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9日目①
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.。*゚+.*.。 9日目 ゚+..。*゚+
「不躾な質問を許してくれ」
「前置きがあるってことは、ロクなもんじゃないわね。きっと」
「反論の余地はない。が、質問させてもらう」
「………ど、どうぞ」
「君はダンスはできるのか?」
「勇気を出して、聞いた事は褒めてあげるわ」
「……………………そうか。で、どうなんだ?」
「できるわけないじゃない」
「胸を張って言うことじゃないだろう」
「それもそうね」
誰がどう見ても、恬として恥じない態度をとっていることを誤魔化すように、にこりと笑みを浮かべて見たけれど、今日のレオナードは笑顔を返してはくれない。…………ま、それは当然だろう。
とうとうバレたか。
ふてぶてしい態度を取っている私だけれど内心は、やべぇと冷や汗をかいている。
そんな私の胸の内を見透かしているのか、レオナードは更に目力を強めて私を見つめてくる。そんな射貫くような視線に耐えられず、私はつぃーっと視線を横にずらした。もちろん、彼も逃すまじと追いかけてくる。
いつかはバレる。でもバレる前に自分から伝えよう。そう思っていたのに、ここ数日のバタバタで、なんとなくこのことをレオナードに言うタイミングを見付けることができなかったのだ。
そして、今日とうとうレオナードからこの質問が飛んできてしまったのだ。
ちなみに私たちがいる場所は晴天なのに、庭の東屋ではない。ちなみにサンルームでも、昨日過ごした図書室でもない。屋敷の中にある、とある部屋にいる。まぁ、あれだ………巷で言うボールルームと呼ばれるところ。
ぶっちゃけレオナードの屋敷に到着して館内に通された瞬間、嫌な予感はした。そして図書室とは正反対の方向に案内されればその予感は徐々に色濃くなり、だだっ広く部屋に必要な家具が一切無い場所に通されれば、それは確信へと変わった。
というこれまでの経緯を思い出しながら視線だけで追いかけっこをしていたけれど、根を上げたのは私だった。
「…………ねえ、レオナード。本当は私が踊れないこと知ってたんじゃないの?」
そう、あの聞き方は、どう見ても質問ではなく確認だった。
ちらっと彼の顔を見てそう言えば、言われた本人は深い溜息をついた。
「………………なんとなく予感はしていた」
「あら、預言ができるなんてすごいわね、レオナード。新しい特技ができたじゃない」
すかさず斜め上の話題をぶっこんで、お茶を濁そうとしたけれど、今日のレオナードはそうは問屋が卸さなかった。
「残念ながら預言ではない。これまでの知識と経験に基づいて予測しただけだ」
「頭も良いなんてすごいわね、レオナード。だったらこの状況を打開できる案もすでに思いついているんじゃないの?」
「……………………」
小首を傾げて無邪気な演技をした私を見つめるレオナードの手は、小刻みに震えている。でも、私のふてぶてしい態度に怒りを覚えて言葉を失っているわけでもない。もちろん呆れてモノが言えないという訳でもなさそうだ。
何ていうかそれを口にした後、私がどう出るかが怖い…………ということなのだろう。でも今の私は、彼が口を開くのをじっと待つしかない。
「一つ、ある」
少しの間の後、レオナードは絞り出すような声でそう言った。でも、すぐにそこで言葉を区切って私から視線を逸らした。
よっぽど言いにくいことなのだろう。けれど、小さく首を横に振る。ああ、やっぱり言わなければならないと自分に言い聞かせているのだ、絶対。ってことは、次に放つ彼の言葉は間違いなく、コレだろう。
そう予感ではなく確信した私は、思わず後ずさりするけれど、レオナードは待てと私を引き留めこう言った。
「この数日で、君が完璧にダンスをマスターする。もうこれ一択しか方法は無い」
…………やっぱりそうなったか。
「不躾な質問を許してくれ」
「前置きがあるってことは、ロクなもんじゃないわね。きっと」
「反論の余地はない。が、質問させてもらう」
「………ど、どうぞ」
「君はダンスはできるのか?」
「勇気を出して、聞いた事は褒めてあげるわ」
「……………………そうか。で、どうなんだ?」
「できるわけないじゃない」
「胸を張って言うことじゃないだろう」
「それもそうね」
誰がどう見ても、恬として恥じない態度をとっていることを誤魔化すように、にこりと笑みを浮かべて見たけれど、今日のレオナードは笑顔を返してはくれない。…………ま、それは当然だろう。
とうとうバレたか。
ふてぶてしい態度を取っている私だけれど内心は、やべぇと冷や汗をかいている。
そんな私の胸の内を見透かしているのか、レオナードは更に目力を強めて私を見つめてくる。そんな射貫くような視線に耐えられず、私はつぃーっと視線を横にずらした。もちろん、彼も逃すまじと追いかけてくる。
いつかはバレる。でもバレる前に自分から伝えよう。そう思っていたのに、ここ数日のバタバタで、なんとなくこのことをレオナードに言うタイミングを見付けることができなかったのだ。
そして、今日とうとうレオナードからこの質問が飛んできてしまったのだ。
ちなみに私たちがいる場所は晴天なのに、庭の東屋ではない。ちなみにサンルームでも、昨日過ごした図書室でもない。屋敷の中にある、とある部屋にいる。まぁ、あれだ………巷で言うボールルームと呼ばれるところ。
ぶっちゃけレオナードの屋敷に到着して館内に通された瞬間、嫌な予感はした。そして図書室とは正反対の方向に案内されればその予感は徐々に色濃くなり、だだっ広く部屋に必要な家具が一切無い場所に通されれば、それは確信へと変わった。
というこれまでの経緯を思い出しながら視線だけで追いかけっこをしていたけれど、根を上げたのは私だった。
「…………ねえ、レオナード。本当は私が踊れないこと知ってたんじゃないの?」
そう、あの聞き方は、どう見ても質問ではなく確認だった。
ちらっと彼の顔を見てそう言えば、言われた本人は深い溜息をついた。
「………………なんとなく予感はしていた」
「あら、預言ができるなんてすごいわね、レオナード。新しい特技ができたじゃない」
すかさず斜め上の話題をぶっこんで、お茶を濁そうとしたけれど、今日のレオナードはそうは問屋が卸さなかった。
「残念ながら預言ではない。これまでの知識と経験に基づいて予測しただけだ」
「頭も良いなんてすごいわね、レオナード。だったらこの状況を打開できる案もすでに思いついているんじゃないの?」
「……………………」
小首を傾げて無邪気な演技をした私を見つめるレオナードの手は、小刻みに震えている。でも、私のふてぶてしい態度に怒りを覚えて言葉を失っているわけでもない。もちろん呆れてモノが言えないという訳でもなさそうだ。
何ていうかそれを口にした後、私がどう出るかが怖い…………ということなのだろう。でも今の私は、彼が口を開くのをじっと待つしかない。
「一つ、ある」
少しの間の後、レオナードは絞り出すような声でそう言った。でも、すぐにそこで言葉を区切って私から視線を逸らした。
よっぽど言いにくいことなのだろう。けれど、小さく首を横に振る。ああ、やっぱり言わなければならないと自分に言い聞かせているのだ、絶対。ってことは、次に放つ彼の言葉は間違いなく、コレだろう。
そう予感ではなく確信した私は、思わず後ずさりするけれど、レオナードは待てと私を引き留めこう言った。
「この数日で、君が完璧にダンスをマスターする。もうこれ一択しか方法は無い」
…………やっぱりそうなったか。
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初めまして、茂栖もすです。このお話は10:10に更新しています。時々20:20にも更新するので、良かったら覗いてみてください٩( ''ω'' )و
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