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52話 生徒会一新
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彼女から告げられた言葉はこうだった。
「あなたを、生徒会役員に立候補したいんです」
どうやら、前年の言語学科から出た役員は全員三年生だったらしくシュレイが新しく言語学科代表役員になったとしても枠がもう一つ空いてしまう。
そのため、おそらく生徒会と一番関わりが深いであろう僕に白羽の矢が立った、といったところか。
「もっと別の人のほうがいいと思いますよ?」
それは半分は面倒ごとから逃れようとする気持ちから来ており、もう半分は本気でそう思っていた。
そもそも、上流貴族の地位を捨てておいて生徒会役員になるなんてそれは僕のプライドが許すはずがない。
それに、もっとカリスマがあって生徒会に新しい風を吹かせてくれそうな人が言語学科にだって当然いる。ただ、その能力を自分でみいだせずにいるだけではないだろうか。
そういう人はすでにクラスにいる。
「シュレイ先輩はもう少し人選を吟味してみてもいいのではないでしょうか、当然協力しますよ」
うーん、とシュレイは首をかしげるが、少しして決意を決めてくれたようだった。
「仕方ない、シュンさん。その代わりやはりいい人がいなければ生徒会役員はシュンさんにやっていただきますよ」
おそらく役割をしっかりと果たせそうな人が数人いるのでその人物たちに声をかけてみることにしようか。
「あ、あと元生徒会長から伝言だそうです。修業コースイチマルイチで待ってる、と」
イチマルイチというのはおそらく一○一号室のことなので、そこでなにか話したいことがあるのだろう。
僕はシュレイ先輩にお礼だけ言うと、修業コースの校舎まで行った。
目的の教室はすぐに見つかった。
「やあ、シュン。久しぶり、になるかな」
「こちらこそお久しぶりです。えーと……」
生徒会長の名前は聞いたことがなかった。そんな僕を見かねてなのか彼はこういった。
「元生徒会長で構わないよ。嫌なら好きな名前で読んでくれ。生徒会長になる前は名前はみんな自由に作って呼んでくれていたから」
なぜ、とききたいがあまり個人的な話になるのも良くないと思い踏みとどまる。その代わり、僕の口からとっさに出たのはこの言葉だった。
「じゃあ、セイ……さんでも良いですか?」
「構わないよ。いい名前じゃないか」
生徒会長ことセイさん。少し違和感だが、どうやら彼は気に入ってくれているらしい。
「じゃあ、そろそろ本題に入ろうか。学園祭の前日、君は何があったか覚えているはずだ」
「妹さん、のことですか?」
セイさんは妹好きだったという情報がとっさに出てくる。
「そうだな。詳しく言えば魔法学科で私と同級生だった男の方だが」
初日から僕にぶつかってきたりと言語学科大っきらいな魔法学科の先輩か。
「彼は結局卒業式も来なかった。あの日から一度も学校には来ていなかったがギリギリ単位が足りてたらしい」
けど、確か学園祭の後にも試験があったはずだ。それはどうしたのだろうか?
「どうやら、同じことを考えているみたいだ。彼はなぜ、試験を受けていないのに卒業できたのだろうか?」
セイさんは質問を提示した。
「あなたを、生徒会役員に立候補したいんです」
どうやら、前年の言語学科から出た役員は全員三年生だったらしくシュレイが新しく言語学科代表役員になったとしても枠がもう一つ空いてしまう。
そのため、おそらく生徒会と一番関わりが深いであろう僕に白羽の矢が立った、といったところか。
「もっと別の人のほうがいいと思いますよ?」
それは半分は面倒ごとから逃れようとする気持ちから来ており、もう半分は本気でそう思っていた。
そもそも、上流貴族の地位を捨てておいて生徒会役員になるなんてそれは僕のプライドが許すはずがない。
それに、もっとカリスマがあって生徒会に新しい風を吹かせてくれそうな人が言語学科にだって当然いる。ただ、その能力を自分でみいだせずにいるだけではないだろうか。
そういう人はすでにクラスにいる。
「シュレイ先輩はもう少し人選を吟味してみてもいいのではないでしょうか、当然協力しますよ」
うーん、とシュレイは首をかしげるが、少しして決意を決めてくれたようだった。
「仕方ない、シュンさん。その代わりやはりいい人がいなければ生徒会役員はシュンさんにやっていただきますよ」
おそらく役割をしっかりと果たせそうな人が数人いるのでその人物たちに声をかけてみることにしようか。
「あ、あと元生徒会長から伝言だそうです。修業コースイチマルイチで待ってる、と」
イチマルイチというのはおそらく一○一号室のことなので、そこでなにか話したいことがあるのだろう。
僕はシュレイ先輩にお礼だけ言うと、修業コースの校舎まで行った。
目的の教室はすぐに見つかった。
「やあ、シュン。久しぶり、になるかな」
「こちらこそお久しぶりです。えーと……」
生徒会長の名前は聞いたことがなかった。そんな僕を見かねてなのか彼はこういった。
「元生徒会長で構わないよ。嫌なら好きな名前で読んでくれ。生徒会長になる前は名前はみんな自由に作って呼んでくれていたから」
なぜ、とききたいがあまり個人的な話になるのも良くないと思い踏みとどまる。その代わり、僕の口からとっさに出たのはこの言葉だった。
「じゃあ、セイ……さんでも良いですか?」
「構わないよ。いい名前じゃないか」
生徒会長ことセイさん。少し違和感だが、どうやら彼は気に入ってくれているらしい。
「じゃあ、そろそろ本題に入ろうか。学園祭の前日、君は何があったか覚えているはずだ」
「妹さん、のことですか?」
セイさんは妹好きだったという情報がとっさに出てくる。
「そうだな。詳しく言えば魔法学科で私と同級生だった男の方だが」
初日から僕にぶつかってきたりと言語学科大っきらいな魔法学科の先輩か。
「彼は結局卒業式も来なかった。あの日から一度も学校には来ていなかったがギリギリ単位が足りてたらしい」
けど、確か学園祭の後にも試験があったはずだ。それはどうしたのだろうか?
「どうやら、同じことを考えているみたいだ。彼はなぜ、試験を受けていないのに卒業できたのだろうか?」
セイさんは質問を提示した。
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