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12.菊は天皇家で尊重されてきた花だから敬意を払うべき。

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豪雁撫黎ごうがんぶれい榛勃佐ばるぼっさ記念館一階メインホール外。
一行は地下に続く階段ないしはエレベーターに向かう。

「地下行きのエレベーターは独立してて、普通のエレベーターじゃ行けない。だから二階より上で遊ぼうとする客に紛れるのもできないね。」
「びぇぇぇえええええ~~~ん!!!ここにもあこにもそこにもどこにも有名人がいるのにぃぃぃ~~~サインの一つも許されないなんてぇぇぇ~~~ブラック過ぎますよぉぉぉ~~~ドイヒ~~~社長ぉぉぉおおお~~~。」
「ドイヒイもドイツウもヒトラアもおおおんねえええのおおお。俺ちゃんらあお仕事でえきてんのお忘れんなあああさあああ。つべこべかべどべ言いいう前にいいい、さっさあと地下にいいい行っちゃんせえええ。」
「びぇぇぇええええええ~~~~~~!!!!」

泣きじゃくるヒナ。

「そんなに泣かないでよ。それにここも、そんなにいい場所じゃないかもよ?」
「ぐすっ、ぐすっ、へぇぇぇえええ?どういうことですかぁ?」
「ちょっと耳澄ませてごらんよ。」

ちょっと離れた通路の陰で。

「いや♡ちょっと♡おじさまたち♡こんなとこでぇ♡」
「君が私らを誘ってきたんだろぉぉぉおおおん???」
「そうだぁ、そぉんな破廉恥なお尻をぷりぷりさせちゃってさぁぁぁ???」
「もう我慢できないよぉ?おじさんの榴弾砲が君の卵子を貫かんとして堪らんのよぉぉぉおおおお!!!」
「口説き文句世界ワーストですね。まぁいいや。おひねり、いぃっぱぁいくれればぁ♡」
「もちろんだとも。さぁさ、こっちへ…」

そうして女の子とおじさまらは通路の奥へ消えていった。心なしか嬌声が聞こえなくもない。

「会場のどこそこでも、おじさんが女の子連れ立って消えてる。休憩室、いっぱいあるんだね。」

すんすん
サカが鼻を鳴らす。

「そんれえにいいい、どっこもおおおかしっこもおおお甘ったあるうううい匂いいいがあプウンプウンしてらあああ。ヤクキメまくってやがんなあああこいっつうはあっはあああ。」
「薬までやってるんですかぁ?!やりたい放題ですねぇ。いいなぁ金持ちはぁ。何しても許されるんだからぁ。」
「生誕祭なんて名目で、有名人が女の子囲ってグレーな乱痴気騒ぎするのが実態みたいだね。で、女の子は十分過ぎる金とコネを貰うと。醜悪だよ。」
「ヤッリてえええやつにゃーあああヤラせておっけえええい。俺ちゃあんらあにはかんけえーねえーぞおーおおってえなあ。」

酒池肉林の気配を他所に、地下を目指す。
メインホールステージ裏すぐの階段。地下にも上階にも行ける大きな大きな階段だが、地下へ続く方には警備員が立ち並んで隙間を塞ぎ、一歩も階段を下れないようにしている。

「ここが一番ベタなルートだけど、流石にか。端っこのエレベーターに行こう。」
「くっしょおがあああよおおお。」

あるエレベーター。
当然のごとく警備員が立っている。

「ここもか。あっちも見に行こう。」
「まだ歩くんですかぁ?これ歩きにくくてぇ、足痛いですよぉ。」
「いいからいいから。」

またあるエレベーター。
それと警備員。

「いるか。じゃああっち。」

またまたあるエレベーター。
警備員。

「じゃああっち。」

またまたまたエレベーター。
警備。

「あっち。」

またまたまたまたま…

二十分後。

「うーん、全部のルート見たけど、監視無いとこないね。せめて地下までは穏便に行かなきゃなんだけど。」
「ぶっち飛ばしてえええやりてえがあああ、今さあわぎいにしちゃあーああまじいいいんだあよおなあああ。」
「えぇ?じゃあもう、どーするんです?」
「暴力使わずに、どこかの警備を突破するしかないね。」
「えっと、そんな神業できるんですか?」
「知らない。二人で何とかしてよ。」
「そんなぁ?社長ぉ、どうします?」
「まあああ、そおおおゆうううことおだろおおおなあああ。」

ガッ
ヒナの首根っこを押さえる。

「やっぱあ会社の危機いにはあああ、まっずうはあ社いいいんがあああ、身体あっちゅうーううもんをお、張ってえええもらわあにゃあーああああっかあああんなあああ。」
「え?ちょ、いたっ、痛い、痛いですが…?」

ずるずるずる
そのまま最寄りの地下エレベーターに向かう。
エレベーターの前には三人の警備員が。

「いいいいっけえええナアーヒイー。あいつらあをおみいーいいんなあああおん股あの下あに敷いちょおくうれえええい。」
「やっぱヒナさんにハニトラ頑張ってもらうしかないかぁ。ファイト。」
「なぁぁぁあああああんでぇぇぇえええええけっきょぉぉぉくぅぅぅううううううそぉぉぉぉぉおおおおおなぁぁぁぁぁああああるぅぅぅうううううううのぉぉぉぉぉおおおおおおあああああ????!!!!無理ですってぇぇぇえええええ!!!社長なら瞬殺できるでしょぉぉぉぉおおおおおお???!!!ササァッとやっちゃってくだっさぁいよぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!」
「どおあーかあーるあーああ。こっこおじゃあ人目えにつきすぎいんのお。騒がれちゃあーああアアアウトオーオオなのおおお。分かあってえんだろおおお?」
「でもぉ!でんもぉぉぉおおおおお!!!そうは、言ってもぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」
「いいからいいからですいいいいからあ、いっけええええい。」

げっしぃぃぃいいい
サカに蹴り出される。

「うっぎゃぁぁぁあああ???!!!」

ぼん、ぼんぼん

「げっ、げげぇっ!!!」

跳ねながら警備員の目の前まで行く。

「あん?何だぁお前?」
「仕事してる俺らを笑いにでも来たんかぁ?」
「そんなに威嚇するんじゃありませんよ。お嬢さん、どうしました?迷いましたかね?ここは広いですから。」
「え、えぇっ、そのぉ…?」

しどろもどろきょろきょろ
サカ達の姿を探す。
いた。近くの柱の陰に。

ググッ!
サカが両の親指を立ててくる。

「何ですかぁぁぁぁああああああそぉぉぉんのぉぉぉおおおおおグッッッサインはぁぁぁぁあああああああ????!!!!!んなぁぁぁあああにも良っくぅないでっすよぉぉぉおおおおおおおおおお????!!!!」
「何だよ。用が無いならさっさとどっかに行きやがれ。おん?」
「それとも何か?俺らに用があんのか?」
「いやまさかそんな…で、どうなんです?お嬢さん。」
「へぇっ、いや、その…」

全く気が乗らないが、これ以上うじうじしてサカを怒らせるのも嫌になる。

「…お兄さん達、カッコいいです、よ、ね?わ、私と、遊び、ません、かぁ?」

意を決した逆ナン。よくやった。うら若き乙女の成長には感涙を禁じ得ないかもしれない。
だが。

シーン
警備員三人は固まったまま動かない。

「…?どうしたん、です、か………ぁぁぁぁああああああああああああ???!!!」

目線を下に下げると、三人の股間にぶら下がる砲塔は、とてつもなく大きく熱く硬く長く膨張していた。

ミシッミシミシミシ

あまりの膨らみ具合にズボンのベルトも千切れかかっている。
異性の性欲の昂りを目にしてしまい、狼狽するヒナ。

「な、何これ…?」

ブッッッシュゥゥゥウウウウウアアアアアアア
三人が一斉に鼻から息を吹き出す。目も血走り過ぎて白目が赤く染まっている。

「なぁ、こいつ俺らを誘ってるらしいぞ、兄者ら。」
「全くこんなに有名人がいる中、なんで俺らなんだか。なぁ兄者?」
「そこはアレですよ、働く私達の姿に惚れ惚れしたのでしょう。ですよね?お嬢さん。」

実は三兄弟だった警備員。一番上の子警備員が優しく微笑みかけてくるが、怒竿天を衝かんばかりのソレが気になって仕方が無い。

「え、あ、えぇ…?そ、そういう、こと、かなぁ…?」
「やっぱそうだとよぉ!同意が取れたぞぉ!これでドチャクソ交尾しても問題無いよなぁ?!」
「まぁ職務中にヤるのはマズイがな。」
「しかし私達の股間の収まりがつきません。これでは職務に支障をきたします。むしろここで性欲を解消するのは正常の判断と言えるでしょう。」
「よっしゃ!そうと決まれば、だよなぁ?!」

ひょいっ
両腕と自慢の竿の三点でヒナを抱え上げる末っ子。

「ちょっとちょっと何するんですかぁぁぁぁああああああああ????!!!!あとあとあと、腰の辺りに何か変な感触がぁぁぁぁああああああああああああああ?????!!!!!」
「そいつはぁ俺の自慢のテストステロンチャージャーよぉ!落っこちるのが不安ならしっかり握ってな!すぐに上の口と下の口がくっつくくらい、ぶっち犯してやるがなぁ!!!」
「おいおいはしゃぐなって!お前の後いっつも汚くなるんだから!丁寧に使えよ!兄を労われ!」
「まぁまぁ、使える穴は三つあるんですから落ち着いて。仲良く順番こしましょう。私はお尻からで構いませんから。」
「きぃぃぃぃいいいいいいいいいんもぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおいいいいい!!!!!そぉぉぉおおおおおんなぁぁぁぁああああああああのぉぉぉおおおおおおおどっっっこぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおにぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいもぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお入っっっっっりぃぃぃぃいいいいいいいいいいいまぁぁぁぁああああああああああああああすぅぅぅぅううううううううううううぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええんかぁぁぁぁあああああああああああらぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!!!!!貫かれるぅぅぅぅううううううううううううう!!!!!!この世で最も不名誉な死を遂げちゃうぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううう!!!!!!!社長ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおああああああ!!!!!!」

ひょこ
サカが柱の陰から顔を出す。

「むあああーったくう、世話も心も焼けるやっちゃあああだあぜえええあ。」

てってってっ
獲物を捕らえて浮足立つ三匹の狼に近づく。

ちょいちょい
末っ子につんつんする。

「あああん???あんだぁおめぇえええ???今ビッチドールの配達中だぁ!邪魔すんじゃねぇ!」
「いやいやこちらも可愛らしいお嬢さんじゃないですか。ハッスルする前にこの方の疑問も取り除いて差し上げましょう。いかがされました?」
「社長ぉ…?」

涙目で縋るヒナ。
皆んなの視線を集めるゴスロリ少女もどき。

すぅっ
サカは深く息を吸ってから、

「ね~ぇおにぃさんたちぃ?そぉ~んな芋臭ぁ~い女よりもぉ、アタシともぉっとイイコトスゴイコト、し・な・い?」

ブリブリブリブリリリィッブチッブビビビィ

「………???」

ヒナは脳の処理が追いついてない。一体目の前の女は誰?社長はどこ行った?と。
しかし三匹の獣は性欲をエネルギーにしてなんとか脳を稼働させ返答する。

「な、なんだと…?イイコト、だと…?」
「それにスゴイコト、だと…?一体どんな…?」
「うむ…?」

ビキビキビキビキィ
股間が一回り大きくなる。
この辺りでようやくヒナも理解を始めた。さっきのはサカだ。サカが、喋った。猫撫で声で。ブリブリブリィッ子の真似なんかして。あんな声出せるんだ。いつもと違って、こう、春を売る女みたいな声…

ぞわぞわぞわっ
背筋に嫌なものが走る。あまりにもな異常事態に全身の毛が逆立つ。

「社長がぁ…?どうしてぇ…?私のため…?いやでもぉ…?」

三匹はコソコソ話を始めた。

「どうだ?この女?どう思う?」
「いや悪くない。背も高いし声もちょっと変だし、遊んでる感満載だが、むしろその背景含めてそそるところがある、うん。それにあっちの方が可愛いぞ。」
「それは確かにそうですね。」
「あのぉ…聞こえてるんですけどぉ…」

無視。

「じゃ、じゃあじゃあ、これで、5P…?!うっひょぉぉぉおおおお???!!!テンション上がってきたぁぁぁああああ!!!!初めてだよ俺ぇぇぇええええ!!!!いっつも一人を三人で囲んでふんじばって順番こ、しかなかったのによぉ、ここに来て逆ナン二回もされるたぁよぉぉぉおおおお???!!!下積み警備員八年、ようやくオイシイ思いできる人生になったかぁぁぁああああああ????!!!!」
「もうここまできたらよぉ、もう一人捕まえて1on1できるようにしてぇよなぁ???!!!そこらの適当な女捕まえっかぁぁぁああああ???!!!ヒャッハァァァアアアアアアアアア!!!!!」
「待ちなさい、待ちなさい!冷静になりなさいお前達!常識的に考えて、こんな美味い話があるか?一人ならともかく二人も…!しかもなかなかの上玉…!何か裏があると、そう思わんか…?!」
「何だよ兄者ぁ、せっかくのチャンスをふいにしろってかぁ?」
「でもまぁ、確かに、何かはあるかもしれんな。」
「だろう?一旦その胸、いや旨を聞いてみよう。」

くるっ
上の子がサカに向き直る。

「あの、お嬢さん?」
「はぁい?」
「その、私達に声を掛けてくれるのは嬉しいのですが、どうしてですか?他にイケメンや金持ちは溢れるほどいると思うのですが…」
「私の時はそんなこと言わなかったのにぃぃぃ???」

無視。

「あぁ、そんなことぉ。それはねぇ、おにぃさんとヤリたかったからぁに決まってるでしょぉ?ね♡」

ぞわぞわぞわぞわわわわぁっ
言い表せないが、ヒナは嫌なものを全身が撫でるような感覚に襲われる。

「んなぁぁぁあああーーーんでぇそぉぉぉおおんなきっしょぉいこと言えるんですかぁ???!!!てかそれができるならぁ、やっぱり私にやらせる意味ありましたぁぁぁああああ???!!!」
「やっぱこの二人知り合いか。なおさらちょうどいいぜ。一緒くたにしてパンパンヒイヒイ言わせて、やんよやんよやんよぉぉぉぉおおおおおお?????」
「ま、待て!待て!だからなんで私達なんだって?!」

静止を促す上の子からも余裕が無くなっていく。

「だからぁ、お金持ちのおじさまとかぁ、イケメンとかぁ、もう飽きちゃってぇ。それよりぃ、一生懸命働いているおにぃさんの方がぁ、なんかカワイーかなぁ?って思ってぇ。ガタイもいいしぃ、体力ありそーだしぃ♡」

ビシビシビシィ
三匹は股間だけでなく全身に熱き血潮が駆け巡る。どうもこの声を聞いているとイライラしてくる。

「兄者…?もういいだろ…?俺限界だよぉ…はち切れちゃうよぉ…さっさと休憩室にぶち込んでぶち込もうぜぇぇぇ…?」
「そうだぁ…俺らをイラつかせやがってぇ…どうなるか分かってんだろぉなぁ…?」
「えぇ、でもぉ、この辺の休憩室いっぱいだったからぁ、どこか他の所、行きたいなぁ~♡」
「ほ、他…?」
「そうそう、例えばぁ…」

くいっ
エレベーターを指差す。

「アレでどこか違うとこ?行かない?」
「アレ、だとぉ…?」
「いや、アレはダメだ…地下に行くやつだ…資材の搬入とかの、一般人が入れない場所…だから…」
「入れないのぉ?じゃあ今行ったらぁ、私達だけ、だぁね♡」

ブッッッッシュゥゥゥウウウウウウウウウウウウアアアアア
三匹はさらに鼻息を荒くする。興奮しすぎて鼻息に血が混じって赤く見える。

「ちょ?!ちょっとぉぉぉぉおおおお???!!!かかって、かかってますぅぅぅううう!!!!あぁぁぁああああああ???!!!ドレスが赤に染まっていくぅぅうううううううう?????!!!!!」

無視。

「誰もいないならいいよねぇ?何してもバレないしぃ、どれだけ声、出しちゃってもいいんでしょぉ?」
「まぁ…そうだが…しかし…」

がしっ
ひたっ

「???!!!」

サカが上の子に身を寄せ、左手で右手首を掴んで動きを封じ、右手の指の腹一つずつを腰の辺りに押し付ける。

「ね、あんまり待たせちゃいやぁよ♡そんなにお仕事、大事なの?」

つ、つぅー
ゆっくりと右手を身体に沿わせて上げていく。腰から脇腹、胸筋、乳頭の傍をなぞる。

「い、あっ、あう…」
「今日はお祭りなんだから、ちょっとくらいイイ思いしたっていいじゃんねぇ。お仕事はもうお終ぁい。この後はいっぱいいっぱい、気持ち良くなろ?ね♡」

鎖骨、首筋、頬骨、耳の裏まで。

耳たぶをさすさすする。

「ねぇ、ほらぁ、だぁれもいなぁい地面の底で、ドロッドロのぐっちゃぐちゃになっちゃお?」
「あ…あ…」

きひっ
最後に口を耳に触れるくらい近づけて、

「アタシ、もう濡れちゃった♡」

ふぅー
息を吹きかけてやった。

シーン
固まって動かない上の子。

「あ、兄者…?」
「どうした…?羨ましいことされておいて…?」

ガク
ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク
上の子の全身が震え出し、

ぐらぁっ
バッタァァァン
仰向けに倒れた。砲塔が強調される。なぜかその先端は湿っていて、なぜか辺りに海鮮の匂いが立ち込める。周囲の客がざわつく。

「なんかここ、臭くない?」
「あぁ、イカの匂いというか…」
「むしろイカ越えて雄大な海を感じるレベルで臭い。」

プチ騒ぎになってしまった。

「あ、兄者…」
二匹が心配そうに声を掛ける。

ぐぐぐりぃぃぃん
上の子が起き上がって振り返る。その目には血涙。

「行ぐぞ。」

ドスの利いた声。何かを喪った悲しみのせいだろうか。

「い、行くって、どこに…」
「ちぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいくぅぅぅぅぅうぅうううううううううああああああああああああああああああああにぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい決ぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいむぅぅぅぅうううううううううああああああああああああああっっっっっっとぅぅぅううううううううううううええええええええええええええええええええええええええんんえんえんえんえええええんどぅぅぅぅぅぅううううううううううううあああああああああああああああああああああるぅぅぅぅううううううううううううううううううううううううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぐぅぅぅぅううううううううううううううううううあああああああああああああああああ?ああああああああ?ああああ?ああああああああああああ!!!!!!!!!」

かつての上の子はいない。そこにいるのは、哀れ自分を見失った畜生以下の存在。

「地下、地下って、いいのかよ?だって…」
「どぅぅぅうううううううううううううううううううううううううううううあああああああああああああっっっっっっっっとぅぅぅぅううううううううううううえええええええええええええええええええええんむぅぅぅうううううううううううううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっくぅぅぅううううううううううううっっっっっっっすぅぅぅうううううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんおんむぅぅぅううううううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお、おおおおおおおおおあああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっっっっっrrrrrrrrrrrrrrrrrるるるぅぅぅぅううううううううううううううううううううううっっっくぅぅぅぅううううううううううううううううううううあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああいあいあいあいあいあいあいあああああああああああああああいああああああああああああああああ!!!!!!!!!こぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおんんんぬぅぅぅううううううううううおおおおおおおおおおおおおおっっっクゥゥゥゥウウウウウウウウウウッッッッッッッッッスゥゥゥウウウウウウウウウウウウウオオオオオオオオオおおおおおおおおおおおおおおおおんんんぬぅぅぅううううううううううううううううあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!ぶぅぅぅぅうううううううううううううううううっっっっっっっっっっってぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいぶぅぅぅぅうううううううううっっっっっっっっちぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいにぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっっっ、ぶぅぅぅぅうううううううううううううっっっっっっっっちぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいおおお、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっっっっくぅぅぅううううううううううううううあああああああああああああああああああああああしぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいとぅぅぅぅううううううううううううううううううううええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!ああああああ、ああああああああああああ!!!!!やぁぁぁあああああ、やぁぁぁあああああ、んんんゆぅぅぅううううああああああああっっっっっっっっっっっるぅぅぅううううううううううううううああああああああああああああああああああああああんんんんっっっっっくぅぅぅぅうううううううううううううわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああいあいあいあいあいあいあいああああああああああああああああああああああああああああああいあいあいあいああああああああああああがああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

吠えた、思いの丈を詰めて。

「ぶち犯すですってぇ、あぁ~ん、怖いぃ♡」
「兄者…?」

ポン
中の子が末っ子の肩に手を置き、ふるふると首を振る。

「兄者の言う通りにしよう。俺らだって我慢の限界のはずだ。三人の今後のために、今できることをやろうや。」
「兄者…ぐぅっ…あぁ、そうしよう!ほら、いつまで俺の腕に乗ってるんだ!立て!歩け!」

ドッスン
そう言えばと乱暴に下ろされるヒナ。

「痛いってばぁぁぁああああ!!!!もっとお姫様お姫様してくださいよぉぉぉぉおおおおお!!!!私だって女なんですからぁぁぁあああああ!!!!」
「勿論お前だって女だし、それなりの扱いはするが、なぁ?上位互換が現れちゃあ、なぁ?」
「そうそう、女に限らずサラリーマンでも公務員でも世の中のこと何でも一緒。上位が来たら乗り換える、スマホと同じさ。でも大丈夫、あんたも擦り切れるまで使ってあげるから、な?ん?」
「ひっっっとつも嬉しくなぁぁぁあああああああああああああい!!!!!あぁぁぁああああああああ~~~~~~~~~ん!!!!!」

中の子がエレベーターのボタンを押し、

チン
ガァーッ
扉が開く。

「さぁ入れ!そこの女も!兄者も!早く!」
「はいはぁい。」
「ウガァ…」

全員入ってから、中の子がポッケからカードキーを取り出し、行く先ボタンの横でスキャンさせる。

「行く先ボタンを押してください。」

音声案内が流れる。

「どうする?地下一階?二階?」
「二階の方がいいだろ。一階より人気が無い。」

ピッ
地下二階のボタンを押す。

シャァーッ
ウィィィィン
扉が閉まり、エレベーターが静かに動き出す。

ぷぅぅぅううううん

「うげぇぇぇ、くっさぁぁぁいいいいい!!!」

分かってはいたけれど、密閉空間だとより上の子の発射後の匂いがキツイ。二匹も堪らず鼻をつまんでいる。

「~♪」

サカは余裕そう。息を止めているのだろう。

チン
ガァーッ
記念館地下二階、到着。
ヒナが飛び出る。

「うっぷ、はぁっ、はぁぁぁぁあああ~~~~~、空気が、美味しいぃぃぃいいいい!!!!山頂の空気の美味しさを疑似的に味わえましたよぉぉぉおおおお!!!!!」
「それについては同意する、はぁ。」
「ほら兄者も、ゆっくりな。」
「アゥ…」

全員エレベーターから降りる。
地下二階、人気の無い搬入口とあって、ただのだだっ広い空間でしかない。コンクリートが剝き出しで、柱が等間隔で立っているだけ。明かりもそこそこで薄暗い。遠くの案内板に、

『⇦管理室』『資材等搬入口⇨』

と書いてあるのが目立つくらい何も無い。

「人気どころか、何も、無いですねぇ…」
「だろぉ?だから、何しても誰も見に来ないし来てくれないんだよぉぉぉおおおおおお???」
「…そおおおーかあい、何してもアリなんはあ、いいいーいかんもなあああ。」
「そうだろうそうだろうそうだぁ、るぅぅぅうううううううおおおおおおおおおおおお?????!!!!!」

ブゥゥゥゥッッッッシュゥゥゥウウウウウウウウウウウオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアッッッッッ
三匹の鼻息が最高潮に。続けて、

ブチィ、ブチブチブチブチブチブチブッッッチィィィイイイインチィィィイイイイン
三匹のゴリマッチョポーズと共に衣服がはじけ飛んで全裸になる。

「ひぇぇぇぇええええ???!!!」

ササッ
サカの後ろに身を隠すヒナ。

「まあああーったくう、男性ホルモオンがああああ出過ぎだぜえええい。」
「凄いだろぅ?!凄まじいだろぅ、雄の匂いがぁぁぁぁああ!!!!あんたら雌猫ちゃんはそんな雄三匹をビンッビィンッッッにさせたんだぁ、責任はぁ、取ってもらわんと、なぁぁぁあああああああ???!!!」
「グッヒィィィイイイイイイ!!!!犯ス!!!!孕マス!!!!平和ナ家族!!!!立派なオ父サンンンッッッ!!!!!」

じりっ、じりじりぃ
生まれたままの姿で詰めよってくる三匹。実に醜い。

「そんな家族嫌ですよぉぉぉおおおお!!!!私は梶裕貴とかと結婚してぇ、次世代を担うハイパーサラブレッド声優を育むんですからぁぁぁあああああ!!!!あんた達とかなんかまぐわいませぇぇぇええええん!!!!べぇぇぇーーーだぁぁぁあああ!!!!」
「今更何を言うかぁぁぁぁああああああああ!!!!!だぁぁぁぁああああああああっっっったらぁぁぁぁあああああああああああああ子宮に聞いてみんとなぁぁぁぁあああああああああ!!!!!こんの迸る雄の優性遺伝子を弾けるかどうかを、なぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!」
「ウォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアア!!!!!!」

バババッ
とうとう辛抱堪らず飛び掛かってくる。

きひっ

「そおんなあそおおおんなあのおおおダメダメよおおお。性欲うに従うっちゃあああ悪いことんじゃあああんねえええがあああんなあああ、そおんなあにかんたあああんにいおっぴろげえーしっちゃあああああっかんべえええよおおお。潜めてえ潜めてえ滲ませるくらあいに留めておっくんがあああブウエストオオオなあああのおおおさあああ。」

ググッ
グググググッ
スタンディングスタートの構え。右足、さらに親指の先に力を溜める。

「能ある鷹ってやっちゃあああ、爪だけじゃあああなっくううう、テインポウもおおおなあああにもかもおおお隠すうんよおおお。覚えとけえええい。」

シャアッッッキィィイイイイイイン
力を込めた右足を解放。足刀一回転。その刀は、三匹の特に出っ張った部分、要するに砲塔を、およそ中間地点で断ち切った、三本。

ドタドタドタァッ
その衝撃で地に伏す三匹。

「へぇっ?」
「がぁっ?」
「グゥ………???!!!アアアアアアアッッッッッ????!!!!グギィィィイイイイイイイイッッッッッ、ギィィィイイイイイイイイイエエエエエエエエエエエエエエアアアアアアア!!!!!!!!!」
「なあああああああああああああああああああああ??????!!!!!!」
「痛い、痛いぃぃぃぃいいいいいいいいいい!!!!!!おおおおおおおおれおれおれオレオレ俺、俺のぉ、ビッグマグナムがぁぁぁぁあああああああああああああああ????!!!!」

三匹は股間を押え、自慢の砲塔と泣き別れになってしまった現実を受け止めきれずにいる。

きひゃひゃひゃっ

「ダアアアメエなあああのよおおおーおう。ナニイの大きさだけんじゃあああ女は馬鹿しか釣れにゃああーああぜえええい。テクニイークウとお、おひんせえええがあ、備わってえねえええんとおおお、イイーイイイおんにゃあーああはあああゲットオできてんとおおおいといといよおっとお。」

「クソッ、クッソォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
「「うっがあああああああああ!!!!」」

切られた直後というのに、果敢に襲い掛かってくる。

「安しいんせええーええい。たままではあああとらにえええーぜえええい。だけんどお、なあ?」

ビッ
瞬間、サカの姿が消えた。

ビビッ
ドガァァァアアッ 「スゥッ?!」

ドガァァァアアアッ 「ペェッ?!」

ドォガァァァアアアアアンッ 「ルゥッ?!」

三匹の顔面に蹴りを一発ずつ。

ビュビュビュゥゥゥウウウウウウン

「「「マァァァァアアアアアアアアア???!!!」」」

反対側の壁まで吹っ飛び、

ドォォォオオオガァァァアアアアアッシャァァァアアアアン

「「「ブゲェッ????!!!!ッフゥ…」」」

顔面から壁に突き刺さった。
ちょうど三人並んで、壁尻の体勢に。

「そおーおおだそおだあああ、こおっちいの棒もお返すぜえええい。どれが誰のかあ分っかあああんねえええがあああ、いいーいだろおおお。」

ズリ、ズリィィィ
靴の裏で切り落とした砲塔を集め、

ぐっ、ひょぉぉおおおい
足でこいて空中に跳ね上げる。

グググググッ
再びスタンディングスタートの構え。

「刹那的いいいハアアアッッットオオオオトリックウウウウウウウじゃあああああああああああああああああいい!!!!」

バッカァァァアアアアアアアン
キィィィイイイイイイイイイイン
蹴り出された砲塔は、まるで三本の矢のごとく真っ直ぐに飛んで行く。

キイイイイイイイイイイ
そのまま、壁に埋まった三つの尻へ、

ドッズゥゥゥウウン 「ひぃっぎぃぃぃいいい???!!!」

バッズゥゥゥウウン 「ふぅぅぅぁぁぁあああん???!!!」

ドシャァッズゥゥゥウウン 「ウォォォオオオオオアアア???!!!」

ジャストミィィィイイイイイイイイイイイイイイイトォォォォオオオオオオオオオ!!!!
三つの砲塔は順不同で三つの菊門を突破した。

ぶらん、ぶらぁん、ぶらぁぁぁん
入りきらなかった一部が垂れさがる。キモいことこの上ない。

「あ、あぁぁぁ…」

ピクピクピクッ
声を漏らすたび刺さった砲塔が揺れ動く。
そして、一番左の端の下の子は思う。

「あぁ、これは、兄者の味…そう、あの時の…」

**********

(え、回想入るの?マジで?)
(あ、ソートさん居たんですか。ずっと空気でしたよね。)
(なんか出辛くて。でももっかい引っ込むよ。)
(賢明ですねぇ。私もそうします。)

俺らはまだ小学生で、恐怖というものを知らなかった。毎日毎日三人で、野を駆り山を駆り遊び回った。夕暮れになっても家に帰らなくて、母ちゃんに皆んなで怒られるのがいつものことだった。
そして夏のある日、俺らは川辺に遊びに行った。冷たい水が気持ち良くて、俺は服を脱いで川に飛び込んだ。
日差しで熱された全身に染み渡る清く澄んだ水。この上ない心地良さを胸に、俺ははしゃぎにはしゃいだ。自然と川の中央までどんどん入っていく。

「おい、危ないぞ。」
「大丈夫大丈夫!足、ついてるから!」

兄者の心配もなんのその。ここはそんなに深くない。兄者らも入ればいいのに。そう思った矢先、

つるっ
ばっしゃぁん

「?!」

川底の苔で足を滑らせたのか、足が浮いて顔が水面に叩きつけられる。

(いけない、すぐ足をつけないと!)

そう思うが、

つるつるっ

「?!?!」

足がつかない、弾かれる。両足が浮き、支えるものが無くなった全身が水中に晒される。もがくもがくが足はつかない。むしろ川の中に引きずり込まれていく。

(や、やばいかも、助けて、兄者ぁ!)

声を上げて助けを呼ぼうとするが、

「がぼぼぼぉっ、ごぼぁぁぁっ?!」

開けた口から水が入り込んでくる。声も出せず息もできない。

(あ、マズイ…死んじゃう…?お母、さん…ごめん…)

走馬灯がよぎりかけた、その時。

「「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおあああああ!!!!!!」」

ばしゃばしゃばしゃばっしゃぁぁぁあああああ
二人の兄者が勢い良く川に入ってきた。

「助けてやるぅぅぅぅううううううう!!!!!絶対、助けてやるからなぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!」
「兄者ぁ!そこで俺の身体持っててくれぇ!!!引っ張りあげてやるぅぅぅうううううう!!!!!!」
「おっしゃぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」

がしがしがしぃっ
三兄弟、連結。大きな株を引っ張るがごとくスタイルで弟を引き上げる。
自分の身体を掴む兄者の手が温かい。背丈も自分とほとんど変わらないはずなのに、随分と大きく見えた。

(兄者ら…ありがとう…)

「ふんしょ、ふんしょぉぉぉおおおおおおお!!!!もうちょっとだぁぁぁああああ!!!!このまま砂利んとこまで、上げるぞぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!」
「ファァァァァアアアアアアアアアアアアアイイトォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
「いぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいっっっっっぷぅぅぅうううううううううううあああああああああああああああああああっっっっっっつぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううううあああああああああああああ!!!!!!」

そして。

ざしゃっ、ざっしゃぁぁぁぁああああ
ようやく弟を引っ張り上げた。

はぁ、はぁ
ぜぃ、ぜぃ
三人寝転んで天を仰ぐ。

(助かった、ありがとう…)

そう言おうとして、

「がはっ!ごはぁっ!」

水が喉に詰まった感じがして、言葉にならなかった。

「?!大丈夫かぁぁぁぁあああ???!!!息が、出来ないのかぁぁぁああああ????!!!!」
(いや息は出来てる、ちょっと水飲み過ぎちゃっただけ…)
「げほごほがっはぁ!」

否定の声も出ない。それに身体が小刻みに震えて力が入らない。

「いかんいかんいかぁぁぁああああん!!!!!何だ、心臓マッサージかぁぁぁああああ???!!!いやいやいやいや違う違う違うそうじゃぁぁぁあああなぁぁぁぁああああいい!!!!!!ここはぁぁぁぁあああああ!!!!!」

ががっ
上の子が末っ子の顔を掴んで自分の顔に近づける。

「人っっっこぉぉぉおおおおおおおおおおおおこぉぉぉおおおおおおおっっっっっきゅぅぅぅぅうううううううううううううううだぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!!!!!!」

ぶぅぅぅぅうううううううううっっっっちゅぅぅぅうううううううううううううううううう

「???!!!」
「んふぅー!んむぅぅぅぅうううううーーー!!!」

兄弟間の熱い口づけ。戸惑う末っ子を他所に、上の子は真剣そのもの。

レロ、レロレロレロレロ
勢い余って舌まで入ってきちゃった。

「うぷっ?!うううぅぅぅううううむぅぅううううう♡」
「むんむんむんむんむんんんんんん♡」

レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロ
しばらくその動きに応じて快楽を味わっていたが、いい加減に嫌悪感というものが湧いてきた。

がばぁっ

「もう、いいぃぃいいい!!!もういいよ兄者ぁ!!!」
「す、すまんすまん、夢中になってしまったな。だが、お前が元気そうで良かった。」
「うんうん、元気なら良かった。」

(全く、助けてもらったのに台無しだよ。俺ら皆んな、何してるんだか。)

自分のせいでこうなったのに、なんだか笑えてきた。

「ふふっ。」
「ははっ。」
「あはははははははぁぁぁっ!!!」

わっはっはっはっはっはっはっはっ
あっはっはっはっはっはっはっはっ

びしょ濡れになりながら川辺で朗らかに笑う三兄弟。彼ら、特に末っ子は、兄弟の頼もしさを再確認し、それと舌に残る兄弟の絆の触感を脳に刻み込み、忘れることは無かった。

**********

ピクッ 「あの時の味だ、懐かしい…」

ピクピクッ 「そうだ、そんなこともあったなぁ。全くお前はそそっかしいんだから。」

ピクリンコ 「グルァ。」

三匹が話すたびに壁尻が動いて刺さった砲塔も揺れ動く。砲塔が喋ってるみたいで気色悪い。

ピクピクッ 「なんで俺らはいつもこうなんだろうなぁ。いつもどこかで失敗する。」

ピクッ 「今回は兄者のせいだろ。あんなすけに騙されたんだから。」

ピクリキピクリキ 「グゥ…」

上の子の砲塔がしょぼーんと垂れる。

ピクピクッ 「兄者だけのせいじゃない、俺らだってあの女に釘付けだったし、同じことさ。三人皆んなの責任だ。」

ピクッ 「そうだ、俺らは三人で一つ!成功も失敗も三等分だ!」

ピクリンポロン 「グァッ!グォォォアアア!」

グググッ
三匹が調子を取り戻し、砲塔が上を向いていく。

ピクピクッ 「よぉーし!じゃあ今晩は、あそこのファミレスに行くか!お前、好きだったろ?」

ピクッ 「何年前の話だよ!まぁ、今でも好きだけど!」

ピクピクッ 「じゃあ決まりだ!兄者に餌もやらんといかんしな!いやぁ退勤が楽しみだ!」

ピクッ 「全くだなぁ!」

ピクピクピクピックリィン 「グアアア!ゴォォォオオオオアアア!!!」

わっはっはっはっはっはっはっはっ
あっはっはっはっはっはっはっはっ

三匹、いや三人、かつての童心を取り戻し、仲良く笑い声を上げ、地下の何も無い空間に歯切れよく響いた。

スタスタスタスタスタスタ
ところでその三人をすっかり放置し、搬入されたはずの美術品を探す一行。

「やあああっとおおお終わったあああかああああ。気持っちいわりいいい兄弟愛あいああああああいげえっきいじょおおおーおおがあああ。自分らあの姿あをよおーくう見やがれえええ。家畜く以下あのお下衆肥え着火あああフアイアアアだあああぜえええい。親があああ見たらあああお涙あポロリポロポロオしっちゃあああうぜえええあ。」
「ホントォ~にぃ、キッモかったですからぁぁぁぁああああ!!!!私なんて腰にアレ当てられたしぃぃぃいいいい!!!!それに血ぃもぉぉぉかけられたんですよぉぉぉおおおおおおお???!!!せっかくのドレスが台無しですぅぅぅぅううううううううううう!!!!あぁぁぁぁ~~~~~~んん!!!!!」
「それよか僕は、サカがあんなこと出来たのがびっくりだよ…思わず固まっちゃって、出る気にもなれなかったよ…」
「ブアアアッカアアアでえええい。やる時はあやらあにゃあああいっつうううやるうんだあああおおお?できいることをおできいるだけえしてえええベストオーを尽くすう、そおおおんもおんもでっきにゃあああいい、生あん半可あんなああ俺ちゃあんじゃなあいのおおお。」
「むしろ楽しんでましたよねぇ、ノリノリでぇぇぇぇ!!!私のことなんてほっといてからにぃぃぃいいいい!!!!」
「いやそれにしてもだけど…まぁ、いっか。これ以上は何も言わないよ。結果的に騒ぎにならず、地下まで来れたしね。じゃあ早速美術品、探そうか。」
「ふいいいーいいいい。やあああっとおこおおおんなあのお脱うっげえるぜえええ。きゅうーくつうでえ仕方あこんかたあなかったあああにゃあーああ。」
「私の着替えもありますかぁ?!これで歩きたくないですよぉ!」
「うーん、清掃の服なら入れてた気がするけど…」
「我あ慢しやあさあああんせえええ。なあああんもしてぬわあいんだあかあらあよおおお。」
「そんなぁぁぁぁあああああ!!!!もうちょっと着飾らせてくださいよぉぉぉおおおおお!!!!二十の乙女なんですからぁぁぁああああああ!!!!」

思ったよりも長くなったので、もっかい次回に続く。
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