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17日目④
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デリックは、レオナードのより二つ年下で、今年18歳になる。
1年前にパブリックスクールを卒業して、現在は兄の片腕になるべく領地を廻り、統治者についての諸々を勉強中の身だ。まさかこの先、片腕ではなく、がっつり両腕を使う立場になるなんて一ミクロも思っていないだろう。
ちなみにそのことを私に話ながら歩くレオナードは、弟に対して申し訳ないという気持ちは皆無に見える。なかなかの暴君っぷりだ。
そして、ついでにこんなことまで、のたまった。
「弟は常日頃から私の役に立ちたいと言っているのだ。だから私の代わりに家を継ぐのも本望だろう」
………いや、それはちょっとさすがに、違くね?
という言葉は気合で喉の奥に押し込んだ。
それはなぜかと言うと、ついさっきお揃いの宝石を付けていることが気恥ずかしくて、もじもじしてしまって言葉が出てこないから。なんていう訳ではない。
ただ単に、噂の(?)デリック本人が、こちらに向かって駆け出してきているから。しかも、引くほどの全速力で。
「兄さんっ」
駆け寄ったデリックは、レオナードに向かって満面の笑みを浮かべた。
反対にレオナードはそれに対して鷹揚に頷くだけだったけれど、私は思わず見入ってしまう。
なにせこの弟、レオナードに負けず劣らずの美丈夫だったのだ。サラサラの金髪は兄と同じで、瞳の色は深い紺碧色。
すらっとした長身の兄弟が並ぶと、ああ本当にこのロフィ家は品の良いお貴族様なんだと痛感させられる。キラキラ感が半端ない。
「紹介しよう。私の婚約者、ミリアだ」
眩しさのあまり目を細めた途端、レオナードが何の前置きも無しに私の紹介を始めてしまい、慌てて婚約者モードに切り替えた。
「初めましてデリックさま。わたくし、ミリア・ホーレンスと申します。ふふっ、今日は、わたくし、お会いできて嬉しいですわ。」
「………………はぁ、どうも」
優雅にドレスの裾をつまんで一礼する。次いで、顔を上げてお愛想の一つもついでにサービスした途端、私は見事に固まった。
さっきまでのハイテンションはどこへやら。今、私を見つめるデリックのテンションは地に落ちていた。
何ていうか通りがかりの赤の他人から、愛犬の自慢話を聞かされたくらいのうんざり感と、面倒くさい感じと、嫌々感が丸出しだった。
………………まだ、挨拶しかしていないというのに。何だコイツ。
思わず拳に力が籠った途端、レオナードは絡ませている腕にぐっと力を入れた。そこで私はぐっと怒りを鎮める。出会ってまだ数分。ここでレオナードをぶん殴ってしまうのは早い。早すぎる。
「まぁ…………立ち話もなんだ。移動しよう」
私が拳の力を緩めた途端、レオナードは仕切り直しといった感じで小さな咳をすると、くるりと身体の向きをかえた。腕を組んでいる私も必然的に、彼の動きに合わせるしかない。
けれど、くるりと身体を反転させ、デリックから背を向けようとした途端、こんな声が飛んできた。
「………………兄さん、マジ、こんなのと婚約したんだ」
おい、ちょっと待て。こんなのって、どんなの?っていうか、それ私のことだよね!?
この瞬間、このイベントが無傷では終わらないものになると確信した。ちなみに、無傷で済まないのはレオナードだ。弟の不始末は、しっかり兄に責任を取ってもらおう。
そう心に決めた私は、久しぶりに指の関節を、ぽきりと鳴らしてみた。
1年前にパブリックスクールを卒業して、現在は兄の片腕になるべく領地を廻り、統治者についての諸々を勉強中の身だ。まさかこの先、片腕ではなく、がっつり両腕を使う立場になるなんて一ミクロも思っていないだろう。
ちなみにそのことを私に話ながら歩くレオナードは、弟に対して申し訳ないという気持ちは皆無に見える。なかなかの暴君っぷりだ。
そして、ついでにこんなことまで、のたまった。
「弟は常日頃から私の役に立ちたいと言っているのだ。だから私の代わりに家を継ぐのも本望だろう」
………いや、それはちょっとさすがに、違くね?
という言葉は気合で喉の奥に押し込んだ。
それはなぜかと言うと、ついさっきお揃いの宝石を付けていることが気恥ずかしくて、もじもじしてしまって言葉が出てこないから。なんていう訳ではない。
ただ単に、噂の(?)デリック本人が、こちらに向かって駆け出してきているから。しかも、引くほどの全速力で。
「兄さんっ」
駆け寄ったデリックは、レオナードに向かって満面の笑みを浮かべた。
反対にレオナードはそれに対して鷹揚に頷くだけだったけれど、私は思わず見入ってしまう。
なにせこの弟、レオナードに負けず劣らずの美丈夫だったのだ。サラサラの金髪は兄と同じで、瞳の色は深い紺碧色。
すらっとした長身の兄弟が並ぶと、ああ本当にこのロフィ家は品の良いお貴族様なんだと痛感させられる。キラキラ感が半端ない。
「紹介しよう。私の婚約者、ミリアだ」
眩しさのあまり目を細めた途端、レオナードが何の前置きも無しに私の紹介を始めてしまい、慌てて婚約者モードに切り替えた。
「初めましてデリックさま。わたくし、ミリア・ホーレンスと申します。ふふっ、今日は、わたくし、お会いできて嬉しいですわ。」
「………………はぁ、どうも」
優雅にドレスの裾をつまんで一礼する。次いで、顔を上げてお愛想の一つもついでにサービスした途端、私は見事に固まった。
さっきまでのハイテンションはどこへやら。今、私を見つめるデリックのテンションは地に落ちていた。
何ていうか通りがかりの赤の他人から、愛犬の自慢話を聞かされたくらいのうんざり感と、面倒くさい感じと、嫌々感が丸出しだった。
………………まだ、挨拶しかしていないというのに。何だコイツ。
思わず拳に力が籠った途端、レオナードは絡ませている腕にぐっと力を入れた。そこで私はぐっと怒りを鎮める。出会ってまだ数分。ここでレオナードをぶん殴ってしまうのは早い。早すぎる。
「まぁ…………立ち話もなんだ。移動しよう」
私が拳の力を緩めた途端、レオナードは仕切り直しといった感じで小さな咳をすると、くるりと身体の向きをかえた。腕を組んでいる私も必然的に、彼の動きに合わせるしかない。
けれど、くるりと身体を反転させ、デリックから背を向けようとした途端、こんな声が飛んできた。
「………………兄さん、マジ、こんなのと婚約したんだ」
おい、ちょっと待て。こんなのって、どんなの?っていうか、それ私のことだよね!?
この瞬間、このイベントが無傷では終わらないものになると確信した。ちなみに、無傷で済まないのはレオナードだ。弟の不始末は、しっかり兄に責任を取ってもらおう。
そう心に決めた私は、久しぶりに指の関節を、ぽきりと鳴らしてみた。
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初めまして、茂栖もすです。このお話は10:10に更新しています。時々20:20にも更新するので、良かったら覗いてみてください٩( ''ω'' )و
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