上 下
30 / 137

30話 学力レベル

しおりを挟む
 テスト明け数日後。僕は何気なく学年順位が載っている掲示板をみた。
 自分の名前が一番上にあるんですよね。点数も他より高いなぁ……。

「っていうか魔法学科の順位高くないか?他と比べて比率が多いんだな」

 誰に言ったわけでもなかったが、その独り言はどうやら聞かれていたらしい。

「魔法学科は貴族の出が多いものでね。その他の人に比べるとそもそもやっていた勉強量が違う」

 この声は聞き覚えがある……。もしもその人なら、なぜこんなところに?

「妹もこの学校の生徒なんだがどうやら君についで二位みたいだ。頑張っているようで何より」

 間違いない。生徒会会長だ。名前はまだしらない。
 妹が大好きというタレコミを頂いていましたがどうやらそのとおりのようです。真面目な感じを装っているが顔が隠しきれないくらい笑顔じゃないですかー。実際の妹がいたら一体どうなっちゃうんでしょうね。

「あ、お兄……」

「会長ー!探しましたよ、この書類会長の承認が必要なんで早めにお願いしますね」

 妹が来る瞬間を狙ったかのようなクレミアの突撃だった。クレミアの圧倒的な笑顔に会長も苦笑いを浮かべつつ……。
 少ししょんぼりとした生徒会会長の妹を未練がましく見ている生徒会長がなんというか不思議と違和感を感じなかった。

「あ、行っちゃった。クラスに戻ろう……」

 生徒会長の妹。リボンの色は水色だ。てっきり生徒会長と同じ魔法学科だと思っていたので意外だった。
 と、少し油断していたようだった。また後ろから肩に誰かがぶつかったようだった。

「んだよ、また言語学科のやつか。もっと気をつけろよ」

 後ろから来る人を警戒するとかなかなかレベルの高い要求をおっしゃりますね。っていうかまた魔法学科の人か。顔はもう完全一致でこの前と同じ人だったので、おそらく故意でやっているのだろう。
 しかも、今回は前回のように見逃してはくれなさそうだ。仕方ないので、やってやりますか。
 全力逃走。逃げたら追いかけられるのは承知の上だ。でも、逃げるのは純粋に僕の十八番なんですよ。よーく集中すれば近くにいる人なら魔力の位置みたいなのが分かる。これはあの本を開いたときから使えるようになっていた。
 つまり、後ろを見ずに背後を警戒できる。
 レベルの高い要求、せっかくなのでこたえてやりましょう。

「やっと諦めたか」

 人がまばらとなり、校舎も魔法学科からはだいぶ遠ざかった。やっと気づいたようだ。ここから全速力を出さないと始業までに魔法学科の校舎にたどり着かないと。
 結構全速力で逃げてきたのでだいぶ汗をかいた。だが、向こうはそこから全速力で魔法学科の校舎に向かわなければならない。
 結局、汗をかいた僕を見てクラスメイト達は変なやつを見るようにこちらを見てくる。

 朝から内容が濃い一日であるが、本日もテストが控えております。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。

▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ...... どうしようΣ( ̄□ ̄;) とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!! R指定は念のためです。 マイペースに更新していきます。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...