。
しかも、魔法というのは属性魔法と無属性魔法だけではないらしい。
古来から人々が使ってきた属性魔法、昔に使われていて現在は一部を上流貴族が使用している無属性魔法。
今でも根強く信者がいるという星魔法、神官など一部の人しか使えない神聖魔法、動物や獣人が使える獣魔法、それらの他にもいくつか種類がある。
それぞれ魔導書コーナーにおいて区別されていて、しっかりと管理されていることが分かる。
「無属性魔法も記述があるのか……」
そう言って僕が手にとったのは「無属性魔法の成り立ちについて」という本であった。
__________無属性魔法とは、魔力を消費せずに時間をかけることによって使う魔法の一種である。
その最大の利点は魔力を消費しないというところなのだが、その魔法が使えるかどうかは魔力の最大値に依存する。
また、弱点として時間を消費することになるのだが、一般的に周りに流れている時間的魔力を溜め込むという方法が一般的であるため発動までに時間がかかる。
ただ、何らかの形で時間的魔力を一点に集めることが出来るのであれば発動時間は自ずと短くなるはずである。
時間的魔力を、一点に集める……?
じっくり考える必要がありそうなのでもう少し先まで読んでみる。
無属性魔法は昔の偉人たちが作ったとされており、特にアロウスト、ミトラス、アトラト、シューゲナー、トレンスの五神の無属性魔法は代々上流貴族にわたっているという。
第一位から第五位まで、先祖がすべて神なのか。
ますます、無属性魔法が何なのかが分からなくなる。
僕はこの本をそっと閉じた。
「良いのさ、シュンの近くにいればシュンの行動も分かる。それでこそライバルだよ」
急遽明日から国設アトラト学園に転向することになってしまったサレスティだったが、僕の杞憂もなんのその、彼はむしろ喜んでいるようにも見える。
僕たちが向かっていたのは国設ミトラス図書館だった。
この国最大の規模を誇る国設ミトラス図書館は、新刊から歴史的文献まで数多くの書物が置いてある。
本来なら無属性魔法大全もこの場所に置くのが道理なのだろうけど、親の手に渡るのがなんとなく気に食わなくて現在は僕が所持しています。
大理石でできた入口は図書館というよりも美術館のほうがイメージしやすいかもしれない。
重い木のドアは魔法で誰かがいるのを察知すると自動で開く、いわば自動ドアである。
「こんにちは。本日はどういったご用件でしょうか?」
カウンターにいた女性が尋ねてくる。
図書館は太陽光による本の劣化がないようにすべて魔法光で照らされている。
また、とんでもなく広いので何も知らない人が入ったら最悪迷う。
「魔法系図書ってどこにありますか?」
「それでしたら、2階のカウンターに居る男性が案内すると思いますので、2階へあがってください」
ちなみに2階と言っても高さは普通の家の部屋の高さの二倍ほどの天井の高さがあり、当然階段は一階から三階へ上るのと同じくらいの高さになる。
サレスティと二人で2階へ上がると、そこには一階とほぼ変わらない本棚とカウンターがあった。
「こんにちは。下の者から話は聞いております。魔法系図書のコーナーですね」
男性は僕たちを見てそう言ったため、僕たちは頷く。
「それではこちらになります」
彼についていくと魔法系図書のコーナーが見えてきた。なぜそれが分かったのか。
それは魔導書類がとんでもなく分厚いからに他ならなかった。
「ごゆっくりどうぞ」
広辞苑とか六法全書くらいの分厚さがありそうだ、これが全部魔法関係というのは正直驚いてしまった。
しかも、魔法というのは属性魔法と無属性魔法だけではないらしい。
古来から人々が使ってきた属性魔法、昔に使われていて現在は一部を上流貴族が使用している無属性魔法。
今でも根強く信者がいるという星魔法、神官など一部の人しか使えない神聖魔法、動物や獣人が使える獣魔法、それらの他にもいくつか種類がある。
それぞれ魔導書コーナーにおいて区別されていて、しっかりと管理されていることが分かる。
「無属性魔法も記述があるのか……」
そう言って僕が手にとったのは「無属性魔法の成り立ちについて」という本であった。
__________無属性魔法とは、魔力を消費せずに時間をかけることによって使う魔法の一種である。
その最大の利点は魔力を消費しないというところなのだが、その魔法が使えるかどうかは魔力の最大値に依存する。
また、弱点として時間を消費することになるのだが、一般的に周りに流れている時間的魔力を溜め込むという方法が一般的であるため発動までに時間がかかる。
ただ、何らかの形で時間的魔力を一点に集めることが出来るのであれば発動時間は自ずと短くなるはずである。
時間的魔力を、一点に集める……?
じっくり考える必要がありそうなのでもう少し先まで読んでみる。
無属性魔法は昔の偉人たちが作ったとされており、特にアロウスト、ミトラス、アトラト、シューゲナー、トレンスの五神の無属性魔法は代々上流貴族にわたっているという。
第一位から第五位まで、先祖がすべて神なのか。
ますます、無属性魔法が何なのかが分からなくなる。
僕はこの本をそっと閉じた。
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