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61話 異世界チート系?

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 無属性魔法を短時間で打てるチート?
 チートといえばチートなのだろうけど僕は別にチートを求めてはいない。

 ただ単に普通の生活を送りたかっただけ。この世界は日本と違って色々なことがファンタジーではあるが、魔法も生活を便利にするスキル位に捉えておきたかったが……。

「シュン、俺からも質問させてくれ。お前は」

__________お前は一体何者だ?

 前にトリオスは僕が急に魔法が使えなくなったこと、そして貴族文字を読めるようになった時に僕は何かが変わった、詳しく言えば「元々のシュンと誰かが見た目を同じくして入れ替わった」くらいにはあるだろう、っていうことまでは分かっていたはずだ。

 だが、その「誰か」がトリオスには分からない。
 トリオスは恐ろしいほどに魔力を持っている眼の前の「誰か」におびえているのかもしれない。
 確かに僕はシュンだ。でも、トリオスの弟じゃない。しかしトリオスはシュンの兄なのである。

 弟の皮を被った恐ろしい人間なのだろうか、いや、こんな歪な力を与えたのは世界の方だ。

として一つだけ教えておこう。俺は、どんな事があったとしても弟がやったことは受け止めてやれ、と思っている。表面だけを見ていれば悲しい結末しか生まないぞ」

 日本で十七年、こっちに来てから二年だから時間だけで言えば十九年生きている人間だ。
 未だに思い出すぞ、守れなかったもの。

「じゃあ、またな。Warp:toAワープ・A

 兄の顔が一瞬見えた。しかし、次の瞬間には見慣れた自室の光景になっていた。


 僕は一体何者なのだろうか?
 それはできるだけ考えたくのない事だった。

 分かっている。シュンを乗っ取った人間であることは。そして中の人間は異世界から来た一度は死ぬことを決意した人間であることも。
 不思議な力で「シュン」として生きてはいるが、実際は上流貴族でなくても良かった。
 特殊能力もなくてよかった。

 僕が死ぬ前に考えたことは、

「この世界が少しでも良くなりますように……」

 自分の手で世直ししろって?こんな能力ばっかり付与されて。それがこの世界が悪くなる原因なのに。
 僕がベッドに突っ伏すと跳ね返りのいいベッドが揺れる。
 もう、どうすればいいのだろうか。

「シュンくん、もう帰ってきてたんだね」

「ユナ……」

 ユナはベッドの方に歩いてくる。

「大丈夫?なんか調子が悪いみたいだけど……」

 ユナはそう問いかけながら僕の隣りに座った。ベッドが少し揺れる。

「もしもさ……」

 僕はユナの腕を掴み、ベッドへと倒してみる。

「僕が悪い人だったらユナはどうする?」
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