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私と司令官さまのすれ違い
弟からの告白①
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司令官さまと私は、上司と部下。ただそれだけの関係。───それで良い。それが良い。それが一番だ。
そう昨日思っていたのに、あっさりとその気持ちが揺れてしまう私は、大変、ぶれっぶれの性格のようだ。
ただそんなふうになってしまったのは、一晩経って、やっぱり違うと思ったとか、ツンデレ的なアレじゃない。それ相応の出来事があったのだ。
突然だけれど、今日、私はケイティ先生が注文した薬草の種を、午後から実家に取りに行く予定だった。ただ、その前に、本日も医務室の備品が足りなくなったので、お遣いをかって出たのだ。
そこで見てしまった。少し離れた通りの街路樹で、身体を密着させているアジェーレさんと、司令官さまを。
それは本当に偶然だった。誓って言うけれど、私は覗きをした訳じゃないし、探偵のように、二人の後を付けたわけではない。
お遣いが終わって、そろそろ実家に向かおうと思ったその時、街の喧騒にまぎれて、司令官さまに似た声が聞こえてきたような気がしたのだ。
そして無意識に声を辿った結果、二人を目撃してしまったのだ。
………とても自然な雰囲気だった。とはいえ、二人がそういう関係だったなんて、考えたこともなかった。でも、美男美女のカップルで大変お似合いだった。
そして私は、司令官さまが他の誰かに向けた笑顔を見て、ひりつくような痛みを覚えたことに自分自身でとても驚いてしまった。
一年前のあの日と、まったく同じ痛みに。
いや、既視感を感じて痛むそれじゃない。もっと鮮度抜群で、抉るような痛みだった。
それと同時に、ここで疑問が産まれてしまった。
私は二人の当て馬だったのでしょうか?それとも、司令官さまがターゲットを変えただけなのでしょうか?と。
その答えは、どちらが良いなんて選べない。でも、真実はいつも残酷だ。そして恋愛の神様はとことん意地が悪い。
そんな気持ちを抱えて、でも隣にいるウィルさんには気付かれぬよう無駄に、にこにこ笑って、私は実家へと足を向けた。
「うわぁあああっ、めっちゃ可愛い!!ものすごく可愛い!!」
「メェーーーン」
荒んだ気持ちを知られたくなかったのと、ちょっとした軽い気持ちで、自宅に到着して早々にノラに会ってみるかと聞いてみたところ、ウィルさんはノラをいたく気に入ってくれた。
こちらが驚くほどの大きい声を上げて、真っ白な背中をわしゃわしゃと撫でながら『時間なんて気にせず、ごゆっくりどうぞ』と言ってくれた。
……多分、ゆっくりしたいのはウィルさんの方かなと思ったけど、敢えてそれを口にしなかった。それに満面の笑みを浮かべるウィルさんを見ていると、こちらが救われたように明るい気持ちなる。
ただ、なでくり回されているノラの鳴き声が『メェーーーーン』と妙に甘かったのが、無性に腹が立たけど。
ま、でも、ウィルさんは確かに男性であるから、間違いではない。
「ただいまーぁ。…………って誰も居ないのぉー?」
玄関を開けて、キッチンまで歩みを進めても人の気配がない。
せっかく浮上した気持ちは、あっという間にだだ下がってしまう。そして、溜息を付いた途端、ひょっこり弟が奥から顔を出した。
「あー姉ちゃん?」
「あれ?お母さんは?種の注文してたはずなんだけど………」
弟は一応、調剤屋の後継ぎらしく白衣を身に付けてはいるが、父さんのお下がりのせいかもしれないけれど、なんだか着られている感満載で様になっていない。ま、それは置いといて。
「お母さん、買い物?それとも、寄り合い?」
「あー……えっとぉー……母ちゃん、今日は、女子会」
「は?寄り合いじゃなくって、女子会?」
きょとんと眼を丸くする私に、弟は悟りきった眼差しを向けた。
「寄り合いと書いて、女子会と呼ぶって母ちゃんが言ってた。あと、うちらもそう言えってさ。……姉ちゃん、悪いことは言わねえから、普段からちゃんと口にしとけよ。いざっていうとき間違えるからさぁー」
「………そ、そうね」
さすが安定と平和を望む悟り世代。思わず頷いてしまった。
そして弟は、のっそりとした足取りで奥の部屋に消え、すぐに戻ってきた。手には、我が家が扱う商品の紙袋。
「んでもって、これ、注文してくれてた種。母ちゃんがこの前のお礼にサービスしといたって。あと、今後ともよろしくってさ」
「さすが、調剤屋の女将。ちゃっかりしてるわ」
ぽろりと本音を零せば、弟は真顔で『そりゃあ、母ちゃんだからな』と返してきた。そして同時に納得して、深く頷いた。
それからお茶でも飲むか?と弟に聞かれ、素直に頷く。
本当なら用が済んだのだから、早々に宿舎に帰るべきなのだろうけど、ウィルさんとノラのラブラブタイムを邪魔してはいけないと変に気を使ってしまう私がいる。
それに、今の時刻は、まだ夕方にもなっていない。だから宿舎の門限までは時間的に余裕がある。
何より、ヒリヒリする胸の傷を抱えている今の私は、無性に甘いお茶が飲みたい。顎が溶けるくらいの甘いのを飲んでから帰ろう。それくらいしても罰は当たらない。
「───……ところで、姉ちゃん司令官さんは?俺、ちょっと挨拶したいんだけど」
「は?いないわよ」
お湯をポットに淹れて砂時計をひっくり返したところで、弟はくるりとこちらを向き、そう問うてきた。
「へ?なんで?」
「………なんでって…なんで?」
なんでのキャッチボールをしながら、私も弟も同じように首を傾げる。
でも、疑問に思っていることは、どうやら違ったようだ。
「てっきり、あの人、姉ちゃんにぞっこんだし、超過保護っぽいから、今日も家まで付いて来てると思ったわ」
「んなわけないでしょ!?馬鹿言ってんじゃないわよ。か、勝手に決めつけないでよ。何で私が四六時中、司令官さまと一緒に居なきゃいけないのよっ」
ついさっき司令官さまのデート現場を目撃してしまったこともあり、ついついキツイ口調になってしまう。
そうすれば、弟はあからさまに溜息を付き、視線を窓に向ける。
ちなみにその眼差しは憐憫を含んだもの。次いで私に視線を向けるけれど、その時にはもう、呆れと苛立ちを含んだものに変わっていた。
「………ねえ、姉ちゃん。なんで司令官さんのこと、そんなに嫌うんだよ。マジ意味わかんないんだけど」
「別に嫌ってはいないわよ」
ぷいっと顔を背けてそう言えば、弟は納得できないといった感じで、再び口を開いた。
「ふぅーん。なんか、気の毒だわ司令官さん。姉ちゃんごときに、相手にされないなんて」
「あ゛?」
姉という特権を活かして、意味もなくすごんでみても、今日の弟はやけに食って掛かる。………どうした弟。お前、悟り世代じゃなかったのか。
「だって、司令官さん、めっちゃ姉ちゃんのこと好きじゃん」
「あんたねぇ、彼女できたからって、皆んなが皆んな、恋愛モード入っているわけじゃないのよ。この前一緒に来たのは、仕事の一環として視察に来ただけなのっ」
苛立ちが限界を超えて、バンッとテーブルを叩きつけてそう叫べは、弟は意味が分からないといった感じで、パチパチと瞬きを3回繰り返してこう言った。
「………でもさぁ、ちょっと前、姉ちゃんが公園でぶっ倒れたところを発見してうちまで運んでくれたの、司令官さんだよ?」
姉ちゃん、記憶力大丈夫?とついでに聞かれたけれど………弟よ、それ、私、初耳なんですけど。
そう昨日思っていたのに、あっさりとその気持ちが揺れてしまう私は、大変、ぶれっぶれの性格のようだ。
ただそんなふうになってしまったのは、一晩経って、やっぱり違うと思ったとか、ツンデレ的なアレじゃない。それ相応の出来事があったのだ。
突然だけれど、今日、私はケイティ先生が注文した薬草の種を、午後から実家に取りに行く予定だった。ただ、その前に、本日も医務室の備品が足りなくなったので、お遣いをかって出たのだ。
そこで見てしまった。少し離れた通りの街路樹で、身体を密着させているアジェーレさんと、司令官さまを。
それは本当に偶然だった。誓って言うけれど、私は覗きをした訳じゃないし、探偵のように、二人の後を付けたわけではない。
お遣いが終わって、そろそろ実家に向かおうと思ったその時、街の喧騒にまぎれて、司令官さまに似た声が聞こえてきたような気がしたのだ。
そして無意識に声を辿った結果、二人を目撃してしまったのだ。
………とても自然な雰囲気だった。とはいえ、二人がそういう関係だったなんて、考えたこともなかった。でも、美男美女のカップルで大変お似合いだった。
そして私は、司令官さまが他の誰かに向けた笑顔を見て、ひりつくような痛みを覚えたことに自分自身でとても驚いてしまった。
一年前のあの日と、まったく同じ痛みに。
いや、既視感を感じて痛むそれじゃない。もっと鮮度抜群で、抉るような痛みだった。
それと同時に、ここで疑問が産まれてしまった。
私は二人の当て馬だったのでしょうか?それとも、司令官さまがターゲットを変えただけなのでしょうか?と。
その答えは、どちらが良いなんて選べない。でも、真実はいつも残酷だ。そして恋愛の神様はとことん意地が悪い。
そんな気持ちを抱えて、でも隣にいるウィルさんには気付かれぬよう無駄に、にこにこ笑って、私は実家へと足を向けた。
「うわぁあああっ、めっちゃ可愛い!!ものすごく可愛い!!」
「メェーーーン」
荒んだ気持ちを知られたくなかったのと、ちょっとした軽い気持ちで、自宅に到着して早々にノラに会ってみるかと聞いてみたところ、ウィルさんはノラをいたく気に入ってくれた。
こちらが驚くほどの大きい声を上げて、真っ白な背中をわしゃわしゃと撫でながら『時間なんて気にせず、ごゆっくりどうぞ』と言ってくれた。
……多分、ゆっくりしたいのはウィルさんの方かなと思ったけど、敢えてそれを口にしなかった。それに満面の笑みを浮かべるウィルさんを見ていると、こちらが救われたように明るい気持ちなる。
ただ、なでくり回されているノラの鳴き声が『メェーーーーン』と妙に甘かったのが、無性に腹が立たけど。
ま、でも、ウィルさんは確かに男性であるから、間違いではない。
「ただいまーぁ。…………って誰も居ないのぉー?」
玄関を開けて、キッチンまで歩みを進めても人の気配がない。
せっかく浮上した気持ちは、あっという間にだだ下がってしまう。そして、溜息を付いた途端、ひょっこり弟が奥から顔を出した。
「あー姉ちゃん?」
「あれ?お母さんは?種の注文してたはずなんだけど………」
弟は一応、調剤屋の後継ぎらしく白衣を身に付けてはいるが、父さんのお下がりのせいかもしれないけれど、なんだか着られている感満載で様になっていない。ま、それは置いといて。
「お母さん、買い物?それとも、寄り合い?」
「あー……えっとぉー……母ちゃん、今日は、女子会」
「は?寄り合いじゃなくって、女子会?」
きょとんと眼を丸くする私に、弟は悟りきった眼差しを向けた。
「寄り合いと書いて、女子会と呼ぶって母ちゃんが言ってた。あと、うちらもそう言えってさ。……姉ちゃん、悪いことは言わねえから、普段からちゃんと口にしとけよ。いざっていうとき間違えるからさぁー」
「………そ、そうね」
さすが安定と平和を望む悟り世代。思わず頷いてしまった。
そして弟は、のっそりとした足取りで奥の部屋に消え、すぐに戻ってきた。手には、我が家が扱う商品の紙袋。
「んでもって、これ、注文してくれてた種。母ちゃんがこの前のお礼にサービスしといたって。あと、今後ともよろしくってさ」
「さすが、調剤屋の女将。ちゃっかりしてるわ」
ぽろりと本音を零せば、弟は真顔で『そりゃあ、母ちゃんだからな』と返してきた。そして同時に納得して、深く頷いた。
それからお茶でも飲むか?と弟に聞かれ、素直に頷く。
本当なら用が済んだのだから、早々に宿舎に帰るべきなのだろうけど、ウィルさんとノラのラブラブタイムを邪魔してはいけないと変に気を使ってしまう私がいる。
それに、今の時刻は、まだ夕方にもなっていない。だから宿舎の門限までは時間的に余裕がある。
何より、ヒリヒリする胸の傷を抱えている今の私は、無性に甘いお茶が飲みたい。顎が溶けるくらいの甘いのを飲んでから帰ろう。それくらいしても罰は当たらない。
「───……ところで、姉ちゃん司令官さんは?俺、ちょっと挨拶したいんだけど」
「は?いないわよ」
お湯をポットに淹れて砂時計をひっくり返したところで、弟はくるりとこちらを向き、そう問うてきた。
「へ?なんで?」
「………なんでって…なんで?」
なんでのキャッチボールをしながら、私も弟も同じように首を傾げる。
でも、疑問に思っていることは、どうやら違ったようだ。
「てっきり、あの人、姉ちゃんにぞっこんだし、超過保護っぽいから、今日も家まで付いて来てると思ったわ」
「んなわけないでしょ!?馬鹿言ってんじゃないわよ。か、勝手に決めつけないでよ。何で私が四六時中、司令官さまと一緒に居なきゃいけないのよっ」
ついさっき司令官さまのデート現場を目撃してしまったこともあり、ついついキツイ口調になってしまう。
そうすれば、弟はあからさまに溜息を付き、視線を窓に向ける。
ちなみにその眼差しは憐憫を含んだもの。次いで私に視線を向けるけれど、その時にはもう、呆れと苛立ちを含んだものに変わっていた。
「………ねえ、姉ちゃん。なんで司令官さんのこと、そんなに嫌うんだよ。マジ意味わかんないんだけど」
「別に嫌ってはいないわよ」
ぷいっと顔を背けてそう言えば、弟は納得できないといった感じで、再び口を開いた。
「ふぅーん。なんか、気の毒だわ司令官さん。姉ちゃんごときに、相手にされないなんて」
「あ゛?」
姉という特権を活かして、意味もなくすごんでみても、今日の弟はやけに食って掛かる。………どうした弟。お前、悟り世代じゃなかったのか。
「だって、司令官さん、めっちゃ姉ちゃんのこと好きじゃん」
「あんたねぇ、彼女できたからって、皆んなが皆んな、恋愛モード入っているわけじゃないのよ。この前一緒に来たのは、仕事の一環として視察に来ただけなのっ」
苛立ちが限界を超えて、バンッとテーブルを叩きつけてそう叫べは、弟は意味が分からないといった感じで、パチパチと瞬きを3回繰り返してこう言った。
「………でもさぁ、ちょっと前、姉ちゃんが公園でぶっ倒れたところを発見してうちまで運んでくれたの、司令官さんだよ?」
姉ちゃん、記憶力大丈夫?とついでに聞かれたけれど………弟よ、それ、私、初耳なんですけど。
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