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17日目⑦
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微妙という表情から、唖然という表情に変わったデリックに向かって『ったく、誰のせいでこんな三文芝居を演じるはめになったと思ってるんだ』と心の中で悪態を付く。
けれど、私が口にしたのは別の言葉だった。
「デリックさんも、そんなにお兄様を困らせてはいけませんわ」
淑女らしい柔らかい笑みを浮かべる私に、デリックは何故が見てはいけないものを見てしまったかのような気まずい顔をした。…………やばい。心の声が表情に出てしまったか。でも、後には引けない。私は更に笑みを深くして、デリックに一歩近づいた。
「ふふっ、安心してください。わたくし、兄様を取ったりしませんわ」
そこでデリックの表情が動いた。言葉にするならば、『図星を指された』が正解。
はぁーん、なるほどね。当てずっぽうで言ってみたけれど、どうやらビンゴ。この弟さんは、ただのブラコンだったのだ。なら、この場を丸く収める言葉はこれしかない。
「だって、私はあなたの兄様ではなく、ただのレオナードと婚約したんですから。ね?」
すかさず腕を絡ませたて、レオナードに同意を求めれば、彼は返事の代わりに、それはそれは甘ったるい笑みを私に返してきた。
いやだから…………そこまでやらなくて良いのに。っていうか、そんな演技ができるなら、最初から弟と喧嘩などしなければいいのに。これは後で要反省会だな。
ということはもちろん口には出さずに、私は二人を交互に見つめながら軽く手を叩いた。
「さっ、兄弟喧嘩はお終いにしましょう。わたくし、輪の中に入れなくてちょっと寂しかったわ」
ちょっと拗ねた口調に上目遣いまでサービスすれば、二人は同時にすまなかったと口をそろえていった。まさかのシンクロに、またもや私の笑いのツボを刺激する。でも、今回はちょっとぐらいは笑ってもいいだろう。
と、勝手に結論を出した私は淑女の範囲からギリギリはみ出さない程度に声を上げて笑った後、サンルームの方向を手のひらで示した。
「仲直りのお茶を飲みましょう。レオナード、今日もわたくしにケーキを取り分けてくださいね。…………ふふっ、楽しみだわ。あなたに取り分けていただくと、美味しいケーキがより一層美味しくなるのよ」
「ああ、もちろん今日も君の為にケーキを取り分けよう。では、行こうか」
「うふふ、今日のシェフティエさんは、どんなスウィーツを用意してくれたのかしら?楽しみね」
歩き出しながら、再び茶番を始めた私達だったけれど、デリックはその場から一歩も動こうとはしない。まぁ、惚気たカップルの間になんか入りたくなどないだろう。でも、それもこれもデリック、全てお前の身から出た錆なのだ。
「デリック、早く来て。あなたが来てくれなくっちゃ、お茶会が始まらないわ」
一人だけ傍観者で居られるなど思うなよ。そんな眼力でデリックを見つめれば、彼はやっとこちらに向かって歩き始めた。
さて、その後は、平穏無事にお茶会が始まり、これといったトラブルもなく無事に幕を下ろすことができた。
そうそう余談だけれど、レオナードが席を立った隙を見計らって、デリックは私に、こっそり謝罪をしてくれた。ついでに『君のような人が、兄の婚約者で良かった』という言葉も頂戴した。
うん。正直言って、後半の言葉には、ちょこっとだけ私は、罪悪感を感じてしまった。
けれど、私が口にしたのは別の言葉だった。
「デリックさんも、そんなにお兄様を困らせてはいけませんわ」
淑女らしい柔らかい笑みを浮かべる私に、デリックは何故が見てはいけないものを見てしまったかのような気まずい顔をした。…………やばい。心の声が表情に出てしまったか。でも、後には引けない。私は更に笑みを深くして、デリックに一歩近づいた。
「ふふっ、安心してください。わたくし、兄様を取ったりしませんわ」
そこでデリックの表情が動いた。言葉にするならば、『図星を指された』が正解。
はぁーん、なるほどね。当てずっぽうで言ってみたけれど、どうやらビンゴ。この弟さんは、ただのブラコンだったのだ。なら、この場を丸く収める言葉はこれしかない。
「だって、私はあなたの兄様ではなく、ただのレオナードと婚約したんですから。ね?」
すかさず腕を絡ませたて、レオナードに同意を求めれば、彼は返事の代わりに、それはそれは甘ったるい笑みを私に返してきた。
いやだから…………そこまでやらなくて良いのに。っていうか、そんな演技ができるなら、最初から弟と喧嘩などしなければいいのに。これは後で要反省会だな。
ということはもちろん口には出さずに、私は二人を交互に見つめながら軽く手を叩いた。
「さっ、兄弟喧嘩はお終いにしましょう。わたくし、輪の中に入れなくてちょっと寂しかったわ」
ちょっと拗ねた口調に上目遣いまでサービスすれば、二人は同時にすまなかったと口をそろえていった。まさかのシンクロに、またもや私の笑いのツボを刺激する。でも、今回はちょっとぐらいは笑ってもいいだろう。
と、勝手に結論を出した私は淑女の範囲からギリギリはみ出さない程度に声を上げて笑った後、サンルームの方向を手のひらで示した。
「仲直りのお茶を飲みましょう。レオナード、今日もわたくしにケーキを取り分けてくださいね。…………ふふっ、楽しみだわ。あなたに取り分けていただくと、美味しいケーキがより一層美味しくなるのよ」
「ああ、もちろん今日も君の為にケーキを取り分けよう。では、行こうか」
「うふふ、今日のシェフティエさんは、どんなスウィーツを用意してくれたのかしら?楽しみね」
歩き出しながら、再び茶番を始めた私達だったけれど、デリックはその場から一歩も動こうとはしない。まぁ、惚気たカップルの間になんか入りたくなどないだろう。でも、それもこれもデリック、全てお前の身から出た錆なのだ。
「デリック、早く来て。あなたが来てくれなくっちゃ、お茶会が始まらないわ」
一人だけ傍観者で居られるなど思うなよ。そんな眼力でデリックを見つめれば、彼はやっとこちらに向かって歩き始めた。
さて、その後は、平穏無事にお茶会が始まり、これといったトラブルもなく無事に幕を下ろすことができた。
そうそう余談だけれど、レオナードが席を立った隙を見計らって、デリックは私に、こっそり謝罪をしてくれた。ついでに『君のような人が、兄の婚約者で良かった』という言葉も頂戴した。
うん。正直言って、後半の言葉には、ちょこっとだけ私は、罪悪感を感じてしまった。
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初めまして、茂栖もすです。このお話は10:10に更新しています。時々20:20にも更新するので、良かったら覗いてみてください٩( ''ω'' )و
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