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私と司令官さまの始まり
気遣うところが違うような気がします
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首までしっかり湯船に浸かって、身も心も温める。ついでに腕とか足とか、揉み揉みしてみる。………時間かせぎに。
なにぶん、お風呂から出たら、司令官さまとのお話が待っているから。
ちゃんと話さないないといけないとはわかっている。でも、あやふやなままでいたいと思う狡い気持ちがせめぎ合う。
だって怖い。司令官さまに恋をしていると気付いた途端、もう失恋がスタンバっているのだ。二度目の恋は秒速で終わること間違いない。
最初の恋を終わらせたばっかりだというのに。さすがにキツイぞこれ。できれば、もう少しこの恋を噛みしめていたい。
そんなことを考えながら、ついには鼻を摘まんで湯船に沈む、所謂、潜水ごっこまでし始めてしまった瞬間───。
「───……シア、起きてるか?」
扉越しに司令官さまの声が聞こえ、慌てて湯船から顔を出す。と、同時にバシャンとお湯も撥ねてしまう。
「おいっ。本当に大丈夫なのか!?」
「お、起きてますし、大丈夫ですっ」
今にも扉をこじ開けようとする気配が伝わり、私は慌てて声を張り上げる。
「なら良いが、食事を持ってきたから冷めないうちに、こっちに来い。ああ、言い忘れていたが着替えはケイティに頼んで用意してもらったやつが、バスタオルの隣に置いてあるはずだ。それを使え」
「は、はぁーい」
再び声を張り上げて、必要以上に元気な返事をすれば、それ以上司令官さまは何も言わなかった。
でも、こちらとしては、落ち着かない。そして観念するしかない。
気合いを入れる為に両手で頬を軽く叩いて、湯船から出る。そして、身体を拭いて、着替えをしてそぉーっと扉から顔を覗かせれば、司令官さまはソファに腰かけていた。
「髪、濡れたままだな。こちらに来なさい。私が拭こう」
「あ、いえ、大丈夫です」
なんてことを言ってくれるんだ。そして、なんでそんな残念な顔をしてくれるんだ。
まったく、こちとら失恋の準備で忙しいというのに。無駄に心をかき乱さないで欲しい。
「なら、まずは、食事だ。色々話したいことがあるが、先にこれを食べなさい」
「………はい」
結局思うところはあっても、素直に司令官さまに従ったのは、食欲をそそるシチューの香りに惹かれてしまったから。
だって空腹にハーブと微かなスパイスの匂いは麻薬並みに抗えない。
そんなわけで、トコトコと司令官さまの向かいのソファに腰かける。
そして、いただきますと声を出してから、匙で一口すくい、それを口に含んだけれど───。
「私は君のことが好きだ」
という先制攻撃をくらい、私は思わずむせてしまった。
咄嗟に口元を手で覆ったから、イケメンの顔にシチューをぶっ掛けるという大罪を犯さなくて済んだ。
でも、食事中の不意打ちはやめていただきたい。それにこのままでは、私のお腹にシチューをおさめることができないような気がする。
「司令官さま」
「なんだ」
「その話、食事が終わってからにしてください」
「……わかった」
そう言って頷いてくれた司令官さまだったけれど、露骨に出鼻をくじかれた顔をしている。
けれど今はそこには触れない、なぜなら、食欲の方が勝っているので。
というわけで、気を取り直して、もっもっもっと、無言でシチューを食べることにする。けれど、この沈黙かなりキツイ。
「あの、質問して良いですか?」
「食事中なのにか?───……いや、なんでもない。どうぞ、質問したまえ」
ちょっとムッとした顔をした司令官さまだったけれど、私はそれに気付かないふりをして、昨日からまだ解消されていない疑問を口にした。
「私が牢屋に入る必要あったのでしょうか?」
「あった」
なぜに?
と、声に出して問いたかったけれど、私の口の中にはパンが居座っているので目で訴える。
そうすれば、司令官さまはちゃんと汲み取ってくれた。
「あの日、時間がなかったから窃盗団を一気に壊滅することにした。だが、如何せん一気に叩きつぶしたせいで、残党がまだいるかもしれない状況だったのだ。だから、残りの窃盗団がここへ報復に来るかもしれなかったから、君を独り部屋においておくわけにはいかなかった」
「うぐっ、っんん、………そうなんですか」
慌てて飲み込んだパンが喉につっかえて、一瞬にお花畑が見えた。でも、司令官さまから手渡されたミルクで何とか飲み流し、一命を取り留める。
「あのぉ……」
「なんだ?」
「じゃあ、私が一晩牢屋で過ごしたのって………」
そこまで言えば司令官さま、ちょっと眉を上げて引き継いでくれた。
「ああ。あそこが一番安全だからな。地下への扉は内側からも施錠できるし、鉄格子はある意味防護柵になるから、君が実家から戻ったら、すぐにそこへ移動するよう指示を出しておいた」
「なっ」
なんだって!?そんな裏話があったのかっ。
でも、謎は解けた。だから司令官さまは、牢にいる私をみて、あの時『居心地はどうか』と聞いたんだ。
そして警備兵の皆さんがやたらと斜め上の気遣いをしてくれたのは、そんな理由からだったのだ。
ああ……えっと、遅ればせながらお答えすると、そこそこ居心地は良かったです。で、でもですね───。
「あ、あのぉ、もう一つ質問して良いですか?」
「ああ、構わない」
「なんで、そうはっきりと教えてくれなかったんですか?それに、私、警備兵のおじさんからは、逃亡と証拠隠滅の恐れがあるから拘束すると言われてたんですけど……」
最後は感情を抑えきれず、ジト目になった私に、司令官さまは困ったように眉を下げた。
「矛盾しているっていう顔をしているな」
「はい」
私が即座に頷けば、ふむと顎に手を当て考え込む。どう説明すれば良いか、言葉を組み立てているようだ。
それからしばらくして、司令官さまは静かに口を開いた。
「…まぁ私が説明すれば良かったんだが、こちらも少々野暮用で外に出ていた為、君に直接話す時間がなかった。だから、アジェーレからの密告書を理由に適当に誤魔化して地下牢に誘導しろと言っておいた」
「………………」
「この説明では納得できない様子だな」
「はい。かなり、納得できません」
これもまた即座に頷くことにする。
だが今度は司令官さま困った顔をしない。まだ納得できないのかと、少々イラついているご様子だ。
「そもそも君は女性で、戦うことはできないだろう?そんな君が、いつ襲撃されるかわからず、戦々恐々と怖い夜をすごすより、あきらかに無実だと思っている状態で地下牢で過ごすほうがましだと思ったんだ。これで納得できるか?」
「………………」
その説明でも、やっぱり私は頷くことができなかった。
ただ、これだけ言わせて欲しい。司令官さま、気遣うところが、とっても、とぉーってもズレています、と。
なにぶん、お風呂から出たら、司令官さまとのお話が待っているから。
ちゃんと話さないないといけないとはわかっている。でも、あやふやなままでいたいと思う狡い気持ちがせめぎ合う。
だって怖い。司令官さまに恋をしていると気付いた途端、もう失恋がスタンバっているのだ。二度目の恋は秒速で終わること間違いない。
最初の恋を終わらせたばっかりだというのに。さすがにキツイぞこれ。できれば、もう少しこの恋を噛みしめていたい。
そんなことを考えながら、ついには鼻を摘まんで湯船に沈む、所謂、潜水ごっこまでし始めてしまった瞬間───。
「───……シア、起きてるか?」
扉越しに司令官さまの声が聞こえ、慌てて湯船から顔を出す。と、同時にバシャンとお湯も撥ねてしまう。
「おいっ。本当に大丈夫なのか!?」
「お、起きてますし、大丈夫ですっ」
今にも扉をこじ開けようとする気配が伝わり、私は慌てて声を張り上げる。
「なら良いが、食事を持ってきたから冷めないうちに、こっちに来い。ああ、言い忘れていたが着替えはケイティに頼んで用意してもらったやつが、バスタオルの隣に置いてあるはずだ。それを使え」
「は、はぁーい」
再び声を張り上げて、必要以上に元気な返事をすれば、それ以上司令官さまは何も言わなかった。
でも、こちらとしては、落ち着かない。そして観念するしかない。
気合いを入れる為に両手で頬を軽く叩いて、湯船から出る。そして、身体を拭いて、着替えをしてそぉーっと扉から顔を覗かせれば、司令官さまはソファに腰かけていた。
「髪、濡れたままだな。こちらに来なさい。私が拭こう」
「あ、いえ、大丈夫です」
なんてことを言ってくれるんだ。そして、なんでそんな残念な顔をしてくれるんだ。
まったく、こちとら失恋の準備で忙しいというのに。無駄に心をかき乱さないで欲しい。
「なら、まずは、食事だ。色々話したいことがあるが、先にこれを食べなさい」
「………はい」
結局思うところはあっても、素直に司令官さまに従ったのは、食欲をそそるシチューの香りに惹かれてしまったから。
だって空腹にハーブと微かなスパイスの匂いは麻薬並みに抗えない。
そんなわけで、トコトコと司令官さまの向かいのソファに腰かける。
そして、いただきますと声を出してから、匙で一口すくい、それを口に含んだけれど───。
「私は君のことが好きだ」
という先制攻撃をくらい、私は思わずむせてしまった。
咄嗟に口元を手で覆ったから、イケメンの顔にシチューをぶっ掛けるという大罪を犯さなくて済んだ。
でも、食事中の不意打ちはやめていただきたい。それにこのままでは、私のお腹にシチューをおさめることができないような気がする。
「司令官さま」
「なんだ」
「その話、食事が終わってからにしてください」
「……わかった」
そう言って頷いてくれた司令官さまだったけれど、露骨に出鼻をくじかれた顔をしている。
けれど今はそこには触れない、なぜなら、食欲の方が勝っているので。
というわけで、気を取り直して、もっもっもっと、無言でシチューを食べることにする。けれど、この沈黙かなりキツイ。
「あの、質問して良いですか?」
「食事中なのにか?───……いや、なんでもない。どうぞ、質問したまえ」
ちょっとムッとした顔をした司令官さまだったけれど、私はそれに気付かないふりをして、昨日からまだ解消されていない疑問を口にした。
「私が牢屋に入る必要あったのでしょうか?」
「あった」
なぜに?
と、声に出して問いたかったけれど、私の口の中にはパンが居座っているので目で訴える。
そうすれば、司令官さまはちゃんと汲み取ってくれた。
「あの日、時間がなかったから窃盗団を一気に壊滅することにした。だが、如何せん一気に叩きつぶしたせいで、残党がまだいるかもしれない状況だったのだ。だから、残りの窃盗団がここへ報復に来るかもしれなかったから、君を独り部屋においておくわけにはいかなかった」
「うぐっ、っんん、………そうなんですか」
慌てて飲み込んだパンが喉につっかえて、一瞬にお花畑が見えた。でも、司令官さまから手渡されたミルクで何とか飲み流し、一命を取り留める。
「あのぉ……」
「なんだ?」
「じゃあ、私が一晩牢屋で過ごしたのって………」
そこまで言えば司令官さま、ちょっと眉を上げて引き継いでくれた。
「ああ。あそこが一番安全だからな。地下への扉は内側からも施錠できるし、鉄格子はある意味防護柵になるから、君が実家から戻ったら、すぐにそこへ移動するよう指示を出しておいた」
「なっ」
なんだって!?そんな裏話があったのかっ。
でも、謎は解けた。だから司令官さまは、牢にいる私をみて、あの時『居心地はどうか』と聞いたんだ。
そして警備兵の皆さんがやたらと斜め上の気遣いをしてくれたのは、そんな理由からだったのだ。
ああ……えっと、遅ればせながらお答えすると、そこそこ居心地は良かったです。で、でもですね───。
「あ、あのぉ、もう一つ質問して良いですか?」
「ああ、構わない」
「なんで、そうはっきりと教えてくれなかったんですか?それに、私、警備兵のおじさんからは、逃亡と証拠隠滅の恐れがあるから拘束すると言われてたんですけど……」
最後は感情を抑えきれず、ジト目になった私に、司令官さまは困ったように眉を下げた。
「矛盾しているっていう顔をしているな」
「はい」
私が即座に頷けば、ふむと顎に手を当て考え込む。どう説明すれば良いか、言葉を組み立てているようだ。
それからしばらくして、司令官さまは静かに口を開いた。
「…まぁ私が説明すれば良かったんだが、こちらも少々野暮用で外に出ていた為、君に直接話す時間がなかった。だから、アジェーレからの密告書を理由に適当に誤魔化して地下牢に誘導しろと言っておいた」
「………………」
「この説明では納得できない様子だな」
「はい。かなり、納得できません」
これもまた即座に頷くことにする。
だが今度は司令官さま困った顔をしない。まだ納得できないのかと、少々イラついているご様子だ。
「そもそも君は女性で、戦うことはできないだろう?そんな君が、いつ襲撃されるかわからず、戦々恐々と怖い夜をすごすより、あきらかに無実だと思っている状態で地下牢で過ごすほうがましだと思ったんだ。これで納得できるか?」
「………………」
その説明でも、やっぱり私は頷くことができなかった。
ただ、これだけ言わせて欲しい。司令官さま、気遣うところが、とっても、とぉーってもズレています、と。
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