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55話 龍遣いは貴族になりました

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 僕が手にとった本。

 それは「紅玉龍は実在したのか!?真実を探る」といった本。歴史書物だろうか。
 そもそも「龍遣いと紅玉龍」は完全フィクションのはずなので実際いたのかという問題は考えてもあまり意味がない。

 ただ、フィクションはある程度の事実に基づいているものが多い。言い伝えや伝承などは長い間に渡って都合のいい部分だけを切り取られたり脚色されたりする。
 当然ながら時間が長ければ長いほどそれだけ事実と異なっていく。
 この歴史書物はそのフィクションを元にどれだけの事が過去に起こっていたのか、過去の世界はどのようなものだったのだろうかと言ったことを研究した書物であるわけだ。

 どうやら「龍遣いと紅玉龍」の原型である話が完成した時代からさらに二百年遡るととある農村地帯にて深紅に染まった龍が空を飛んでいたという記録がある。

 さらに、遠くの鉱山では紅玉龍の爪が大切に保管されていて、現在では博物館にて保管されているみたいだ。
 途中の章にはこの世界における龍遣いとは、という章もあり、思っていたとおり僕のご先祖様……つまりミドラス神に繋がっているのではないかという説が有力らしい。

 ミドラス神というのは召喚術を主に得意としていて、周りには大小関わらず様々な動物に懐かれるという鳥獣の使い手の神でもあるためこの話においては様々な動物の中に龍という種族も居たのではないか、という仮説を立てて考えられている。

 逆に物語と違うところとしてはミドラス神が明確に紅玉龍と関わりが無かったというところだ。

 文献も資料もなく、調べようにも証拠がない。

「大衆小説として人気を博している龍遣いと紅玉龍の本。詳しい部分は時代の流れによって削られていた部分も多いものの、それを補う想像力と代々受け継がれていることに真の美しさがあるのだろう。私は、より正確に物語が伝えられ、解明できなかった謎を解明して伝承がより美しい事実として受け継がれていく日を楽しみにしている」

 という、なんとも煮え切らない形で書物は幕を閉じてしまう。

 結局紋章のことについてはあまり触れられることもなかった。
 紅玉龍の石碑もそこまで古いものではないらしく、紋章もただ似ているだけではないのだろうか、とフルヤさんは言った。

 だが、僕はなぜか関わりがあるという根拠のない主張を捨てられなかった。「龍遣いと紅玉龍」の本を読み込んであまりにも無駄のないフィクションだと思ったからだろうか。それとも、元々受け継いでいた血がそう言っているのか。

 いずれにしても調査したいという思いが芽生えたのであった。
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